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国内MBA 1年目春学期を終えて - WBS Life Vol.1

 時が経つのは早いもので Waseda Business School での大学院生活も約5ヶ月が経過し、1年目の春学期が終了した。数多の試験やレポートを乗り越え、いまは大学生ぶりの夏休みというわけである。ぱちぱち。

 2021年の受験シーズンが近づいてきたからか、MBA実際どう?オンライン授業どんな感じ?仕事との両立は大丈夫?と聞かれることも増えてきた。

 記憶が薄れないうちに、大学院でどんなことを学んでいるのか?何を感じているのか?を記録に残しておくことにする。

1. 何を学んでいるのか?

 WBSの夜間主総合プログラムでは、必修コア・選択必修コア・選択科目を組み合わせて2年間で50単位以上の取得が必要だ。授業は2学期4クォーター制で春学期は必修・選択必修コアでその多くが占めらる。

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受講した授業の概要 (シラバスより抜粋)

①マーケティング (必修)
 伝統的な理論を学び、古典的な事例からデジタル時代の最先端事例までを幅広く取り上げ、理論的・実践的な理解を深める。授業の目標は、1. マーケティングの役割とその基本的なプロセスを理解すること。2. 市場を特定し、その消費者行動を分析できること。3. 企業が実施するマーケティング・ミックスの枠組みを理解すること。

②財務会計 (必修)
 授業の目標は、事業活動のための基本的な会計ルールを理解し、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成するための基本的な知識を理解していること。また、財務諸表から得られる情報(財務構造、営業利益の主要な源泉、財務表上の各項目の比重および各項目の数値の変化など)に基づき、企業業績を分析する基本的な方法を理解していること。

③ファイナンス (必修)
 ファイナンスの基本原則を理解し、事業及びその実現可能性の評価手法を把握する。授業の目標は、キャッシュフロー、資本コスト、資本構成、企業価値評価方法(DCFなど)等々のファイナンスの基礎概念を理解し、現実に使えるようになること。

④人材・組織 (必修)
 本講義の目的は、受講生が組織マネジメントと人材マネジメントについての基本的フレームワークを習得し、経験知と組み合わせることで、ビジネスの現場でより質の高い意思決定が実践できるようになることである。

⑤企業データ分析 (選択必修)
 企業にかかわるさまざまなデータを分析し、論文を作成するための方法を学ぶ。授業の目標は、回帰分析を用いている学術論文を理解できるようにすること、統計ソフトウエアを用いて分析ができるようになること。

⑥アントレプレナーシップ (選択必修)
 ベンチャー企業や大企業の新規事業の視野を世界的に広げ、その成功・失敗要因を分析する「ベンチャーマネジメント」理論と実務の蓄積が重要となっている。ベンチャー企業だけに留まらず、大企業やNPO、NGOにおいても今後、重要性を増す考え方「アントレプレヌールシップ」について議論する。

⑦企業とマーケット (自由選択)
 投資対象となる企業側の視点からマーケットの存在、影響について考察する。企業が実施する様々な企業行動(上場、種類株の発行、利益還元政策、情報開示、M&A、株主構成など)とマーケットの反応(価格形成、流動性、ボラティリティなど)を認識し、企業の資本政策への理解を深める。

⑧グローバルM&Aのマネジメント (自由選択)
 M&Aに関連する基本の理論やツールを学ぶと共に、事例研究などを通して実務に対する理解を深めることを目指す。特に、グローバルM&A成功の難所とされる買収後の事業統合について、その実態や課題を知ると共に、効果的な統合を実現するためのツールやプロセスを学ぶことを重視する。

※特に面白かった授業については個別で振り返る予定

 必修の授業は複数の先生が異なる時間に開講しており、登録可能な授業も全体で70個以上あるので、同じ1年生でも人によって時間割が全然違って、授業が全く被らないこともある。

★大手自動車会社人事部で働く同期の場合
 最低限の必修と選択必修を履修しつつ、専門分野の人事領域の選択科目を履修。唯一毛色の異なるESG科目もSが人事領域に関係するために履修。

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★総合商社で働く同期の場合
 MBAの基礎となる必修科目を中心に履修しつつ、グローバルビジネスを軸にした選択科目を履修。

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2. オンライン授業ってどうなの?

 春学期の授業は完全にオンラインで行われた。なんと、入学してから一度も早稲田キャンパスに訪れることなく春学期が終わってしまったので、未だに学生証も持っていない (笑)

※2021年度時点では、多くの授業がオフラインをベースに開講されているようです。

 基本的に授業はZOOMで行われ、ディスカッションが無い一部の授業は、録画映像を見て自学自習するオンデマンド形式で運営された。

オンライン授業の個人的な感想

★良かった点★
① 通学が無いので、移動時間を活用できる
② 自宅の整った作業環境で授業に参加でき、授業中でも自由に体を動かせる
③ 資料や板書が画面共有されるので、文字が小さくて見えづらいなどの不便が発生しない
④ 教室の人数上限が無いので、授業に参加可能な人数の上限が緩くなった
⑤ ブレイクアウトルーム機能を使って、座席の移動なく即座にグループワークができる
⑥ 授業の進行を遮ることなく、生徒同士がオープンにチャットを使って教え合ったり、意見交換できる
⑦ 著名なゲストを授業に呼びやすくなったとのことで、スマニュー西村さん、オープンハウスCMO加藤さん、SAP Japan CTO大我さん、SANRIO CMO田口さん、Pan for you CEO矢野さん、CVC取締役高槻さん、などの豪華ゲストが授業に参加してくださった

