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発達障害の人が不安なオンライン面接、身だしなみを整えて第一印象をよくしよう

就職活動はオンラインやリモートが盛んとなり、実際に会社の人と対面せずに内定するケースも増えています。

ただでさえ経験の少ない就活が、さらに社会的にも事例の少ないオンラインに場を移しつつあるいま、特に発達障害を持つ方にとって「どうすればいいのか」と戸惑うことが少なくないはずです。

翔泳社ではそんなときに役立てていただける本として『ちょっとしたコツでうまくいく!発達障害の人のための就活ハック』を発売中。発達障害を持つ方が就活の際に困りがちなポイントを多数取り上げ、具体的な解決策を提案しています。

本書では最も緊張する時間であるオンライン面接のコツについても紹介しており、何に気をつけてどんな準備をすればいいのかを説明しています。

訪問して行う面接と違い、オンライン面接は自宅から行なうことがほとんどであること、カメラ越しに上半身だけが見られること、複数人の場合は話し出すタイミングを掴みづらいことといった点があります。

この記事ではそうした身だしなみに関わるポイントや、カメラと気持ちの準備について書かれたパートを抜粋して紹介します。あまり情報が多くない領域ではありますので、参考にしていただけると幸いです。

◆著者について
窪 貴志(くぼ たかし)
株式会社エンカレッジ代表取締役。 福祉事業所や企業への障害者雇用コンサルティングを実施する中で、発達障害のある方の就労の現状に問題意識を持ち、株式会社エンカレッジを設立。

高橋 亜希子(たかはし あきこ)
株式会社エンカレッジ取締役。就労移行支援事業所エンカレッジ統括所長並びに、大学生向けの就職プログラム、就労相談に従事。前職で、重度の知的障害を伴う自閉症の人たちへの生活支援、幼児・学齢期の個別療育、発達障害者支援センターで就労相談に携わる。

山本 愛子(やまもと あいこ)
株式会社エンカレッジ所属。学生時代からボランティア活動や被災地支援に取り組み、2014 年に株式会社エンカレッジに入社。就労移行支援事業所で障害者の就労支援を行いながら、これまで1000 人以上の発達障害やコミュニケーションが苦手な学生・若者の支援に携わる。
以下は『ちょっとしたコツでうまくいく!発達障害の人のための就活ハック』から抜粋したものです。掲載にあたって一部を編集しています。

身だしなみで気をつけることとは?

オンライン面接では、あなたの姿をカメラ越しに面接官に見られることになるので、通常の面接同様、身だしなみは重要です。オンライン面接では、通常の面接よりも顔が強調されるので、髪型やメイクが特に重要になります。

一方で、画面に映るのは顔だけだから、という判断で普段着姿で面接に挑むのはよくありません。また、上半身だけ身だしなみを整えるというのも、万が一カメラが動いたり、立ち上がったりした場合に、身だしなみが整っていない姿が映り込んでしまいます。上半身・下半身ともに、身だしなみには注意するようにしましょう。

オンライン面接での服装・髪型・メイク

「私服で構わない」という指定がない限り、基本はスーツを着用しましょう。シャツやインナーは白を選ぶのがベターです。オンラインの場合、顔の近くに白い色があると反射効果で表情が明るく元気に見えます。可能であれば、照明を工夫して、自分の表情が相手にわかりやすくなるようにするとよいでしょう。

髪型に関しては、前髪が額にかかると、画面では暗く見えてしまいます。明るさ、自然さ、清潔感を重視しましょう。

メイクをする場合、オンラインでは顔の表情のメリハリがつきにくいため、普段よりやや濃いめを意識しましょう。

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面接場所や背景の設定はどうする?

オンライン面接は、カフェなどの騒がしく不特定多数の人がいる環境や、自宅で家族が行き来する場所は適しません。

自宅の雑音が少なく静かな部屋を選びましょう。また、ネット環境が安定していることも重要です。カメラやイヤホン(あるいはヘッドセット)などのオンライン面接に必須な機材を準備し、画像や音に問題がないか、事前にテストしましょう。

画面越しに家の中が映ることを想定して、部屋を片付けるなどの準備も必要です。PCやオンライン面接のアプリケーションによっては、背景設定を変更(バーチャル背景)して無地や会議室のような設定にすることもできます。

