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地球建築家10-2 アルネ・ヤコブセン

至極の階段たち

階段は階というステージを橋渡しする装置であり、水平動線から垂直動線へと切りかわる、躍動感が生まれる場所だ。

建築家が最も力を注ぐ部分である。

過去の名だたる建築家が、心血を注ぎ絶品の階段をデザインしてきた。

ヤコブセンの階段は、その絶品中の絶品である。

冒頭の写真は「ベラヴィスタ集合住宅」の階段である。

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 (写真は「ヤコブセンの建築とデザイン/TOTO出版」から引用)

天空へと導かれていくようである。

壁を青くしたのは、きっと空の一部にしたかったのだろう。

しかし、どんな手触りなのだろうか。

手摺から、段板から、壁から、全ての部分を触ってみたくなる階段である。そして、半日ほどかけて光の移ろう様を観察し、これでもかというほどスケッチと実測をして帰りたい。そんな願望が湧き上がってくる。

次はこの階段。

「ベルビューシアター」の階段だ。

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手摺がなんとも可愛らしい。今にも動き出しそうだ。私なら、きっと人目がないことを確認して頬ずりするだろう。

壁の照明がまたいい。可愛い子供服のボタンのようである。この細やかさに脱帽である。

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次はこれ。

「ノヴォ治療ラボラトリウム」の階段。

多孔質大理石をふんだんに使った均質な空間となっている。

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大理石は使い方が難しい。これみよがしに使うと成金の家のようになってしまう。ピカピカとひかる鏡面ではなく、多孔質(表面に細かい穴が無数にあり、マットな質感)を使っているところにセンスを感じる。

この石たちが一番美しく、品よく見えるように、質感と厚みと割付寸法が決定されている。

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それと、注目して頂きたいのが天井である。素材が何かはわからないが、割付を壁に合わせてある。隅々まで徹底的に気が配られている。

最後がこれ。

「オーフス市庁舎」の階段である。

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もはや、私のうんちくはいらないだろう。

とびっきり高いスーツにお気に入りの革靴を履いて、颯爽と駆け上がりたい。

真鍮(銅)の手すりがほどよくグレード感を上げている。

ああ、すごいなー。どうやったらこんなものが作れるのだろう。

コロナ明けに行きたい場所の一つが決まった。


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