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「採算度外視で、おもしろいことを。」 “株式会社NEW代表” 岩崎達矢さん

バンド時代から一転、シルク・ド・ソレイユの通訳を経て英会話事業NEWを立ち上げた岩崎さん。順風満帆に見えた彼に突如襲ったうつ病。自分の中にある正しさの中で彼が見出した活路とは。お話を伺ってきました。

岩崎さんプロフィール
出身地:広島県
活動地域:世界
経歴
29歳までフリーター
→シルクドゥソレイユ通訳
→ITベンチャー
→英語が話せたら人生変わるぜ!と勢いで2012年英会話スクールNEW設立、通年満席に
→「英語で書けないことは話せない」に気づき2016年「外国人と交換日記」開発。
座右の銘:人生は楽しむためにあるらしいぜ

瞬間瞬間を生きることを、大事に。

記者 NEWという英会話事業をされている中で、岩崎さんはどんな夢やビジョンを描いていらっしゃいますか。

岩崎さん(以下、岩崎) それがね、夢とかビジョンとか持ってないんですよ。
元々バンドをやっていた時の「売れるぞ!」が夢やビジョンという意味だとすれば、そういった形のことは全くイメージしてないです。

夢やビジョンを持っていた時もあったんですが、僕の原動力にならなかったんですよね。今は瞬間瞬間を生きることを大事に考えるようにしていて。それの積み重ねで何か現実化して、自然に展開していくところ、そういった流れに身をまかせていく。そういう感じに今シフトしていってる感じです。

採算の見通しとか一切無視なんですよ。面白さにGO!みたいな。(笑)

記者 そうなんですね。今の段階で数年後こういう展開をしていきたいといったものはあるのでしょうか。

岩崎 昨年の10月くらいにすごくつまんない時期があって。その時にインターネットデトックスとして、サウナに3時間ぐらい入ったんですよ。そうしたら“毎月海外”ってキーワードが降りてきて。久しぶりにすごく面白そうだと思って、2019年は毎月海外へ行ってます。それと平行して英語を楽しく学びたい人が集まるオンラインサロンみたいなのを Facebook でスタートし始めました。有益な楽しめる情報をよりリアルに発信していきたいなと思ったんです。

「毎月海外」って、もう発表しちゃったからやんなきゃいけないんですけど、採算の見通しとか一切無視なんですよ。面白さにGO!みたいな。(笑)サロンの会員も一万人にするとは一応言ってはいるんですけど、目標でもなんでもなくて。

楽しさがモチベーションといえばそうなんですけど、僕自身が根っこが楽しい人間じゃないんですよ。生きてる毎日に幸せとかを全然感じれなくて、それに憧れてるんです。色々やってうまくいったりいかなかったりして、チャレンジしてるな、楽しいなってなるんですけど、昨年は何がチャレンジかもわからなくなっちゃって。それでなんかつまんないなってなったんですよね。

他者のニーズに応えているんですが、自分のニーズはほったらかしでした。

記者 そこには一体どんな背景があるのでしょうか。

岩崎 2017年の頭ぐらいにうつ病になったんですよ。一番の原因としては自己否定、自分のことが嫌いになるというのが要因として大きかったです。うつ病を体験した方はみんなこの感覚にすごく同意してくれますね。半年ぐらいふわふわしてて、それは今となってはすごい良かった経験なんですけど。

今の事業を2012年からスタートして、価値を提供することがビジネスにとって大事だと思っていました。そのために努力をずっとやっていて、やればちゃんと成果につながってくるっていう感じにはなったんですね。だから僕の中で価値を提供する=正義みたいなものがどんどん強くなっていて。

価値を提供すればするほどその事業としての業績は良くなるし、お客様にも喜んでもらえるんですけど、何かそこで置いてきぼりにされてる自分がありました。他者のニーズに応えているんですが、自分のニーズはほったらかしでした。

みんなのニーズに応えて喜んでもらうことが自分の役割っていうのが一番理想的じゃないですか。それでごまかしながらやってたんですけど、価値を提供するという自分の中の正義が、自分のやりたいことや本当はこうしたいというのをずっと否定してたんですよ。それがどんどん積み重なって起きれなくなった。

