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「卯月の精進料理」 2017年4月

毎年この時期の風物詩といえば、お花見ですよね。神奈川では早々に寒緋桜が咲き始め、そのあとソメイヨシノや八重桜などが私たちを楽しませてくれます。一方でオオイヌノフグリやカラスノエンドウ、カタバミ、ハナニラなど、たくましくも可憐に咲く雑草たちもそこここに現れます。たからの庭にはみちくさ部という部活がありまして、若き樹木医の佐々木さんとともに、雑草とひとくくりにされてしまう見落とされがちな小さき草花を散歩しつつ愛でるというすてきなサークルがあるのですが、そんなみちくさ部の活動で思い出すのが、道元禅師の「花は愛惜に散り、草は棄嫌に生ふるのみなり」です。きれいな花は惜しまれつつ散っていくが、雑草は嫌がれつつ生い茂る。きれいな花も雑草も、人間の勝手で良い悪いを判断してはならないという戒めの言葉ですが、あえて雑草を愛でるなんて、お若いのにすてきだなと常日頃思うのでした。
そんな佐々木さんを見習って、季節の蓬を使った胡麻豆腐を汁の実につかったり、2週間程度しか手に入らない花山葵や、おからを季節の卯の花に見立てた料理などを作りました。ぜひご参考にしてくださいね。

1.青豆飯、2.蓬豆腐の白味噌仕立汁、3.テンペの唐揚げ野菜餡掛け、4.卯の花煮、5.花山葵の酢醤油浸し


1.青豆飯
エンドウ豆は嫌いな方も多い食材のひとつ。理由はたぶん缶詰や冷凍食品にあるのではないかと思うのです。ぜひそんな方にこそ、旬のエンドウ豆を召し上がっていただき、トラウマを払拭していただきたいと思います。購入時はかならずさやつきを買うこと。空気に触れるとどんどん固くなってしまうからです。カロテンやミネラルたっぷりですので、ぜひ一度はこの時期に作ってくださいね。

材料:エンドウ豆(さやつき)250g、米2・1/2C、水585cc、酒大1、塩小1/2、干し湯葉適宜、塩少々、揚げ油

1)米は洗ってザルに15分はあげておきます。
2)釜に分量の水と調味料を入れて20分程度おいてから火にかけます。沸騰するまでは火加減は最強でおねがいします。
3)できれば釜を火にかけ始めてからえんどう豆をむいてください。難しければ火にかける直前で。そのくらい、せっかくのさやつきですので気を遣ってください。
4)2が沸騰してきたら中火にして7分ほどたき、むいた豆をいれて弱火にして3分、最後は強火にして10秒でパチパチという音を聞いてから火を止めて10分蒸らし、天地返しをして、盛り付けます。

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5)干し湯葉を素揚げして、塩少々して適当にぱりぱりっと割って、4に天盛りします。これは錦糸卵の代わりです。香ばしい揚げた湯葉の味わいがアクセントになりますし、彩りもいいですよね。桜の花の塩漬けを塩を抜いて乗せてもいいかと思います。

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2.蓬豆腐の白味噌仕立汁
この時期道の端っこに群生しているのをみては、春を感じるヨモギ。草餅などもいいですが、葛でよせて豆腐にするのも楽しいですよ。蓬に沢山含まれているタンニンには消炎効果や止血効果があって、昔はよく虫に刺されたときなどにすり込んだものでした(遠い目)。

材料:(流し缶14×11cm型1つ)蓬50g(乾燥蓬なら5g)、重曹耳かき1杯、水出汁3C、くず粉1/2C、練り胡麻大3,塩少々、味醂大1弱、京菜花各1本
味噌汁:水出汁5C、白味噌250g、赤味噌少々、水とき辛子適宜
菜花の温め用:水出汁1/2C、味噌汁大1程度、塩1つまみ

1)蓬は葉だけをむしり、1.5リットルの水に耳かき1杯の重曹を加えてさっと茹で、水にさらしてからしぼって細かく刻んでおきます。乾燥蓬ならは熱湯少々をかけてもどしておきます。
2)水出汁にくず粉を溶き(できれば一晩冷蔵庫へ入れておく)、さらに練り胡麻を加え、よく混ぜつつ、強火にかけます。

