管理業務改善~人事マスタ~
「人事マスタ」とは、色々と定義や呼び方があると思いますが、自分が思う十分条件は、以下を満たしていることです
①在籍従業員(可能であれば退職者も)の最新情報がわかる
※最低限の最新情報:所属組織、役職、雇用形態、生年月日、会社メールアドレス、入社日、退社日
②社員番号で①が管理されている
理由は後述しますが、自分は過去2回転職して、まずはここの情報を抑えにいきました。もちろん、管理部門の業務効率化、事業部の生産性を結果的に効率よく上げていくためです。
できている会社のほうが多いのでは?と思っていますが、自分が経験した会社はそうなっておらず、聞いてみると意外にできています!と言う人事の方は多くなかった印象です。もちろん自分も完璧にできているわけではありませんが、、、
中小企業の人事データ管理
自分の3社しか経験しておらず、ベースは新卒で入った会社の知識ですが、3社の人事データの管理は大枠では下記のようでした。
1社名:ほぼすべての従業員情報(在籍+退職)が管理されていた。所属組織の履歴(最初の配属はどこで1年前はどこに所属していたか)は別管理だったけど、社員番号で紐づければ個人別にわかった。
Filemakerというソフトウェアで人事マスタが自分たちの手で作られていて、会社のやりたいようにデータベースを管理していた。
2社目(連結500人程度):何かの人事管理のパッケージを使用していた(奉〇かな?)。基本的な管理はできていたが、致命的な点があった。
パッケージの要件上、出向した場合、個人に2つ(在籍元と出向先)の社員番号が振られていた。なぜ致命的か。会社の運用のあると思うが、例えば、システム部からすると、個人には1つの社員番号で管理したい(貸与物の管理やメールアドレスの紐づけ)ので、システム部はシステム部で社員番号を発番していた。つまり、個人に対して、最大3つ目の社員番号が付与され、部門によって使っている番号が違っていた。なので、人事から渡す社員証に書いてある社員番号と、PCのログインのユーザーIDが別々のものだった。
連携すりゃいいだけじゃん!って思っていたけど、①意外に組織って縦割りになると、思っているほど連携しない、②人事がそこまで気をまわして社員番号の管理をしない、③離職も多い組織だったので本腰いれてそこまでやる人いない。
なので、入社して最初に役員にこのことを伝え、Filemakerを買ってもらったサーバーとライセンスで120万程度(サーバー100万は買い切り、ライセンス20万は毎年のランニング)。既存の人事データをべき論でFilemakerに作り直し、各組織(人事、システム、総務、財務、経営企画)と調整
で、必ず作っているシステムの相関図が下記のイメージ
3か月くらいで、作成し終わって、パッケージからFilemakerのほうに運用切り替え。
※詳細は書かないけど、このときに部門コードも付与し組織管理。
3社目(単体500人ほどの地方中小企業)
人事データは給与計算システムに入っている情報+台帳管理(台帳の元はエクセル)。データベース、という概念もあまりないので、今まではそれでやっていたそう。社員番号は2つ。
ここでもまずFilemakerを買ってもらい、もらったエクセルをまずはFilemakerに変換。
とりあえず、エクセルを変換して体裁整えて下記の状態。レイアウトだけなら1時間くらいで作成できます。
参考)https://www.filemaker.com/jp/
ここから、いろんなデータをこねくりまわして、なんとか運用に持っていくまでに約1か月(なんだかんだ自分で運用しているのが大半だけど、、、)
ちなみに、色々カスタマイズしているので裏側はもっと機能持たせていますが。
人事マスタの必要性
長々と書いてきたけど、なぜ自分が人事マスタにこだわるのか、メイン理由をいくつか列挙します。
①単純に「人」の情報は組織を可視化していくために不可欠
年齢構成や在籍期間、離職率や昇給率の可視化、将来的なタレントマネジメント
②会社の人の管理のスタートは、人事が入社手続きをした情報がほぼベースになる
③管理部門が提供するシステムはたいてい、「人」の情報が不可欠
①は個別でまた書きたいので、②と③を詳細に。
