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モービウス、なんつー仄暗い映画なんや

バリバリネタバレあります!全文ネタバレです!

(そこら辺にいるぺーぺーが、言語化・文章のトレーニングをするべく書いている駄文です。そこのところを理解された上で読んでいただけたら幸いです。)

MARVEL作品って、積極的に観ようと思って観た事がない。
一先ず、MARVEL作品で観たことのあるものを以下に挙げてみようと思う。

・アイアンマン(2に関してはもしかしたら観た事があるかもしれないが内容をパッと思い出せない)
・インクレディブルハルク
・ヴェノム(二作目は観ていない)
・ファンタスティックフォー(正直記憶が朧げだ)
・スパイダーマン(一作目は確実に観ているだろうが、それ以降の作品はどうだろう…金ローとかでぼんやり観た事があるくらいかもしれない)

この程度だろうか。正直全体的にほげー…と思いながら観ていたので、詳細は覚えていない事が多い。
このように、映画を観ることは好きだがガッツリ語れるほどのめり込んでいるわけではない所謂ミーハー風情の人間が、今回モービウスを観た感想をつらつらと述べていく。よって、そこまで深く語ったりは出来ないのでマニアックな感想を求めている方は回れ右でブラウザバッグしてください。自分なりにあらすじを書きながら自分の思ったことを思い出そうとする節があるので、長ったらしい文章になっていますが怒らないでください。

まず、映画を通して思ったことは「く、暗ェ〜!!!!!!!!1時間45分、永遠に暗ェ〜!!!!」である。暗い話は大好物なので美味しくいただいたが、MARVEL作品ってこんなに陰鬱な雰囲気の漂う作風でしたっけ……。始まりから終わりまでサスペンスで塗れていましたね。

この物語は小さな病院から始まります。長く入院しているマイケル・モービウスという少年の隣のベッドに、新しくルシアンという少年がやって来ました。マイケルはルシアンに、「やあマイロ」と声をかけるわけです。
…誰ですかそいつは。ルシアンって言ってるじゃないか。ルシアンも困惑してそれは前に隣で寝ていた人の名前じゃないのか、なんて聞きますがマイケルは素知らぬ顔。そして言うのです、「そのまた前の人もマイロだった」なんて…。もう諦めてしまっているのかな。名前なんて覚えたところで意味がないのかもしれない、どうせ自分よりも早くいなくなってしまうのだから。(或いは、自分が?)
ある日のことです。ルシアンとの会話の途中、突如彼が意識を失います。慌ててマイケルがナースを呼びますが、誰も来ない。もう自分がやるっきゃない!マイケルはなんとルシアンが意識を失ってしまった原因である医療機器の故障を、ボールペンの部品一つでいとも簡単に修理してしまったのです。あまりにも天才の所業すぎる。そんなことできるの?!?!ルシアンは無事に意識を取り戻し、その過程でマイケルの頭脳と才能は見出されます。マイケルは高度な教育を受けないかと院長から持ちかけられ、ここから彼の天才的な歩みが始まるのです。

マイケルもルシアンも、体が悪く杖無しでは歩く事ができません。そこでマイケルはその頭脳を大いに活かし医師となり、彼らの病気の原因である血の研究に取り組みました。そしてマイケルはとある悍ましい、倫理を打ち砕いたような凶悪な研究に着手してしまいます。

それは、ヒトとコウモリのDNAの融合。そうすることによってマイケルらにあったDNAの欠陥を埋め、健やかな体を手に入れようとする目的がありました。倫理的に間違っていることはマイケルもわかっている。けれど、自分の体……いえ、彼は誰よりも他人のことを大事にしようとする人間でしたから、自分よりもルシアンや他の患者のことをこの研究を通して助けてやりたいという思いが強かった。彼の元についていたマルティーヌという女医も、初めは抵抗感を露わにしていましたがマイケルの強い想いに折れ、その研究に手を差し伸べていくこととなります。

研究を重ね、いよいよやってきた人体実験の日。被験体はマイケル自身です。モノを投与され、経過観察。

さあ、悲劇の幕開けです。

言わずもがなというかわかっていたというか、コウモリのDNAなんて人間の体にぶち込んでしまったらそりゃあ変異するに決まってますわね。人間の理性とコウモリの本能、まさか初っ端から共存なんてできるはずもなく。
お察しの通り吸血鬼化してしまったマイケルは、秘密裏に研究所で雇っていた傭兵たちを惨殺します。この時彼には理性なんてものはありません。いや、騒動の中倒れてしまったマルティーヌのことは攻撃しなかったので、一抹の理性はあったのかもしれません。ならばこう言い換えなければならないか。コウモリのDNAは、マイケル自身の本能を丸出しにした。つまり、マルティーヌを守ろうとする気持ちが前面に出て、その思いとコウモリの本能が混ざり合ってしまった。なんてこった。

暫くしてマイケルはヒトとしての意識を取り戻し、自分のしでかしたことを悟る。そして自身の体の変化に気がつきます。アレ?!杖無しで歩けちゃうぞ!しかもムッキムキ〜〜〜!!!
状況を把握した後、マイケルは自分の手で警察に電話をかけ、そこから逃亡。話したってわかってくれるわけはない、逃げるんだよ〜〜〜〜ン!!!!

