顧客を理解するとは?
カラクリ株式会社の取締役 VP of Customer Successの鈴木奨平です。僕らの会社はSBI証券様、メルカリ様、WOWOW様、エン・ジャパン様など、比較的大規模なBtoC、BtoBサービスのカスタマーサポート(カスタマーサービス)の自動化、最適化を推進し、お客様のサービスのユーザー、すなわちエンドユーザー様の顧客体験を向上する「KARAKURI chatbot」などのサービスを提供しています。
(本記事はCS HACK Advent Calendar 2020の12/1の回として書かせていただきました。)
2020年10月15日、Salesforce様のスタートアップコミュニティのイベント「The Model Academia 2020 vol.5 カスタマーサクセス編」に僕が登壇したのですが、その内容の一部について記事にしようと思います。なおこのイベントの模様はSchooさんから視聴可能です。
↓当日の資料はこちら
僕なりのカスタマーサクセスの定義
前提として、僕の中では「顧客の事業と組織の成長にコミットすること」をカスタマーサクセスの定義の1つとしています。理由は下記のとおりです。
それなりのお金をいただいている以上、自分たちの提供するサービスを通じて顧客の事業成長の一翼を担う責任がある(売上貢献、コスト削減に何かしら寄与していると意思決定者の方に実感していただく必要がある)。
他にもいくつかサービスがある中、自分たちのサービスをわざわざ選んでいただいた以上、サービスを通じた取り組みの成果が経営の方や世間から認められ、経営の意思決定として顧客の部門(組織)にもっと投資しようと思ってもらいたいし、よりエンドユーザーの顧客体験向上のためにできることが増えていって欲しい(そして結果として顧客企業も儲かり、カウンターパートである顧客にも出世してもらいたい)。
以下、この前提で話を進めていきます。
※「三方よし」という定義もよく個人的に使っており、これもイベントでは少し触れているのですが、ここではスライドの紹介のみとします。
※近江商人「商売の十教訓」は松下幸之助「商売戦術三十カ条」の一部を抜粋したと言われています。
顧客のことをどこまで理解しているか?
よくカスタマーサクセスは「顧客と伴走しましょう」と言われます。しかしカスタマーサクセスマネージャー(以下、CSM)は自分のたちの顧客のことをどのレベルまで理解しているでしょうか?
もちろんサービスの特性、料金などによって異なりますが、僕たち(顧客はエンプラ中心で月額6桁以上のサービス)のCSMは、顧客企業の事業・組織状況はもちろんのこと、経営状況、顧客企業を取り巻く外部環境(いわゆるPEST(政治、経済、社会、技術動向)などのマクロ環境、市場や競合などのミクロ環境)まで理解しようと努めています。
理由は、企業である以上、経営方針・事業方針がカウンターパートである現場の方の業務にも影響を与えているので、その上流部分を押さえていないまま突き進むとどんなに顧客にとって良い施策をやったとしても個別最適になる可能性があるからです。
例えば、サッカーにおいて監督の作戦・戦術ベースでチームが動いているのに、1人だけ好き勝手にプレーしていると、(たとえ得点を決めるなど結果を出していたとしても)当然交代させられるでしょう。しかしビジネスの世界では得てしてこういう個人プレーっぽいことが起きているのに気づかないまま、各々(各部署など)が勝手に個別最適な仕事をしているケースがあると思います。これでは短期的には良かったとしても、体の歪みのようにいずれどこかでバランスが崩れていき、取り返しのつかないことになる可能性があります。
また、直近では多くの企業はコロナの影響を何かしら受けているはずです。そういった未曾有の事態の時でも顧客でどんなことが起きているか(あるいは起き得るか)を予測し、(おそらくお困りであろう)顧客の立場に立って今後どうしていけばよいかの仮説を持ちながら、事業をより良くしていく前向きなコミュニケーションを顧客と行えたらどうでしょう?「この人、自分たちのことを本当によく考えてくれているな」と思ってくれ、顧客との信頼関係はより強固なものになるでしょう。
以上から、顧客企業の上流部分をしっかりと理解することは大事で、それらの内容が自分たちが提供しているサービスを通じて顧客と実現しようとしていることと連動している必要があるでしょう。そのために、(現時点では)僕らは全てのお客様と下記のようなサクセスロードマップを作成し、お客様と上流部分からサービスで取り組むことや直近の目標の認識を揃え、共にその進捗を追っています。
サクセスロードマップの作成については過去の記事にも記載していますので、よろしければご確認いただければ幸いです。
顧客理解のために必要なスキル
顧客理解についての僕の考えをつらつら書いてきましたが、顧客理解の解像度をより高めていくためには当然それなりのビジネススキルも必要になります。ざっと僕が自分たちに必要だなと感じるものを記します。
・顧客企業の経営状態や該当事業の位置づけなど、全体像を知るための会計知識(財務3表、決算説明会資料、有価証券報告書)
・どのようにすれば事業が成長するかを把握するためのビジネスモデル理解
・顧客以上に専門性を発揮するためのドメイン知識(業界、CX、CSなど)
・課題や解決策をクリアにしていくための仮説思考、論理思考、水平(抽象化)思考
・ステークホルダーが多く組織論理も複雑な大企業にも対応できるコミュニケーション、デリバリースキル
など
これらをどのように各々が身につけ、業務に活かしていくかというところに関しては、僕らもまさに今試行錯誤している最中です。
現時点では、グロービスのグロ放題を活用しての社内勉強会、課題図書やイベントのインプット・アウトプットでやっていますし、2020年からはCSイネーブルメントという役割を担うメンバーと人材開発についても取り組み始めているのですが、このあたりみなさんはどうされているのか、ぜひ情報交換したいところです。
また、僕が管掌しているカスタマーサクセス(CX Design)部門(役員・社員9名、業務委託・インターン13名)でCSMを特に積極採用中ですので、もし少しでも興味あれば僕とカジュアルにお話ししましょう!誰もが使ったことあるようなサービスの顧客体験をより良くする提案ができ、さらにはその結果がお客様の経営指標にもダイレクトにも現れるという、責任は重いけど非常にやりがいある面白い仕事だと思いますよー。
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