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介護福祉士の資格試験を受けるなら自分の知識を確認しておこう!~『完全合格過去&模擬問題集 2021年版』

8月12日(水)から第33回介護福祉士国家試験の受験申し込みが始まっています。

今回は筆記試験が2021年1月31日(日)に、実技試験が3月7日(日)に予定されていますが、申し込みは2020年9月30日(水)までとなっています。

※第33回の申し込みは締め切られました。

この時期から勉強を本格的に始める方も多いかもしれません。試験の出題範囲は広範にわたり、時間をかけて知識をしっかり自分のものにしていく必要があります。

特に、テキストを読むだけでなく、自分が介護福祉士やその業務についてどれほど理解できているかを問題を解くことで確認するのが重要です。

翔泳社ではそのための問題集として、『福祉教科書 介護福祉士 完全合格過去&模擬問題集 2021年版』を販売中。660もの問題を収録し、それぞれに頻出度と解説を掲載しています。

各科目の頻出問題を押さえた計660の問題に加え、本書には第32回の本試験問題を収録。さらに、ダウンロード特典として第29回~第31回の本試験問題も用意しています。

たくさんの過去問にチャレンジして、万全の体制で試験に挑みたいという方にピッタリな問題集です。また、合計4回分の試験問題は、試験直前の最終チェックとしても活用いただけます。

今回は本書から「第1章 人間の尊厳と自立」の問題を抜粋して紹介します。どういった問題が出るのか、本書ではどんな解説がされているのか、ぜひお試しとして挑戦してみてください。

また、まずは土台となる確かな知識を身につけたい方には『福祉教科書 介護福祉士 完全合格テキスト 2021年版』で勉強するのがおすすめです。出題傾向や問題の解き方まで解説しているので、重要な知識を効率よく学ぶことができます。

以下、『福祉教科書 介護福祉士 完全合格過去&模擬問題集 2021年版』(翔泳社)から「第1章 人間の尊厳と自立」を抜粋します。掲載にあたって一部を編集しています。
前半に5問を掲載し、後半で解説を掲載。

問題01 頻出度☆☆☆(第23回 問題001)

社会福祉の基本的な概念に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ノーマライゼーションとは,障害者や高齢者などの支援を必要とする人々を訓練して,できるだけ援助なしに生活できるようにすることである。

2 ナショナル・ミニマムとは,国が社会保障その他の公共政策によって国民に保障する最低生活水準をいう。

3 リハビリテーションとは,障害者の生活や行動の妨げとなる物理的な障壁を取り除き,行動の自由を確保しようとすることである。

4 ワーク・シェアリングとは,仕事と生活のバランスのとれた人生を実現することにより,男女共同参画の促進を図るものである。

5 ジェンダーとは,男女の生物学的な差異に着目し,性別による区分のあり方を考えるものである。

問題02 頻出度☆☆(第26回 問題001)

以下の法律の自立に関する記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 児童福祉法では,児童養護施設における自立支援の対象を,現に入所している児童に限定している。

2 社会福祉法第3条では,福祉サービスについて,身体機能の低下に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するもの,と明記している。

3 老人福祉法では,その目的は,すべての高齢者が,尊厳を保持し,その有する能力に応じて自立した日常生活を営むことができるようにすることであると,明記している。

4 「障害者総合支援法」では,すべての国民は,障害者等が自立した生活が営めるような地域社会の実現に協力するよう努めなければならないと,規定している。

5 「ホームレス自立支援法」では,ホームレスの自立のために,就業の機会の確保よりも生活保護法の適用が重要であると,規定している。

※1 「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
※2 「ホームレス自立支援法」とは,「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」のことである。

問題03 頻出度☆☆☆(第27回 問題002)

「障害者差別解消法」に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 「障害者総合支援法」の基本的な理念のもと,障害者の差別の解消を具体的に実施するためのものである。

2 障害者を身体障害,知的障害および精神障害のある者に限定している。

3 行政機関に対して,障害者に対する合理的配慮を法的義務としている。

4 差別について具体的に定義し,その解消に向けた措置等を定めている。

5 この法律以前に,障害を理由とする差別や不利益な取扱いの禁止について定めた条例を制定した地方公共団体は存在しない。

※1 「障害者差別解消法」とは,「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。
※2 「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

問題04 頻出度☆☆(第29回 問題001)

Aさん(78歳, 女性) は介護老人福祉施設で生活している。脳血管障害
(cerebrovascular disorder)による左片麻痺で,杖を使って歩行し,自力で移動していた。Aさんは,廊下や食堂でいつも職員や他の利用者に声をかけ,誰にでも気遣う人だった。

ある日,食堂のいすに足が触れて転倒して,捻挫の痛みで歩くことができなくなり,車いすでの移動になった。捻挫は1週間ほどで完治したが,Aさんは歩くことを拒み,現在でも車いすでの移動を続けている。Aさんは徐々に口数も少なくなり,「歩くことが不安だ。周りに迷惑をかけてしまう」と言い,何に対しても消極的な様子がみられた。

Aさんに対する介護福祉職の関わりとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 Aさんは口数が少ない様子なので,できるだけ話しかけないように心がける。

2 Aさんの自立を考えて,再び歩くことができるように何度も声をかける。

3 仲の良い利用者に,頑張って歩くように励ましてもらう。

4 Aさんの担当の介護福祉職に,再び歩くように説得してもらう。

5 食堂のテーブルやいすの配置を見直して,一緒に歩いてみようと働きかける。

問題05 頻出度☆☆(第30回 問題001)

