見出し画像

自分の心の声を聴くと、どうなるの?

「自分を大切にする」「自分に優しくなる」「自分を知る」といったことが、どうにもイメージできずに今まで生きていました。

周りからは猪突猛進タイプと言われ、中学校の先生には「エレベーターガール」と呼ばれていました。名前の由来は、私の成績がエレベーターのように最上階から最下階までアップ・ダウンして安定性がないということらしいです。

イノシシのようにあとさきを考えずに勉強に熱中するときもあれば、まったくやる気が出なくなるときもあり、今でもその傾向は残っています。

宵越しの銭は持たぬという江戸っ子気質というか(生まれも育ちも北海道ですが……)、明日のために気力や体力を温存しておくことが苦手です。

さすがに年齢を重ねて体力の衰えを実感し「もう少し自分を大切にしてあげなきゃならないな」と思うようになりましたが、自分を大切にするって意外と難しいですね。

そんなときに出会ったのが「自分の心の声を聴く」という内容の出版企画です。企画自体は傾聴本に関してのもので「相手をうまく傾聴ができない理由は、そもそも自分の心の声を聴けていないから」という主旨のものでした。

自分の心の声も聴けないし、人の話を黙って聴く傾聴も苦手です。でもどうやってその二つが結び付くのでしょうか?

傾聴講師でこの企画の立案者である岩松正史さんは、聴く力は「自分への傾聴力」と「他者への傾聴力」のかけ算で決まると言います。どちらかが欠けても傾聴全体がおかしくなるらしいのです。

また、傾聴が苦手な人に共通しているのは、自分への傾聴力不足で、傾聴迷子の多くは他者への傾聴だけにフォーカスしているからうまく人の話を聴けないと言っています。自分を傾聴できるようになると、人の話も聴きやすくなるのだそうです。

たしかに人の話をよく聴ける人って、口調が穏やかで人当たりも柔らかく、何かにテンパっているイメージがありません。気持ち・時間・お金(!?)に余裕がある感じがして、うらやましいです。特に気持ちに余裕がある人は、いつも自分の心の声を素直に聴いて自分をよく知っている人のように思います。

「自分にも人にも優しい」という言葉があるように、「自分の声も人の声も同じように聴ける」というのは筋が通っていて、面白いなと思いました。

そうしてできた本が、6月24日(月)に発売予定の『心理学に学ぶ鏡の傾聴』です。

本や動画で傾聴について調べたり、軽くでも学んだりしたことがある人ならおわかりいただけると思いますが、傾聴は相手の話をただ聴くだけというシンプルな行為ですがとても難しいのです。プロのカウンセラーや臨床心理士、公認心理師ですら苦手な人が多いようです。

本書では、そのようなお仕事で人の話を聴く必要がある人から、顧客や部下に心を開いてもらいたい営業職・管理職の人まで、楽に聴くことができる方法を解説しています。

解説といっても、巷によくあるような「途中で口を挟んではいけない」「意見やアドバイスを言ってはいけない」「聴きもらしてはいけない」などの小手先のテクニックではなく、「自分の感情を肯定し、相手の心(話)をそのまま受け止める」という方法です。

私がこの本の編集に携わって一番勉強になったのは、自分の心の声を聴くことは「自分のことも相手のこともそのままを理解できるようになる」ということです。そういった意味で、本書は「心で聴く傾聴法」です。

本のタイトルにある「鏡の傾聴」とは何か? そもそもどうやって自分の心の声を聴くのか? といった具体的な内容については、また次回お話しできたらと思います。

(編集部:倉橋)

◆「翔泳社の福祉の本」のおすすめ記事

よろしければスキやシェア、フォローをお願いします。これからもぜひ「翔泳社の福祉の本」をチェックしてください!