思い出ごはんは家族をつくる
子どもの頃、運動会の日のごはんは決まっておでんだった。
平成生まれの私が小学生になった頃には子どもの数もすっかり減っていて、運動会は午前中で終わる程度の規模だった。元来運動が得意ではなかった私は運動会には何ひとつ思い入れはなかったが、その日の昼食のおでんには、前日母が仕込んでいる時から胸を熱くしていたのだった。
母の作るおでんは、牛すじでとった出汁に醤油ベースの味付けで、おでんにしては少し濃厚な白ごはんのよくすすむ味だった。前日から炊いて味がしみしみになった大根と褐色に色づ