★改善できる点★
① 通勤時間が無いため授業直前まで仕事をしてしまい、授業開始時の切り替えが難しい
② 教授のネット環境が悪い場合など、授業がスムーズに進まないことがある
③ 学生はマイクをミュートにしており、カメラをオフにして参加する人もいるので、教授からすると学生のリアクションがわかりづらい。そのため、丁寧に反応を確認している授業ではスピードが落ちる
④ グループワークでのスピード感のあるディスカッションが難しい。ZOOMだと複数人が瞬時に会話を被せていくのではなく、誰かの話を順番に聞く形になりやすい。初対面のグループだとなおさら
⑤ 授業前後に学生同士で雑談する機会がないので、交流が生まれづらい

 総括して、授業に限れば想像していたより全然悪くなかった。むしろ、課題のグループワークや勉強会なども家から参加できるので時間を合わせやすいし、早稲田から職場が遠い人や小さなお子さんがいる人にとってもオンラインMBAは多くの利点が存在する。

 しかしながら、オフラインの授業と比べると臨場感や緊張感といったものがどうしても欠けるように思える。いかに学生を授業に集中させ、熱度を高め、質の高い授業を行っていけるかは、これからの教授陣に求められる要素の一つであろう。

 また、課題に感じるのは学生同士の交流だ。これに関しては流石にオフラインに軍配が上がると思う。オンラインでも緩いつながりは出来ていくのだが、授業の前後に雑談したり、授業終わりにサクッと飲んだり、帰り道で会話したり... といった機会は生まれづらい。一度でも顔を合わせたことがあるかどうかは、授業の質にも大きく寄与する筈だ。

 秋学期からは、平日はオフラインとオンラインの組み合わせ、土曜の授業はオフラインになるらしいので、春学期とはまた違った学生生活が楽しみだ。

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3. どんな人たちと学んでいるの?

 2020年度の夜間主総合プログラム入学生は約120人と例年よりも少し多いらしく、様々な企業からクラスメイトが集まっている。商社、金融、コンサル、製薬、不動産、メーカー、広告代理店、テレビ、インフラ、人材、Web系、医者、自営業、NPO、起業家などなど人材のるつぼだ。

 これまでに関わる機会の無かった業界の人たちと話すのは楽しいし、各々何かしらの思いを抱えて大学院に進学しているので、話は尽きない。各業界の現状や課題感など、知らなかったことに出会える機会が溢れている。

 未だに一度も直接会ったことが無い人たちばかりなのは不思議な感覚で、コロナが落ち着いたらオフラインで打ち上げしよう!と話している学友がたくさんいるので待ち遠しい限りだ。

4. 仕事やプライベートとの両立はどうなの?

 図らずしもオンライン授業になったことで、仕事との両立はやり易かった。授業開始の直前まで仕事を出来るので、時間は最大限に融通が効く。弊害として、授業中にも仕事の緊急対応をしたこともあった。仕事から勉強への気持ちの切り替えは課題である。

 自分が興味のある授業だけに本気で取り組み、そうでもない授業は必要最低限で受ける人もいれば、成績のため全ての授業に全力投球な人もいたりと、授業に割く時間は調整可能なので、仕事が忙しくても学業との両立は可能だと思う。

 ただ、毎週のように提出課題やレポートが求められるので、自主的な勉強会などをやっていると仕事と学業以外に使える時間は少なくなる。唯一完全に授業が無い日曜日の使い方次第で、プライベートの時間は調整が可能だ。

5. 大学院でMBAを学ぶ価値があるのか?

 大学院で学んでいることがダイレクトに仕事に活きているか?と聞かれると回答が難しいけれども、大学院に進学して良かったか?と聞かれたら、間違いなく Yes と答える。

 日常的なインプットとアウトプットの量が増えていることは前提に、多様な価値観・人生観を持つ人たちと、共に学ぶ経験はかけがえのないものだ。

 井の中の蛙じゃないけれども、自分が生きている世界はあくまでごく一部の世界で、世の中には面白いことやチャレンジできることもたくさんあると気づけた。

 WBSの平均年齢は30代後半だが、個人的には30歳前後で通うのは全然アリだなと思う。思い立った時に行動して、自分が意思を持って選んだ道を正解にしよう。

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6. 秋学期にむけて

 そんなこんなで、あっという間に大学院生活の 1/4 が終わろうとしている。果たして、残りの 3/4 が終わった時に更なる成長を遂げているのか。どんな道を歩もうとしているのか。どんな人間になっているのか。

 春学期はオンラインだったこともあり、広く深く周りと関わることが難しかったので、秋学期はより多くの人と学びを共にしたいと思う。

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