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将棋界の最年少記録

藤井棋聖が王位を獲得し、最年少二冠および最年少八段の記録を更新しました。ご本人は最年少記録に関しては一貫して「意識していない」と話していますが、私たちは記録によって凄さを感じることができるので、従来の記録と藤井二冠の記録を調べてみました。

       従来の記録        藤井聡太の記録
プロ入り   加藤一二三 14歳 7か月   14歳 2か月
五段昇段   加藤一二三 15歳 3か月   15歳 6か月
六段昇段   加藤一二三 16歳 3か月   15歳 6か月
七段昇段   加藤一二三 17歳 3か月   15歳 9か月
八段昇段   加藤一二三 18歳 3か月   18歳 1か月
九段昇段   渡辺 明  21歳 7か月

C1昇級   加藤一二三 15歳 3か月   15歳 8か月
B2昇級   加藤一二三 16歳 3か月   17歳 8か月
B1昇級   加藤一二三 17歳 3か月
A級昇級   加藤一二三 18歳 3か月

タイトル挑戦 屋敷伸之  17歳10か月24日 17歳10か月20日
タイトル獲得 屋敷伸之  18歳 6か月   17歳11か月
複数冠獲得  羽生善治  21歳11か月   18歳 1か月
名人挑戦   加藤一二三 20歳 3か月
名人獲得   谷川浩司  21歳 2か月
棋戦優勝   加藤一二三 15歳10か月   15歳 6か月
通算100勝   羽生善治  17歳 6か月   16歳 4か月

従来の記録保持者には、中学生で棋士になった加藤九段、谷川九段、羽生九段、渡辺三冠の名前が並んでいます。その中で16歳でプロ入りした屋敷九段の記録が目を引きます。屋敷九段は、プロデビュー1年2か月でタイトル挑戦し、1年10か月(2度目の挑戦)でタイトル獲得しています。これは今でも史上最速記録です。昨年、本田奎五段が史上初めて初参加の棋戦でタイトル挑戦を果たして話題となりましたが、デビュー1年4ヶ月でのタイトル挑戦でした。屋敷九段の記録の凄まじさがわかります。

従来の記録の多くを保持していた加藤九段は「神武以来の天才」と呼ばれていました。昭和の名棋士で羽生九段の師匠でもある二上達也九段は「天才と言い切れる棋士は加藤一二三九段ただひとり」「十八歳の加藤さんは(十八歳の)羽生に勝りこそすれ、けっして劣りはしない」と著書に記しています。現在十八歳の藤井二冠を二上九段が見たら、どう評価していただろうかと思います。
加藤九段の記録の中で輝くのは、順位戦A級昇級記録です。これは藤井二冠も抜けないことが確定しており、当面残る大記録です。加藤九段は、C2~B1の各クラスをすべて1期抜けしています。この記録を破るには、加藤九段より若くプロ入りし、順位戦を毎年1期抜けしなければなりません。

藤井二冠に残された記録は、九段昇段と名人獲得(名人挑戦は既に不可能)です。九段昇段は、あと1期タイトルを獲得すれば達成するので、10代の内に更新することは確実と思います。名人獲得は、順位戦を現在在籍のB2はもちろんB1も1期抜けし、A級1年目で優勝し、更にその時の名人との七番勝負に勝たねばなりません。かなり難しい条件ですが、藤井二冠ならやってくれるのではないかという期待感は充分にあります。

最後に、忘れてはならない藤井二冠の最年少記録に、詰将棋解答選手権に小6で優勝という記録があります。個人的には、これこそ空前絶後の記録ではないかと思っています。詰将棋解答選手権というのは、詰将棋が得意なプロ棋士や詰将棋作家が参加する大会で、5問90分を2ラウンドするそうです。プロでさえ全問解くのが難しい詰将棋を、小学生が誰より速く解き終えたというのです。多少語弊があるかもしれませんが、東大の入試問題で小学生が最高得点を叩き出した感じではないでしょうか。

常々「強くなりたい」という目標を掲げる藤井二冠にとって、目指すべき記録は最年少記録ではなく、通算勝利数や通算タイトル数、年間勝率などかもしれません。私たちは、今後も続々と更新される記録を追い掛け、夢を見続けることになるのだろうと思っています。

※大変多くのアクセスをいただきましたので、最新版を投稿いたしました。ご興味がありましたら、下記ご参照いただければと思います。


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