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3)2)を常にかき混ぜながら下からのり状の塊が出てきたら、火を中火にして蓬を加え、最低10分は練り、底からはがれる様になったら味醂と塩を加え火を止め、水で濡らした流し缶に熱いうちに流し入れ、冷水で冷やします。火加減が弱いと弾力のある豆腐ができませんので、中火以下にはしないこと。また冷蔵庫だとぼそぼそになってしまうので、必ず冷水で冷やしてください。

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4)出汁を温め、白味噌を溶き、とろ火でことことと20分は煮て、味が足りないようなら赤味噌少々で調整します。

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5)菜花をさっとゆで、水にとって色止めしておいたものを出汁に味噌汁を加えて塩少々し、温めなおします。
6)椀に蓬豆腐を切って置き、5を食べやすい長さにきって添え、汁を張り、水とき辛子を吸い口にしていただきます。

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3.テンペの唐揚げ野菜餡掛け
テンペはインドネシア発祥の豆の発酵食品。日本では1cm程度の厚さで真空で売られている事が多いです。あまりクセもなく、調理しやすい食材なのですが、なかなか日本の食卓に浸透していないようなので、今回使いました。ぼそっとした食感と少しのくせのある風味をなじみ有る醤油で下味をつけることで解消しました。タンパク質をはじめ、イソフラボン、ビタミンB群など栄養価が高い食品ですので、ぜひ普段の食卓にも乗せてあげたいものです。

材料:テンペ各50g、醤油大1、片栗粉適宜、揚げ油適宜、人参30g、玉ねぎ1個、絹さや50g
餡:出汁2C、淡口大2,酒大1、片栗粉大1強(同量の水でとく)、生姜汁小1、塩少々

1)テンペは食べやすい大きさに切って、醤油大1程度をふって下味をつけてから片栗粉を薄くうち、170度くらいの油で揚げておきます。

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2)絹さやはゆでて、人参、玉ねぎはそのまま細切りしておきます。

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3)鍋に出汁と人参と玉ねぎを入れ、柔らかくなったら調味し、絹さやを加えたら、水溶き片栗粉でとろみをつけて、最後にごま油と生姜汁を加え火を止め、1にかけて召し上がってください。

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4.卯の花煮
卯の花はウツギのこと。白く小さいウツギの花がおからと似ていることから、おからのことを別名"卯の花"と云うようになりました。今回はざるできれいに洗って真っ白く仕上げました。

材料:おから150g、人参10g、蓮根30g、干ししいたけ1枚、わけぎか万能葱1本
水出汁+干ししいたけの戻し汁3/4C、砂糖大1・1/2、塩小1/3、酒大1

1)おからは笊にいれ、水を張ったボールにつけて手でかき混ぜながらこします。ざるに残ったカスはすてます。

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2)盆笊にさらしの布巾を広げ、ボールのおからをあけて水気を絞ります。

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3)人参は7mm四方の薄い色紙切りにします。
4)レンコンは皮をむき、銀杏に切り、酢水にさらします。
5)干ししいたけは水で戻し、長さを1/2にしてからスライスしておきます。
6)ワケギは小口切りにしておきます。
7)鍋に出汁と干ししいたけの戻し汁を張り、人参と蓮根を入れて火にかけ煮立ってきたらわけぎとおからと調味料を加えて汁気がなくなる程度に炒り煮にします。

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5.花山葵の酢醤油浸し 
普段、根っこの部分しか見ていませんが、茎から上の部分も山葵は食べられるんです。花山葵はとても出回る時期が短いので、手には入ったらぜひ一度試してください。つーんと心地よい辛みとしゃきしゃきした歯ごたえがたまりませんよ。

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材料:花山葵2把、塩少々、油揚げ1枚、出汁1/4C,淡口・味醂各小1
つけ地:醤油大3,酒・味醂・酢各大1

1)花山葵は、3cmに切り、75~80度のお湯で10秒湯がいてすぐに塩少々をふって、密封できるビニール袋にいれて空気をできるだけ抜いてもんで、30分~1時間はおいておきます。

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2)1に漬け地を加え、冷蔵庫で最低でも1時間は寝かせておきます。

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3)油揚げは長さ3cm、幅5mm程度に切って、分量の出汁と調味料でさっと煮て、冷ましておきます。

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4)2と3を組むようにして盛り付けます。油揚げが辛さを中和してくれるので、辛いのが苦手な方でも召し上がれるかと思います。

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レシピ&原稿:温石会 入江亮子
(北鎌倉たからの庭<旬を楽しむ精進料理> 4月の献立より)


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