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心の病を改善する生活習慣とは? 専門家が教える食事、運動、睡眠で気をつけたいこと

こんにちは、「翔泳社の福祉の本」に携わっている渡部です。今回のテーマは翔泳社でも複数の本を刊行している「心の健康」について。

日頃から鬱屈とした感じや気分の落ち込み、苛々やストレスを感じている人は少なくないと思います。悩みを放置しようとしてかえって気にしてしまう、という悪循環も心の健康にはよくないことです。

たとえば、仕事に忙殺されているうちにうつ病のような心の病に罹患していることもありえます。以下の項目で当てはまる症状が多い方は、その疑いを持ったほうがよいかもしれません。

《うつ病の症状》
□憂うつな気分
□何をやっても楽しくない
□食欲や体重の変化
□不眠や過眠
□体を動かすのが億劫/落ち着かない
□疲れやすく気力がない
□生きている価値がないと感じる/自分を責める
□思考力や集中力が減退
□死にたい・消えてなくなりたいと考える

心の病は薬物療法や精神療法が中心ですが、近年の研究で生活習慣、つまり食事や運動、睡眠が重要な役割を担っていることが分かってきました。症状を改善するには、どんなことに気をつければいいのでしょうか。

その参考にしてもらいたいのが、翔泳社の『心の病を治す 食事・運動・睡眠の整え方 ココロの健康シリーズ』です。

翔泳社の通販サイトSEShopではPDF版も販売しています。

本書は国立精神・神経医療研究センターの神経研究所 疾病研究第三部にて部長を務め、数多くの論文や著書を発表している功刀浩先生によるもの。

最新の研究に基づき、食事、運動、睡眠という生活の柱となる項目を中心に、心の病を治療・改善、また予防するためのポイントを解説しています。

特に心の病に結びつきやすい隠れストレスに注目し、これを蓄積しないためのよい生活習慣を紹介しています。書いてあることをすべて実践できなくても、無理なく取り入れられれば少しずつ改善されていくはずです。

では、生活するうえでどんなことを意識すべきなのでしょうか。今回は本書から、全6PARTの内容を簡単に要約している「超まとめ」を一挙に公開します。いま実際に悩んでいる、不安を感じている方の参考になれば幸いです。

以下、『心の病を治す 食事・運動・睡眠の整え方 ココロの健康シリーズ』(翔泳社)の各PARTから「超まとめ」を抜粋します。掲載にあたって一部を編集しています。

PART1 心の病に潜む現代型「隠れストレス」 の超まとめ

隠れストレスがうつ病のリスクを高める。
■ 隠れストレスはエネルギーの過剰摂取と、「栄養不足」「運動不足」「睡眠不足」の3不足がつくっている。
■ ホルモン分泌や自律神経の調整などが生体リズムをつくる。体内時計が乱れると、能力が発揮できなくなり、ストレス耐性も弱まる。
■ 朝日を浴びて、朝食を食べて体内時計をリセットしよう。
■ テンションが上がったり、下がったりする気持ちの変化は、脳の神経伝達物質が関係している。
■ 長期に続く「じわじわストレス」がストレス太りをつくり、脳を傷つける。
■ 肥満、糖尿病、メタボリック症候群の人はうつ病や認知症のリスクが高い
肥満、糖尿病、メタボリック症候群をコントロールすると、うつ病、認知症などの症状も改善する。
■「うつ病で肥満」の人は認知機能も低下しやすい傾向がある。肥満改善は早めの社会復帰につながる。
生活習慣を改善できた人は病気の回復も早いし、再発もしにくい。
■ 心の病気の回復には、薬物療法、心理療法が行われるが、自分で生活習慣の改善を心がけることは効果絶大。

PART2 食事のとり方が脳の健康を左右する の超まとめ

朝食をとるとうつ病のリスクが低くなる。
ファストフードはほどほどに。
塩分控えめの伝統的な和食に乳製品をプラスした食事は、うつ病や認知症のリスクを減らしてくれる。
■ 炭水化物同士の組み合わせ(ラーメンライス、そばと小丼セット)やカレーライス、丼物、惣菜パンばかり食べていると栄養不足になるので要注意。
■ 外食するなら和定食にして、おひたしなどの野菜を1品追加
コンビニエンスストアで選ぶなら、サラダやサラダチキン、和食の惣菜(ヒジキの煮つけなど)。主食は、玄米ご飯のレトルトパック、もち麦入りや雑穀入りのおにぎりを。ヨーグルトもプラスしよう。
■ タバコ、砂糖たっぷりの甘いコーヒーや清涼飲料水、菓子類などは体だけでなく脳をむしばむ3つの嗜好品。思いきってやめて脳を健康に。
■ アルコールは適量で。向精神薬を服用している人は飲まない
よく噛むことは脳の活性化につながり、血糖の急上昇を防ぐので一石二鳥。
■ 不十分な歯磨きを毎食後するよりも、1日1回でも夜寝る前に、ていねいに歯磨きをするほうが効果的。
■ 家族や友人と楽しんで食べる「共食」を心がけよう。

