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蕗の早煮



早煮とは?

聞き慣れない言葉かとは思いますが、和食の世界では意外と、ポピュラーな名称です。

じっくりと煮含めて煮汁と素材内部の水分を同化させる、そういった煮物が含め煮だとすれば、早煮は対局です。

素材自体の味わいと、周囲に絡む煮汁の味わいとのバランスで成り立っている煮物で、読んで字のごとく仕上がりの早い煮物です。

例えば「アラ煮」も早煮の一種です。

中は真っ白な身で、周囲に濃厚な煮汁が絡む事によってバランスが取れて料理として完成します。

また、青菜を淡口醤油の出汁で手早く煮上げた煮びたしも早煮の一種です。

そして、本日は

「蕗」を早煮に仕立てます。


茹でて皮を剥いた蕗を斜めに薄く刻みまして、酒と塩、味醂と淡口醤油で関西風のうどんツユ位の味付けの出汁で、歯応えが残るぐらいに短時間で煮上げます。

アラ煮の場合は砂糖とたまり醤油、酒、味醂で濃厚な味わいに仕立てますが、刻んだ蕗の場合は優しい味わいが良く合います。

味乗りを良くするのは、刻んだ油揚げや鰹節、トロロ昆布など。

旨味が加わって蕗自体の味わいも良くなります。

そして、この

料理のポイント

は、この出汁の旨味にあります。

上品で濃厚な素材本来の旨味を感じる出汁を仕立てる事で、料理としての完成度が一気に上がります。

もちろん普通の鰹出汁でも良いのですが、加えて貝類、鴨、濃厚な鶏のスープなどを併せて使うと相乗効果が働いて1+1が3や4にと増加します。

充分に旨味を抽出した出汁の味を調え、刻んだ蕗をひと煮立ちでさっと煮上げます。

熱々のうちに器に出汁ごと盛りつけてください。

最後に粗挽きの胡椒や七味、胡麻油などをお好みで加えると香りが加わって良いアクセントとなります。

蕗以外でも、青菜や隠元、笹がき牛蒡やキノコ類にも応用が利きます。

また蕗は刻まなくても細い物なら、そのまま切っても美味しく召し上がれます。

その時は、薄味の少し出汁に漬けてから煮ると仕上がりが良いと思います。

ぜひ、レパートリーのひとつに加えてください。

では、本日も良い一日をお過ごし下さい。

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