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家に居ても「出家」する、家から出ても「出家」する。年末年始に感じた「家」に対する心境の変化。

私は、たまたまお寺を営む家族の元に生まれました。それで「出家」という選択肢が人生の中でチラつき続ける人生を送ってきたんですが、それも影響してか、「家」というものに興味を向けてきた気がします。

以前、本当の家族のあり方と仮置きしながら、「家」「家族」について書いたことがありました。そこで言いたかったのは「自己犠牲を止めるのは大事」ということでした。

※ちなみに本当の家族のあり方に正解も何もないと思っています。

さて、そこから家について個人的な進展?があったので、それについて書いてみようと思います。

旅をするようになってから、自分の人生に登場する人たちに、ありがたいと感じることが増えたのですが、お2人も、とんでもなくありがたい人たちです。

というのも私がこの世に生まれるきっかけになったお2人なのだから。面と向かうと、いがみ合うことも多々あるし、素直になれないと思うのですが、心から感謝しています。好きか嫌いか、さらには、自分のためになったか、ならないか。そういうもの以前に、ありがたく思います。ありがとう。(お寺の継承の話が複雑に家族のあれこれと結びついているので、単純にいきません: 言い訳です😉笑)

さて、そんなことを感じるようになった巡礼の旅の途中、2021年の12月31日から2022年1月2日に実家に滞在し、その時に、お2人と会ったのですが、私は不思議なことに、父親、母親との関わりが終わりを迎えたと感じたのでした。

私はこれまで、父親のことを父親として、母親のことを母親として見てきました。しかし、父親や母親というラベリングをお2人に対してやってきたのだと思ったのでした。そして同時に、お2人に、父親として、母親としての役割を期待して生きてきたのだと思いました。

父親だからーー、母親だからーー
父親なのにーー、母親なのにーー

そういうふうについつい相手を見てきたのですが、これが剥がれたんです。小さな頃から癖づいている見方なので、とっさに今もそのように見てしまうことはあるのですが、新しい心境の元で、私はお2人を、人生で縁が生まれた、かけがえのないお2人として受け入れたいと思いました。

縁が生まれても、人生の中で出会い直すのかどうかわかりません。お2人が明日亡くなるかもしれないし、私が交通事故なんかで明日亡くなるかもしれない。もう一度出会い直せるという保証はありません。お2人も刻々と変化を続け、私も刻々と変化を続けていきます。2度と、同じお2人には会えません。

また出会う時に、新しいお2人として迎え入れることができるかどうかは、こちら次第だと感じています。

これは、家族という特別な関係性を終えていくことだと感じました。父親、母親を想起する言葉ではなく、名前で呼ぶことにしました。人生で何度も出会って頂いたお2人を尊重し、これ以上、父親、母親というロールを求めないという関わりをしていけたらと思います。

さて、こういうことを感じている際に、パートナーのさとこさんから、仏教学者の佐々木閑さんがNHK100分で名著に出演された中で「家」についてお話されていたことについて、たまたま教えて頂きました。その仏道の家の話が、私が年末年始に感じたことに重なったのでした。

佐々木閑さんによると、仏道における「家」は「自分が作り出す自我」のことを指すようです。私はハッとしました。これまで、小さい頃から「出家」と聞き続けてきて、「家」が何を意味しているのかさえ、知りませんでした。改めて、自分が作り出している自我から抜け出していくことを「家」だとした時に、巡礼中の今、私は自我をベースにした、お2人との関わり方から、抜け出ようとしているのかもしれないと思いました。

ただ、気づくとすぐに自我に囚われ、自分中心、損得感情ボタンをオンにしてしまいますので、私は場合は、何度も何度も出家することになると思います。一回くらいじゃ到底足りないですね...笑

1月2日、いつもは私のことを戸籍上の名前「よしたか」と呼ぶ 祥光さん(父にあたる人)でしたが、私のことを しょうけい と呼ぶようになりました。さらに、私が物理的に家を出る時、祥光さんに合掌して見送られました。その時に、私が よしたか という名前を使うこと、そして、家族、父親、母親、息子という関わりが終わったのだと感じました。(離縁したわけではありません)

これからは、他の方々と同じように、お2人が、精神的に、楽に在れるように、こちらからの関わり方を試行錯誤していけたらと思います。

お父さん、お母さん、お疲れ様でした。これまで、ありがとうございました。

祥光さん、けいこさん、どうぞ日々を健やかにお過ごしください。

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