どうしようもないことになってしまった。困ったな。取り敢えず自分の体がどうなっちまってるのか調べないと!と、医師らしく、研究者らしくマイケルは自分の体について調査していきます。そこで研究室に現れたのは親愛なる友人、ルシアンくん!(マイケルは彼のことを出会った頃から変わらず「マイロ」と呼んでいるので、ここからは突然にはなるが彼のことをマイロと呼ぶこととする)
当然マイロは健康体になったマイケルに仰天します。そして実験が成功したのだと理解する。自分にも薬をよこせとせがみますが、流石にこんな悍ましい薬を渡すわけにはいきません。親友を人外に変える気か!ダメだそんなこと!マイケルは厳しい態度で彼を跳ね除け、追い返します。良かった良かった、これでとんでもねえことになったのはマイケル、お前だけだ。

な〜〜〜んてそんなうまくはいきません人生ってのはねえ!!!!!
何だかんだあってマイケルは捕まってしまうのですが(現実的でよろしい!)、なんだか状況がおかしい。マイケルの勤める病院のナースが失血状態で死亡しているのが発見されたことがきっかけなのだが、彼女を吸血したのは果たして本当にマイケルなのだろうか?疑わしい。彼に限ってそんなことあるだろうか。彼のことなんて何も知らないくせに、観ている側の我々は何故だかもうすでに彼に絶大な信頼を寄せてしまっている。マイケル、そんなことしないモ〜〜〜〜ン!!!!

そんな中、弁護士と偽ってマイケルに会いにきたマイロ。なんだか上機嫌だ。オイオイ親友が牢屋の中だぞ、しっかりしろ!!!少しだけ会話を交わした後、マイロは牢屋を出ていきます。_____杖を牢屋に置いたまま。

ここで我々もマイケルも重大な事実に気がつきます。
おいお前!!!!!体内に例のブツを注入しやがったな!!!!!!許せん!!!!!何が起こるかわかっておきながら!!!!!マイケルの気持ちを無碍にしたな!!!自己中め!!!!

わかりますね、皆さん。
そうです、始まるんですよ戦いってやつがよォ〜〜!!
ここからは熾烈なバトルシーンが続きます。
決着のつき方も極めてしっとりとしているんです。



ここからは私のグッときたシーンなどを適当に述べていきます。

マイケルとマイロですが、二人の会話の中では幾度となく「スパルタ軍」の話が出てくるんですよね。「味方は少数、敵は大勢」。その中で戦っていくのだ、という。幼かった彼らが出会った病院の時点で、その構図はすでに始まっていました。病気を抱えた僕たちvs健康的な外の人間たちという構図が、物語序盤からすでにセッティングされていました。そして時は流れ今、彼らは人外のものとなった。吸血鬼vs人間、捕食者vs被捕食者。吸血鬼となってなりふり構わず周囲を攻撃し続けるマイロですが、そんな彼でもスパルタ軍の話を未だし続ける点では彼の中にはずっとマイケルとの思い出が残り続けているということですよね。辛いヨ…………。

マイロは、マイケルに対して親友としての愛情は勿論のこと、執着や憎悪も確かに持ち合わせていたのではないかなと思います。病院にいた時からずっと一緒にいた存在で同じように病気を抱えて生きている存在であるということ。そして憎らしい点と言えば天才的な頭脳を持ち躍進を続け、ニコラス先生は彼のことばかり褒めること。(最後の事に関しては絶対にそんな事ないんだよ、ニコラス先生はマイケルから君のことを頼まれていたんだ……。何このすれ違い……。)
普段から抱えていたが押さえつけていた感情というものが、モノを投与されたことによってコウモリの本能と結びつき獰猛性を孕み、あそこまでの暴力的な存在になるに至ってしまったのではないでしょうか。

病気という彼にとってのハンデが無くなった今、自分の人生はここから始まる____そんな気持ちで高揚した。そうなれば、マイケルと対等な存在になり、これからも一緒に、楽しくやっていける____マイケルが吸血鬼となった彼自身を肯定さえすれば!
マイロはマイケルに対して劣等感のあるような素振りを見せることがありましたね。それが顕著に出ている…というか露わになるのがニコラスがマイロの正体に気付いた場面でした。

マイロの歪みは、正直言って異常です。反対にマイケルは極めて純粋で真っ直ぐなのですが、この差は一体どのから…。研究に着手できているのが功績もある医師としてやっていっているマイケルで、所謂資金調達をしているのがマイロであった。直接研究に触れる事ができているかどうか、という点なのだろうか。マイロが幼少期に病院の外の人間に殴り蹴られた経験があるからだろうか。それとも、元々持っていた性質のせいだろうか。
なんにせよ、彼ら二人の内側というものは何処かの時点で相容れなくなってしまっていたというのは確かそうです。マイロの最期も呆気なくて切なかったね。

マイケルに手を貸していた女医のマルティーヌについてですが、彼女の愛情深さと肝の座り方には脱帽しました。どれだけ好意を寄せた相手であっても、相手が吸血鬼という状態でキスなんてできるでしょうか。私だったらきっと怖くてできません。唇噛み切られるんじゃないか、とか考えてしまってぶるぶる震えてしまうことでしょう。しかし彼女はマイケルに口付けました。物怖じせず、堂々と。仄かに甘い空気すら漂わせながら。中々できることではないと思います。揺らぐことのない愛をまざまざと見せつけられましたね。
マイケルとマルティーヌの間にあったのは恋とかそんな次元のものではない、より高潔で触れることのできないような、いっそ愛と形容するのも憚られるような深みだったと思います。


個人的に、非常に静かな映画だったと思います。
終わり方もちこっと気になる感じ。

ところで、エイドリアン・トゥームスって誰です?笑

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