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2022年度将棋大賞の発表

4月3日、2022年度の対局を対象とした「第50回将棋大賞」が発表されました。各賞の結果を確認しておきたいと思います。


■個人表彰

最優秀棋士賞:藤井聡太竜王(3年連続3回目)
特別賞   :該当なし
優秀棋士賞 :渡辺明名人(3年連続9回目)
敢闘賞   :羽生善治九段(3回目)
新人賞   :服部慎一郎五段(初)
東京将棋記者会賞:田中寅彦九段、中田宏樹九段

最優秀棋士賞は、藤井竜王の3年連続受賞に異論の余地はありません。五冠すべてを防衛した上で棋王奪取により六冠となり、一般棋戦の完全制覇もありました。
優秀棋士賞は、渡辺名人が9回目の受賞となりました。名人3連覇の重みが評価され、順当な結果だと思います
敢闘賞は、羽生九段が3回目の受賞となりました。やはり将棋界待望の藤井王将とのタイトル戦を実現し、第四局までタイスコアで若き王者と互角に渡り合った姿は、表彰に値する名場面の一つだったと思います。
新人賞は、服部五段が選ばれました。叡王戦挑決進出、新人王戦優勝、王将リーグ入り、王位リーグ入り、順位戦昇級と、躍進の1年となりました。
東京将棋記者会賞には、昨年引退された田中九段と、2月に現役のまま逝去された中田九段に贈られました。

■記録部門

最多対局賞 :服部慎一郎五段 68対局(初)
最多勝利賞 :藤井聡太竜王 53勝(4年連続5回目)
勝率一位賞 :藤井聡太竜王 53勝11敗 0.828(5回目)
連勝賞   :渡辺和史六段 18連勝 (2年連続2回目)

最多対局賞は、服部五段が逃げ切り初の受賞となりました。藤井竜王が追い上げて64局と迫りましたが、わずかに届きませんでした。
最多勝利賞と勝率一位賞は、藤井竜王が5回目の受賞となりました。タイトル戦だけで21勝7敗というのも驚異的な成績ですが、一般棋戦は17戦全勝という快挙で高勝率を維持しました。6年連続の勝率8割以上はもはや感覚が麻痺していますが、従来の記録では8割以上を3回記録した羽生九段が最高でしたので、桁外れの大記録であることを付記しておきたいと思います。なお、勝利数の2位は服部五段の50勝、勝率の2位は斎藤(明)五段の0.812でした。
連勝賞は、渡辺(和)六段が前年度に続いて期末に積み上げて2年連続の受賞となりました。2月末時点では12連勝となっていましたので、未放映のテレビ対局で6連勝の上積みがあったようです。春先に15連勝を記録していた服部五段は、惜しくも初受賞を逃しています。

第29回升田幸三賞・第17回名局賞、女流部門の結果については、後日投稿したいと思います。

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