慢性腰痛に対して結合組織のマッサージと古典的なマッサージはどっちがいいのか?
こんばんは。
今日は腰痛の話題で。
マッサージは理学療法の場面でもよく行うし、他の治療場面でも多く用います。
そのマッサージの仕方によってどのような違いがあるのかということを検討した論文になります。
よかったら、目を通してみてください。
抄読論文
【慢性腰痛とマッサージ】
機械的腰痛は感染症や腫瘍、骨折など特定の原因がないにも関わらず、腰部に生じる緊張、痛み、または硬直などを指します。
54カ国で行われたレビューでは、その罹患率は18.3%にも上りました。
慢性腰痛は日常生活に影響を及ぼし、仕事、社会活動、家庭生活への参加を著しく損ないます。
多くは、過度の使用や反復運動からのストレス、または使い過ぎに起因します。
慢性腰痛になると、自律神経の不均衡によって神経生理学的変化が引き起こされるとされています。
マッサージは、腰痛、頭痛、筋肉痛、機械的頚部痛などに対する安全で副作用の少ない治療として活用されています。
本研究は、慢性機械性腰痛の治療において効果的な非薬物療法を検討することを目的としています。
そのために、結合組織マッサージ(CTM)と古典的マッサージ(CM)を比較し、検討しました。
【介入】
・結合組織マッサージ(CTM)
CTMは座位で股・膝関節を90°屈曲させた状態で実施されました。
マッサージは第三指を45°から60°に曲げてフック状にし、短いストロークと長いストロークを組み合わせて引っ張る方向に圧をかけました。
基本的な腰部領域から開始し、下胸部領域、肩甲骨領域、肩甲間領域へと進んで行きました。
・古典的マッサージ(CM)
うつ伏せの状態でマッサージオイルを使用して行いました。
脊柱起立筋、広背筋、大臀筋などの領域に対して、撫でる、捏ねる動作が行われました。
下背部から上背部にわたって、15〜20分程度実施しました。
【結果】
・痛みの強度
両群とも痛みが有意に減少しました。
第2週ではCMの方がCTMよりも痛みが軽減しました。
しかし、最終的には痛みの強度に両群で差は見られませんでした。
・自律神経反応
両群とも抹消皮膚温度が上昇しました。
これは、自律神経が活性化しているものと判断しました。
・障害度
生活の質と障害度をODIにて測定し、両群ともに治療後に改善が見られました。
これは、6週間経過した後であっても継続して維持されていました。
・生活の質
SF-36にてQOLが測定され、両群ともに治療後に有意に向上しました。
・睡眠の質
PSQIによる睡眠の質向上の評価に関して、両群ともに改善が見られました。
多くの項目において、CMとCTMで差が見られるところはわずかでした。
そして、両群とも改善が多く見られました。
特に短期的にはCMが優れているようでしたが、長期的には両方とも同様であるということになりました。
【どのように活用するか】
結果からは、CM群が短期的な成績がいいということで、即効性があるものとしては、CM、古典的マッサージが有効なのかもしれません。
ただ、長期的に見たときには結合組織マッサージも有効であり、どちらも有効であったということになります。
ただ、ここで注意しなくてはいけないのは、この研究では、これだけの効果と言っていいのかどうかという点があります。
批判的吟味という視点で見たときに、他の介入がなかったとは言い難いところです。
また、疼痛は自然経過の場合もあるし、完全に受け入れることは難しいです。
そういう面では、結合組織マッサージは長期的に見たときに、効果が持続しやすかったり、機能的に優れていたりするのではないかなと思います。
結果からは、変わらないということなので、完全に主観になりますが、機能的な面をODIで見てわからない部分で、影響があるのではないかと。。。
いわゆる、筋膜や結合組織という形で、筋の滑走を促す、筋収縮を起こしやすいようにするということは、痛みの抑制だけでなく、機能にも影響するのではないかと思います。
理学療法士がマッサージを行うことに対して、抵抗を抱く人もいるかもしれません。
しかし、マッサージも立派な治療法の一つです。
大事なのは、それを何を目的に、どのような機能を高めたくて、どのように活動に活かせるようにするかという視点を持って、行うかどうかが大切だと思います。
一般の方も、この視点を持って、施術を受ける対象を見てみてはどうでしょうか?
今日も最後まで、こんな主観メインの記事を読んでいただき、ありがとうございます!
完全に言い訳ですが、新年度前で立て込んでいる仕事が山のようにあり、記事投稿頻度が落ちる、、、かもしれません。
そうです、完全に言い訳です。これを元に明日は休もうとしています。
でも頑張ります。。。多分、、、
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