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旅の記録①パン作りが気になる期

サワードウジャーニーは今も続いている。あ、そもそも何で旅(ジャーニー)って呼びたいのかな。ジャーニーには「旅」以外に「ある段階から次の段階への道のり」という意味もあるそうで、そうか、そうか。確かに定点で習うというよりも、歩くながら習うのほうがぴったりくる。

さて、その道のりですが、以下のように区分けできます。

パン作りが気になる期

興味が開花期

興味が移行期

混迷期1:スターター

混迷期2:生地作り

混迷期3:焼き方

挑戦期(←今、ここ)

急ぐ旅でもないので、ゆっくり振り返ってみようと思う。

パン作りが気になる期

それは3月のこと。新型コロナウイルスが私の住むオランダにも徐々に広まっていた時期だ。2月末にオランダ南部ではじめて感染者が見つかり、3月4日頃には二ケタ台にのった。これからも増えていくだろうし、保存食を買っていたほうがいいかなと思うようになった。私よりも百倍用心深いツレのオランダ人Pどんは、すでに外出する度にせっせとストックを買うようになっていた。缶詰(豆類)、パスタ、大量のタマネギ、乾燥豆、ミューズリー、そして小麦粉。それも全粒粉、スペルト、ビオ、謎のパテントと、とりどり買い揃えている。普通のスーパーでもこれだけの種類が普通に買えるのだと妙なところに感心しながら、この小麦粉で何すんの? エビフライ?

小麦粉といえば、コロッケとかエビフライとか揚げ物を作るときに思い出したように使うくらいで、一年のほとんどを引き出しの奥の奥ですごす面倒くさい食材でしかなかった。だって料理によっては絶対必要なんだけど使う量はほんのちっぽりでしょう。その少しのためにパックを買うしかなくて、次に使うときはすでに賞味期限が軽く1年は越えていて、またちっぽりのために1パック買うしかない。ケーキやクッキーでも焼けばいいのだけれど、生憎スイーツづくりの趣味はない。もったいない食材以外の何物でもなくて、しかも引き出しの奥に粉が散らばったりして、10g単位の小袋で買えないもんか、と思っていた。

そもそも、ツレが何パックも小麦粉を買うのか不思議だった。何のため?? そっか、パン? 

パン作りに必要な他の食材って何だっけ? 確かイーストだ。スーパーで探してみると、なんとドライイーストが品切れしていた。小麦粉の棚も空っぽだ。ついでに国民スナック、ポテトチップもきれいにない。オランダ語では、買い占めをハムスタるという。空っぽになった棚をみて、小麦粉は日本人の米にあたる存在であり、オランダ人がハムスタりはじめたのを実感したのだった(米はまだ棚にあった)。

非常時はパンは自分で焼け。

Pどんが田舎の万屋さんでドライイーストを見つけ、棚に補充されると同時に姿を消す小麦粉に注意を払うようになり、ベーキングソーダも手に入れ、準備は整った。その頃の私は、編集者として何冊がパンの本に参加したもののバケットとパン・ド・ミの違いとか、ベーカリー訪問がパンであり、「作る」は範疇になかった。第一発酵とか、第二発酵とか、ベンチレストとかパンチとか、なんだかややこしそうなんだもの。イーストとベーキングソーダの違い、強力粉、中力粉、薄力粉の違いにもまったく興味のないヒトでした。




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