②:例えば、人事が新規入社者を登録すると、システム部はその情報をベースにPCの手配、システムの登録をします。異動や離職が発生したらその従業員データは更新しないといけません。人事と各部が連携できていないと、人事とシステムがバラバラで更新をすることになるので、複数部署でアナログな処理が発生しやすくなります。最悪の場合、情報の不整合が起きます。
なので、人事マスタを人事がしっかりと更新し最新に保つことで、またこのデータを共有することで、情報の統一化と、処理の効率化が図れます。自分の経験では、2社目と3社目は、最初は人事とシステム部は情報の共有ができておらず、お互い自分たちのもっている情報を各々で更新していました。完全に重複作業です。
③:管理部門が提供するいくつかのシステム、例えば勤怠管理システム、ワークフローなどの承認システム、楽楽精算などの経費精算システム、メールなどのインフラ、業務系のシステム等など、ほぼすべてのシステムには、必ず「社員マスタ」などと呼ばれる要素があり、正しく従業員を登録する必要があります。いくつかの要素が複数叶うシステムもあるでしょうが、いづれにせよ、これらのシステムの「運用」には、人の情報を最新に保ち続ける必要あり、この運用コスト(手間)が地味に大きいです。
管理部門の生産性を上げるのは、この情報の同期をいかに手間なくできるのか、が重要になると思います。会社によっては、1人1人登録したり、業者にお金を払って更新してもらってりしているようです。そういうことも否定しませんが、自分には苦手だし余計なお金もかけたくないです。
そのため、自分で人事マスタを作成し、各々のシステムが欲しい情報を、ほぼ自動で人事マスタから各システムに同期できるように設計します。
なんだかんだ、ほとんどのシステムが必要な情報は限られているので、一般的な項目をきちんとそろえて、csvなどで吐き出してアップロードできればほとんど解決します。
今、弊社では勤怠システムは「ieyasu」
参考:https://www.ieyasu.co/
とうものを使用していて、精算システムは楽楽精算
参考:https://www.rakurakuseisan.jp/
をテスト導入しています。もちろん、これらも従業員情報を登録しないといけないのですが、事前に人事マスタを整えていたので、テストするための従業員登録も、導入への道のりも、運用のイメージも非常に明快です。この後にはワークフローのシステムも検討しますが、ここも裏側の運用に悩むことは少ないと思います。
ちゃんと、人事マスタと整合性があるように、各々のシステムの同期用のデータを作っています。
おわりに
相変わらず書きたい事を、バーっと書いているので長文乱文になりますが、個人的には本当に人事マスタで大事だな、と思っています。
管理部は地味な作業が多く、知らないところで非効率になっていることが多いと思っています。数値化もしにくいし、「今までこうやってた」が多い世界。また、いわゆる”システム”に詳しい人は、多くないので、アナログで頑張っている人が非常に多い部門だと思っています。アナログでやっていると、すごい大変だし仕事した気になりやすいですが、システム的観点では一瞬で終わることを、いつまでもやっている事例を多く見かけます。3社目の勤怠システムがタイムカードであったことにも衝撃でしたが、これを毎日誰かがエクセルに転記している事実にも衝ショックをうけましした。
もちろん勤怠管理は大事ですが、システムいれればすぐに終わるし(システム導入が目的ではないですが)、ほかにもやらないといけないことなんてヤマほどあります。
なので少しでも管理部門(もちろん営業などもですが)が生産性を上げて、本来やらないといけないこと、やりたくてもできていなかったことに集中して、個人としてもできる領域を広げていける体制や環境を構築しないと、これからの資本主義では、会社も個人も生き残っていけないと思います。
またドライには、管理部門は原則は非生産部門なので、最低限の人数で最大限のパフォーマンスを出せる組織にし、販管費がポジティブな意味で少ない会社にしたいな、と思っています。
その先駆けとして、「人事マスタ」というものを整備して、その先のシステムのベースとすることを、個人的には強烈におすすめします!
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