5. 違いを受け入れ、認める力 (1)

このところ少々本筋から逸れた話が続いたようだ。本筋に話題を戻そう。

〜これまでのお話〜
「尊敬する力」をつけるには「人に興味を持ち理解する力」が必要ということであった。そして、その人の価値観を理解するためには「違いを受け入れ、認める力」がベースに必要だ、という結論であった。

いわゆる多様性を受け入れ認める力だ。

しかし、俺は人は自分と異なったものを生まれつき拒絶する性質のある生き物だと思う。特に人種が違うともなればそれは激しい。ペリー来航の時の日本人の異常なほどの反応がそれを表すわかりやすい例であろう。

(現代の倫理的にあまり触れられないが)心理学観点から見てもその傾向は見られるように思う。人間は協力することを前提に設計され、他社の感情を読み取る能力と知性を身につけているが、協力するということは同時に「敵対するもの」の存在も前提としている。

その敵対するものとは、肉食の動物だけに限らず、多種族の人間なども含まれるのではないだろうか?心理学者のDr. Reneé Carrは以下のように言っている

“When one race of persons unconsciously feels fear in response to a different race group—fears that their own level of security, importance, or control is being threatened—they will develop these defensive thoughts and behaviors”

これは人種という大きな違いへの恐怖だけではなく、もしかすると違う価値観の人間に対してもFear(恐れ)を感じるのではないだろうか?俺にはその経験がある。いや、価値観なんてものだけじゃなく、自分と異なった遺伝子情報を持った異性を無意識に感じ取れるように、仲のいい友達同士は無意識に似通った遺伝子情報を持っていたりするのではないだろうか?もし、そうなら違いを受け入れる上でこれ以上の障壁はないわけだが(笑)、まあここら辺の論文から見ていこう。