1960年代後半からアメリカで展開した自立生活運動に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 障害者自身の選択による自己決定の尊重を主張している。

2 障害者の自立生活は,施設や病院で実現されるとしている。

3 「ゆりかごから墓場まで」の実現に向けた制度設計を目指している。

4 障害者が機能回復を図ることを「自立」としている。

5 介護者を生活の主体者として捉えている。

以降に各問題の正解と解説を掲載。

解説 問題01 正解は2

1 × ノーマライゼーション(normalization)は,デンマークのバンク・ミケルセンが1950年代後半に提唱し,その後,スウェーデンのベンクト・ニィリエによって広まった。知的障害者の日常生活が可能な限り他の人々と等しくなるように社会環境を整備したり,そのような社会の実現を目指す考え方をいう

2 〇 ナショナル・ミニマム(national minimum)は,イギリスのウェッブ夫妻によって提唱された。1942年のベヴァリッジ報告では「最低生活保障原理」として明記され,その後のイギリスの福祉施策の基本理念となった。

3 × リハビリテーション(rehabilitation)は,障害を持つ人が人間らしく生きる権利を回復するための取り組みや理念をいう。物理的な障壁を取り除くことはバリアフリーという。

4 × ワーク・シェアリング(work sharing)は,雇用の維持や創出のために,労働時間を短縮して多くの人で仕事を分け合うことをいう。設問文は,ワークライフバランスの説明である。

5 × ジェンダー(gender)は,男らしさ,女らしさといった言葉で表現されるような社会的,文化的に形成される男女の差異に注目する考え方である。設問文にある生物学的な差異への着目はセックス(sex)あるいはセクシュアリティ(sexuality)として区別される。

解説 問題02 正解は4

1 × 児童福祉法第41条によれば,「児童養護施設は,保護者のない児童(中略),虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて,これを養護し,あわせて退所した者に対する(中略)援助を行うことを目的とする施設とする」と規定しており,退所後の支援も行う。

2 × 社会福祉法第3条によれば,「福祉サービスは,(中略)利用者が心身ともに健やかに育成され,又はその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するもの(後略)」と規定されている。

3 × 介護保険法では法の目的の中で要介護高齢者を対象にした,そのような目的があるが,老人福祉法にはそのような記述はない。

4 〇 障害者総合支援法第3条に規定されている。

5 × 同法では,第3条で施策目標の一つに就業をあげている。

解説 問題03 正解は3

1 × 「障害者差別解消法」の前提となる考え方は,「障害者総合支援法」ではなく,「障害者基本法」の理念である。

2 × 身体障害,知的障害,精神障害(発達障害を含む)に加え,その他の心身の機能の障害がある者で,障害および社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものが含まれる。

3 〇 行政機関に対して,障害者に対する合理的配慮を法的義務としている(障害者差別解消法第7条第2項)。

4 × 障害を理由とする差別として,不当な差別的取扱いや必要かつ合理的な配慮がされていないことなどへの言及はあるが,具体的な定義は見られない。

5 × 千葉県や熊本県など,すでにいくつかの自治体では,障害者の権利に関する条例が制定され,障害を理由とする差別が禁止されている。

解説 問題04 正解は5

1 × 今回の事例では,転倒の原因に対処したうえで,Aさんの不安や消極的な気持ちに対応することが,介護福祉職に求められる役割である。この選択肢では,Aさんの不安を放置することとなり,不適切である。

2 × もともと転倒の原因が施設内の環境にあるのは明らかであるから,どのような声かけの内容であるかは不明だが,Aさんの不安を解消するための提案を行わず「歩くことができるように」との声かけは,根拠のない励ましとなり,Aさんに歩行を無理強いするおそれがある。同時に,事故の再発を放置することになる。

3 × 仲のよい利用者が,善意からこのような励ましをすることはあるかもしれない。しかし,介護福祉士が同様の励ましをするよう仲のよい利用者に依頼するのは,選択肢2と同様の理由により,根拠のない励ましにすぎない。

4 × Aさんの担当か否かにかかわらず,選択肢2のとおり根拠のない励ましであり,説得によりAさんに歩くことを無理強いするおそれが強い。同時に,事故の再発を放置することにもなる。

5 〇 もともとの転倒の原因を解消し,事故の再発を防止したうえで,Aさんにこのような対応をすることは,根拠ある励ましである。しかも,単に励ますのみならず,不安や遠慮を抱えているAさんに,介護福祉職が一緒に歩くことを申し出るのは,Aさんにとって真の励みとなる。

解説 問題05 正解は1

1 〇 自立生活運動では,障害者のニーズとその満たし方を最も知っているのは障害者自身であると考え運動を展開したことから適切である。

2 × 障害者はできるだけ地域社会の中で他の人々と同様の暮らしを実現すべきであると考え運動を展開したことから不適切である。

3 × 「ゆりかごから墓場まで」は,第二次世界大戦後のイギリスにおける社会福祉政策のスローガンであり不適切である。

4 × 機能回復を図ることが自立と定義されているわけではなく,障害者が自立した生活を送れるように制度や社会の意識を変えていくことを目的としていることから不適切である。

5 × 生活の主体者は介護者でなく,障害者自身であると考えていることから不適切である。


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