![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/53991680/rectangle_large_type_2_609efc98c90e536d44a4cced9d63fa38.jpg?width=1200)
地球建築家10-2 アルネ・ヤコブセン
至極の階段たち
階段は階というステージを橋渡しする装置であり、水平動線から垂直動線へと切りかわる、躍動感が生まれる場所だ。
建築家が最も力を注ぐ部分である。
過去の名だたる建築家が、心血を注ぎ絶品の階段をデザインしてきた。
ヤコブセンの階段は、その絶品中の絶品である。
冒頭の写真は「ベラヴィスタ集合住宅」の階段である。
(写真は「ヤコブセンの建築とデザイン/TOTO出版」から引用)
天空へと導かれていくようである。
壁を青くしたのは、きっと空の一部にしたかったのだろう。
しかし、どんな手触りなのだろうか。
手摺から、段板から、壁から、全ての部分を触ってみたくなる階段である。そして、半日ほどかけて光の移ろう様を観察し、これでもかというほどスケッチと実測をして帰りたい。そんな願望が湧き上がってくる。
次はこの階段。
「ベルビューシアター」の階段だ。
手摺がなんとも可愛らしい。今にも動き出しそうだ。私なら、きっと人目がないことを確認して頬ずりするだろう。
壁の照明がまたいい。可愛い子供服のボタンのようである。この細やかさに脱帽である。
次はこれ。
「ノヴォ治療ラボラトリウム」の階段。
多孔質大理石をふんだんに使った均質な空間となっている。
大理石は使い方が難しい。これみよがしに使うと成金の家のようになってしまう。ピカピカとひかる鏡面ではなく、多孔質(表面に細かい穴が無数にあり、マットな質感)を使っているところにセンスを感じる。
この石たちが一番美しく、品よく見えるように、質感と厚みと割付寸法が決定されている。
それと、注目して頂きたいのが天井である。素材が何かはわからないが、割付を壁に合わせてある。隅々まで徹底的に気が配られている。
最後がこれ。
「オーフス市庁舎」の階段である。
もはや、私のうんちくはいらないだろう。
とびっきり高いスーツにお気に入りの革靴を履いて、颯爽と駆け上がりたい。
真鍮(銅)の手すりがほどよくグレード感を上げている。
ああ、すごいなー。どうやったらこんなものが作れるのだろう。
コロナ明けに行きたい場所の一つが決まった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?