shohei_yoshida

ネズミ捕りから建築設計まで、とりあえずなんでもやってみる。そして考える。そのための場と…

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ネズミ捕りから建築設計まで、とりあえずなんでもやってみる。そして考える。そのための場として【mibunka|みぶんか】という小さな複合施設を企画しました。日々、運営もしています。

マガジン

  • 真昼の空にもあまたの星

    • 20本

    埼玉でカフェやスペースなどを運営する数名が、店のできごと、日々感じること、見えてくる世界をつらつらと綴ります。

最近の記事

何処かで誰かが、死んでいる

墓をつくりたいと思っている。 何かの例えではなく、人が死んで、骨や体が納められる墓を。 突拍子がなく聞こえるかもしれないが、そう思うようになったのはきっかけがある。 僕は自分の店がある街の自治会で、環境部という部署の長を務めているから、孤独死の話が年に数回ほど耳に入ってくる。 先日も店に来てくれていたお客さんが亡くなった。 窓が開かない家の様子を不思議に思ったご近所さんが警察を呼んで、それから事態が発覚したそうだ。 高齢化が進む街だから起こりうるとはいえ、顔や名前を知

    • 脆弱さのネットワークとその構成員に向けたメモ

      • 公共性に向かう道

         さいたま国際芸術祭の公演、「指揮者が出てきたら拍手をしてください」(倉田翠 演出・構成)を観た。 *以降「指揮者が…」と略す。  「指揮者が…」は、18人のかつてバレエをやっていた人(*倉田翠/ハラサオリを含むと20人)が、演者となった舞台である。  演者の過去の思い出や実生活と、かつてバレエによって訓練された身体の動き(バレエの動きだったり、全く違う動きだったり)とが舞台上や客席の一部などで展開された。最後には倉田翠(ハラサオリ?)自身のバレエに対する思いと身体が表現さ

        • 営業妨害だ、と釘を刺される

           コーヒーの値段について、ずっと悩んでいる。  売れないからとか、場を維持するためには、とかそのような数字の計算が理由で悩んでいるわけではない。  もちろん売れて欲しいし、場を維持していきたいのだけど、悩んでいる理由は全く違う二つの立場(価値基準)の間に晒されているからである。  そもそも、私がこの街で喫茶店を開け、コーヒーを売り始めたのは5年前になる。  それ以前は、建築の設計事務所にいたり、大学で建築の教育や研究を行う立場にいたりした。  ありていに言えば、建築士として

        何処かで誰かが、死んでいる

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        • 真昼の空にもあまたの星
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        記事

          古くねえよ、と怒られる

           数年前、「街のことたいして知らねえだろ?」と言われたことがある。 確かにそうだ。たいして知らない。  当然、知らなきゃマズイわけでも、何か言ったりやったりしちゃダメってわけでもないのだが、部外者は口を出すな的価値観の人と話をするには知っていた方が良さそうだし、単純に悔しい気持ちもあったので、誰よりも街のことを知ろうと思った。  まず、商店街の仕事として、全45店舗(撮影当時)にインタビューをしながら動画を撮った。角栄商店街のHPに店舗の情報を記載するため、という建前もキ

          古くねえよ、と怒られる

          店舗の中心で、おっぱいと叫ぶ

          先月から商店街に新しい拠点をかまえることになった。 名前は「mibunka(みぶんか)」とした。 空いてしまった店舗 (現mibunka) をとりあえず借りたのが1年前。 なにをするか、なににするのかも決めないまま、借り続けた。 商店街の中にあって、店舗でもないのに煌々と明かりがついているようすは、周りの方からは不思議がられていたようだ。 この1年の間のあれこれ(なぜ1年もただ借りていただけだったか)については別の機会で書くことにするとして、今回は新たな拠点であるm

          店舗の中心で、おっぱいと叫ぶ

          人助けで金を稼ぐな、と言われる

           私が活動する地域には、自治会が運営する「お手伝いサービス」という有償ボランティアの組織がある。地域住民の困りごとを、地域住民が助ける仕組みである。立ち上げてから、もう10年。当初は60~70歳代だった彼/彼女たちは、その分、年を重ねた。  「お手伝いサービス」は、1964年に造営された住宅団地を拠点としている。市内でも最も高齢化率が高く、現在では40%を優に超えるエリアである。彼らは住人としてこの先の地域課題に危機感を覚え、草の根的なつながりを活かし、地道に周知や勧誘活動

          人助けで金を稼ぐな、と言われる

          道端で、ジイさまとケンカする

           いつも通りに家を出る。観光地を背に住宅街を抜けると、田畑の向こうに点々と鉄塔が立っている。土砂やら建材やらを積んだトラックが走るからだろうか、アスファルトで舗装された道路の上に、自転車で走るにはつらい大きさの砂利がまだらに散らばっている。砂利をパチパチはじきながらしばらく走ると、大きな河川に行きあたる。この規模の川を越える橋は当然ながら数が少ない。迂回、迂回。橋のゆったりとしたアーチの頂点まで登ると、平野の際で山々が連なっているのがよく見える。橋を下ると住宅地、そしていつも

          道端で、ジイさまとケンカする