相撲に学ぶ「基本」の大切さ
大相撲の初場所が始まりました。私は相撲が大好きなので、本場所中の15日間は毎日ワクワクしています。今場所は、約半年ぶりに復帰した照ノ富士関、そして1番好きな宇良関の活躍に期待しています。(なんと初日で2人が対戦するとは!)
昨年末、初めて巡業(とちぎ場所)に行きました。間近で見る力士の皆さんは、テレビで観て想像していたよりもずっと大きかったです。息子(1歳7ヶ月)をだっこしてもらったり、サインをいただいたりと、沢山の力士とふれ合ったことで、前にも増して相撲が好きになりました。
この巡業で1番私の心に残っているのは、「稽古」です。土俵上でのぶつかり稽古や申し合いは大迫力で、じっと見入ってしまいました。ただ、私が1番興味を引かれたのは、四股などの「基本の稽古」です。
会場内には、土俵上で稽古をしていない力士も何人かいました。それでは、会場の隅で何をしているのかというと、四股やすり足といった相撲の基本動作をひたすら繰り返していました。腕立て伏せやスクワットといった筋トレを含め、黙々と体を動かし続ける力士たち。全身に汗をかきながら1時間以上も基本動作を繰り返す姿を見て、「これこそがプロなんだ」と実感しました。こういった地道な稽古の積み重ねの上に、本場所での一瞬の輝きがあるのですね。
力士と直接ふれ合えるのが巡業の魅力ですが、稽古中にサインや握手を求めるのはNGです。ただ、中にはそのようなことを知らずに力士に声をかけようとし、付け人に「今は稽古中なんで…(やめてください)。」と制止されている方もいらっしゃいました。四股を繰り返していたある2人の力士は、休憩中にこうおっしゃっていました。
〇〇関
「さっき、サインをもらいに来た人は、〇〇(付け人)が『稽古中』と言ったらきょとんとしていたね。きっと四股やすり足は稽古だと思われていないんだろうな。」
□□関
「土俵の上だけが稽古じゃないんだよね。」
この会話を聞けただけでも巡業に行ったかいがあったと思いました。宮城野親方(元横綱 白鵬)は、現役中から「相撲は基本が大切」とおっしゃっています。今回巡業に行ったことで、その意味が前よりもっと実感できました。何千回、何万回と繰り返す動作の反復の中にも新しい発見は常にあり、きっと素人には分からない変化や進化もあるのだと思います。基本稽古で体や技だけでなく、心も作っている。そんなふうにも見えました。
文武一道塾 咲柔館は今年も「基本の稽古」を大切にしていきます。受身・打ち込みといった基本の動作の反復を日々の稽古で繰り返し、柔道の土台をしっかりと作るからこそ、安全で理にかなった良い技をかけられるようになります。
また、長く柔道を続けるためにも基本の稽古は大切です。剣道の最高段位である八段取得を目指し、「生涯現役」で稽古に励んでおられる弘中聖規(きよみ)先生が、以前NHKの番組内でこうおっしゃっていました。
(剣道を長く続ける秘訣は何ですか?という質問に対して)
「好きになることです。好きになるためには基本を正しくやらなければならない。基本を正しくやるからこそ好きになる。すると無駄がなくなる。力の省略ができます。」
弘中先生はあと数年で百歳になります。長年剣道を続けられ、今も現役の弘中先生の言葉には、柔道にも通じる大切な教えがあります。
子どもクラス、中高生・大人クラス共に「当たり前(基本)のレベルアップ」を目指し、今年も稽古に励みましょう。きっと基本稽古を繰り返した先にしか見えない景色がありますよ。
「柔道をやることで、人生はより豊かになる」
「柔道家が増えることで、社会はより良くなる」
文武一道塾 咲柔館
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