PART3 最新研究でわかった「元気脳」と「栄養素」の関係 の超まとめ

■ 腸の環境を整えることは、脳の健康にもよく、ストレス症状も軽減。
■ 腸活には、納豆やヨーグルトなどの善玉菌と、善玉菌のエサとなる食物繊維をとることが大事。
■ うつ病改善に有効な主な栄養素は、n-3系多価不飽和脂肪酸(主に魚の油)、アミノ酸、葉酸をはじめとするビタミン類、ミネラル
■ 精製されていない食品(玄米、雑穀、全粒粉のパン)もうつ病対策に有用。
■ 脳の働きをよくする緑茶。テアニンのリラックス効果を活かすなら、ペットボトルではなく、急須で玉露(高級茶)をぬるめの温度でゆっくり
入れて飲む。

PART4 運動はメンタル機能全般に絶大な効果がある! の超まとめ

■ 運動不足が脳の萎縮を招く。脳の健康に運動は必須
■ 運動や活発な身体活動は、うつ病や認知症のリスクを下げる
■ 特別な運動をしなくても、1日5分間のウォーキングからスタートして1~2週間ごとに5分ずつ増やしていけばOK。
低い目標を立てたほうが自分に自信がもてて、長続きする
■ エレベーターより階段、遠くのコンビニエンスストアまで足を延ばすなど、日常生活の中でも身体活動を増やせる。
運動をすれば心地よく眠れ、心地よく眠れればパフォーマンスも上がる。
■ 朝起きてすぐの運動と夜遅い時間の運動は避ける。午後から夕方の運動がベター。
■ ウォーキングなど軽い有酸素運動が脳機能を高める。
少し息が上がる運動を取り入れるとより効果的。
筋トレも取り入れるとさらに効果がアップ。

PART5 心の病を遠ざける働き方・余暇の過ごし方 の超まとめ

長時間労働はうつに直結する。
■ 仕事が多くてこなしきれないと思ったら、早めに上司にSOSを出す。
■ 仕事は細分化して簡単なところからやっていく。集中できるように気が散るものはシャットアウトする。
■ 異動をきっかけにうつ病になる人も少なくない。できるだけ自分に向いた仕事をする
■ パソコンやスマートフォンが発するブルーライトを夜浴びると、睡眠─覚醒リズムが乱れてしまう。
■「 少しなら大丈夫」と始めたインターネットやゲームが、健康と生活を破壊する。依存症になる前に遠ざけることを意識しよう。
■ 休日はごろ寝よりアクティブに動くほうが脳の疲れがとれる。

PART6 脳を守り脳を修復する睡眠の力 の超まとめ

不眠はうつに直結する。
■ よい睡眠がとれていないと、ダイエットをしてもやせない体になる。
■毎日起床時刻を一定にすることが大事。理想は、5時起き。
■眠くなるまで寝床には入らない。必要以上に寝床で過ごさない
■ ぬるめのお風呂にゆったり入浴するなど眠る環境を整える朝は寝室に太陽光が入るように工夫することが、心地よい目覚めへの近道。
寝酒、寝る前の喫煙は眠りを浅くし、不眠を招く。
■ 週末の寝だめは避けて、睡眠不足は平日昼休みの20分間睡眠で解消する。
■ 一定の睡眠時間をとっているのに、昼間眠気が強い人は病気が隠れている可能性がある。専門医のいる医療機関を早めに受診する。
■ 睡眠薬の服用は1日1錠が原則。多くても2錠まで。それ以上は、睡眠薬依存になるリスクがあるので要注意。
■「 眠れなくてもまあいいか」と開き直るとリラックスできて眠れることもある。
■ 夜心地よい眠りにつくには、昼間はしっかり活動し、夜はしっかり休む。メリハリのある生活リズムが大事。


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