ポイントは、あなたの顔がクリアに面接官に伝わるようにすることです。部屋の明るさやカメラの位置、角度を調整しましょう。面接直前に準備するとうまく対応できない可能性もあるため、事前に服装やメイクなどもすべて本番同様に整えてから試すとよいでしょう。

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オンライン面接のマナー

多くの面接では、企業からオンライン面接用に接続URLを指定されます。指定された内容にしたがって、接続しましょう。面接官とオンラインでつながるとき、突然面接が始まるような感覚になり焦ってしまうかもしれません。

あらかじめ心の準備ができるように、時間に余裕を持ってスタンバイしておきましょう。また、オンラインでは、自宅の通信環境の事情などから、声が聞こえにくくなることがあります。通常よりはっきり大きな声で話すことを心がけましょう。

なお、面接場所が自宅であることもあり、緊張感に欠けてしまうかもしれませんが、通常の面接同様、立ち居振る舞いも見られていることに注意しましょう。

必要なものは手元に置こう

オンライン面接では、面接でのやり取りに備え、手元にメモを置いておけるメリットがあります。ただし、何かを読んでいることが面接官に伝わらないように、「これだけは伝えたい」というキーワードのみをメモに記し、目線が下がらないようにディスプレイ上部などにテープで貼り付けておくとよいでしょう。

第一印象の大切さ

諸説ありますが「第一印象は7秒で決まる」という言葉があります。また、有名なメラビアンの法則では、身だしなみと話し方で、93%の印象が決まってしまうとされています。

これらのことからも、限られた時間の面接という場で第一印象がいかに大切か、みなさんもおわかりいただけるのではないでしょうか。準備は入念に行いましょう。

発達特性のある方のよくある失敗例は、「自分はできている」と感じていても、周りの人からは「できていない」と思われている場合があることです。身だしなみや話し方は第三者にチェックをしてもらってから当日を迎えると安心です。

面接でおさえておきたい基本的なマナー

話す内容はもちろん大切ですが、面接官はあなたの礼儀正しさや表情・態度から、コミュニケーション力やマナー、入社意欲などを見ています。

•姿勢を正すこと
•ハキハキゆっくりと話すこと
•相手の話をしっかり聞くこと
•キョロキョロせず目線を相手に向けること

などの基本的な礼儀を身につけましょう。また、「よろしくお願いします」など言葉を先に言った後おじぎをすると所作が丁寧に見えるため、印象アップにつながります。

無意識に出てしまう自分の癖や仕草を知ろう

仕草や癖は無意識に出てしまうため、面接などの緊張しやすい場面ではなおさら目立つことがあります。まずは緊張したときに出やすい自分の仕草や癖を知りましょう。

そのためには、第三者と面接練習をしてフィードバックをもらったり、スマートフォンで自分を撮影して振り返ったりすることが大切です。自分を客観的に見ることで、今まで気づかなかったような、気をつけたほうがよい癖や仕草に気がつくことができます。

「自分が面接官だったら採用するか」という視点でチェックすると、より的確な改善点を見つけやすいでしょう。

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「本音で話している」と伝わるかがポイント

面接官は、あなたの人となり、考え方が自社に合う人物かを見ようとしています。そのため、誠実に本音で話しているかという点はとても重視されます。嘘偽りなく正直に話しましょう。

しかし、思ったことは何でも話していいわけではありません。特に転職する人の場合、前の会社への不満から転職に至るケースもあると思います。

例えば、「同僚と仕事の考え方が合わず会社に行くのが嫌になった」という転職理由があったとしたら、「社員同士で話し合いながらお互いの考えを尊重できる環境が自分には向いていると感じた」などと前向きに伝えることで、ネガティブな印象が薄まります。印象が悪く伝わらないか、模擬面接などで第三者に確認してもらいましょう。

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頭が真っ白になったら、率直に伝えてみよう

質問に対してテンポよく答えることは大切ですが、中には頭が真っ白になってしまう質問もあるかもしれません。そうなったときは、頭を整理する時間をもらいましょう。

「考えを整理したいので少し時間をいただいてもよろしいでしょうか」と丁寧な口調で伝えると、面接官も学生が緊張していることは理解していますから待ってくれることが多いです。ただし、考える時間はおおむね10~20秒程度と想定しておくとよいと思います。

「面接は完璧でないといけない」と考えがちですが、面接は総合的な評価で採否が決まるため、1つの質問にすぐに答えられなかったとしても、それだけが理由で不採用になるわけではありません。

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