“普段の姿”から、祖父母と子どもの新しい関係を引き出す「公開保育」──写真で知ろう!小規模保育【保護者支援】
子ども一人ひとりの思いに寄り添った関わりを、言葉だけではなく、その目で見てほしい。そんな思いで力を入れていた「公開保育」。今回は敬老の日にあわせ、祖父母とだけの時間をつくることで、子どもの新たな側面が見えてきました。
<さくらんぼKIDS/京都府京都市>
■ ねらいと配慮
当園では、園の保育への理解や発信のために、いま積極的に公開保育を行っています。今回は特に、コロナ禍で園と関わっていただく機会の減った「祖父母」を対象として、子どもたちと遊ぶ時間をつくる企画を立てました。
準備としては、事前に案内をお届けし、1家族4名までで申し込みを実施。併設の企業主導型保育園の祖父母とあわせて、50名を超える方から申請がありましたが、子どもたちが日々通う公園内にある、広いコミュニティルームを半日手配し、大人数でもゆったり遊べるようにしました。
このコミュニティルームは、他の公開保育でも使っているほか、年に数回、室内遊びの一環で借りる機会もある場所です。今回もそこに、普段園で使っている室内遊具やおもちゃを持ち込むことで、日常の様子を知らない祖父母にも、“いつもと同じ”子どもの姿をお伝えできるだろうと考えました。
■ 振り返り
当日もいつも通り、朝の挨拶と歌から保育がスタート。子どもたちは「見られる」ことにも慣れているので、この日も特別な様子はほとんどなく、自然と保育士の周りに集まり、声を出したり踊ったりし始めます。訪れた祖父母は、その様子をまずは遠巻きに、本当にうれしそうに見つめていてくださいました。
その後、祖父母も一緒になっての遊びの時間では、子どもが手にしたものに一つずつ丁寧に言葉をかける姿や、熱心にブロックや電車のレールを組み立ててあげる姿も。「普段、こんなに遊ぶことはないです」とおっしゃる方もたくさんいらっしゃいましたが、両親とはまた違う、ゆとりのある関わり方が、すごく穏やかな時間を生んでいました。
定期的に子どもとの関わりがある祖父母でも、実際はご両親も交えて過ごす時間が多いなかで、あえて「祖父母だけ」という機会をつくれたことは、子どもたちにとっても新鮮だったようです。園ではしっかり者の印象だった子どもが、おばあちゃんの前ではすごく甘えた姿を見せたりと、新たな側面に保育士が驚く瞬間も何度もありました。
保育士の関わり方としては、横で見守り、あまり前に出過ぎないよう努めました。一方で、これまで「孫と一緒に過ごした経験がほぼない」と戸惑われる方もおられたので、その際は間に入り、遊びや会話をうまく引き出すような関わりに。園児の中には、これまで祖父母と接点がなく、最初すごく泣いてしまった子どももいましたが、時間が経つとぐっと距離も縮まり、気づけば一緒に遊ぶようになる……といった変化も見ることができました。
■ 「小規模保育」としての視点
小規模保育園の特徴は、こうした活動一つひとつを「0・1・2歳のためだけに設計できる」点にあると考えています。午前中2時間の行事なら、その2時間すべてを低年齢の子どもにあわせた活動にできる。たくさんの大人に見守られながら、大人と深い信頼関係を築くような関わりをしやすい環境があると感じています。
それは行事に限らず、日々の保育も同様です。例えばごはんを食べたくない園児がいたときに、納得できるまで傍で絵本を読んだりしながら、一人ひとりの気持ちととことん向き合える。そうした関わりが、3歳児以降の“土台”となっていくと捉えています。ただし保護者に発信をするうえで、言葉で伝えるだけでは限界もあり、今回のような公開保育を通じて「実際の保育」を見てもらうことが、園を知っていただくためにより重要になると考えています。