記者 そうだったのですね。

岩崎 結局それがきっかけで面白いことにはなっていくんです。

動けなくなり何もできなくなる感じになって今年の収入はもうなくてもいいや、と手放したんですよ。ところがその年の収益が過去最高だったんですよ。価値を提供する自分の正義で10ぐらい頑張って、それで10の成果を作ってきたと思ってたんですよ。これが体感としては1ぐらいしか行動ができなかった。そしたら成果も1になるはずが15ぐらいになったんですよ。残念な結果なわけですよね、ある意味。

それで一人旅に行ったんですよね。それまでは価値提供が正義だったんで表面的に旅行するようにしても、ずっと正義の自分で生きてるんで全然休めてなかったんですよ。

その時に「本当に俺はよく頑張ってきたんやな」って思えたんですよね。初めて否定されてた自分の声を認めるみたいな。その後から自分が何したいんだろうとかちゃんと考えるようになって。ただ何をしたいのかって考えても出てくるのが昼寝とか音楽聴いて踊るとか残念な感じでした。そういうことを忘れてたんですけどね。

成果を出さなきゃとか稼がなきゃとか、そういうことではなくて純粋に何をしたいか、これいいかもみたいな。それに対して今できることをずっとやっていったら勝手に面白い方に展開していくんじゃないかっていう感覚があるんです。すごいめちゃくちゃワクワクしてるって訳でも興奮してるわけでもないんです。なんかこう、そっちだよねっていうような。

ある時にめっちゃ思ったんです。じゃあ俺はもうこういう感じの人間です、いっぱいダメなところがありますと。欠けてるところもいっぱいあるんですけど、その自分でしかしょうがない。この自分で生きて、例えばもしそれで会社が潰れるとか、食えなくなるとかあるんだったらそれはもう今世ではご縁がなかった、日本のこの社会にはどうやら合わなかったということですねっていうそういう踏ん切りみたいなものがある時ついたんですよ。

自分の本心じゃないことをしてでも社会の一員でいようとしてたんですけど、それも諦めましたね。

記者 それは何かきっかけがあったんですか。

岩崎 直接のきっかけはわからないんですが、2018年くらいにその踏ん切りがつきました。以前は世の中のニーズに合わせて、自分の本心じゃないことをしてでも社会の一員でいようとしてたんですけど。今、それも諦めましたね。

よくある話ですが、社長が倒れたら会社が良くなるみたいな。まさにそれで諦めるようにというか。自分の力でやってるっていうのが大きな勘違いで周りからいろんなサポートが山ほどあって、でもそれをひたすら受け取りを拒否していました。自分が頑張って自分が成果を出して自己証明みたいなことをずっとやってたんですよ。それでは全く満たされないんですけどね、実は。

そうした満たされないところから出発していることをうつ病が教えてくれましたね。間違ってるよって、そのままいったらやばいから、ここら辺で強制終了一回するわ、みたいな。

記者 それをやって会社が過去最高の成果を出したら気付かざるを得ないですね。

岩崎 そうですよね(笑)じゃあそういうことなのね、と思って、もっと正直になっていくってのが大事なんだろうし、会社の業績が下がったとしても自分に正直に生きてますっていうほうが大事みたいな。

これだけ売り上げをあげてるんだぞ、成果を出してるんだから俺が正しいだろっていう正義。その正義は確かに強いですけれども、その考え方で無理しすぎたから、うつ病になったんだろうなと思いますね。

記者 だからこそ正義によって目標を立てるのではなく、内から始まっていくのがこれからであり、正義に縛られた人生からワクワクに変わっていくようなイメージがありますね。

岩崎 起業した当時は1年目でも割とすぐにそれだけで食べていけたんですよ。その時に自分がうまくいってるのはバンド時代とは全く逆のことをやってるからとよく言ってたんです。やりたいことじゃなくてニーズを満たすこと、ビジネスとはこういうものだと偉そうな顔していました。
求められてることに答えて喜んでもらう。だから正義が歩き始めたわけですよ、本人を置き去りにして。

音楽でやったらね、いわゆる売れ線の曲とか本当はこんな曲をやりたくないんだけどっていうとこを、売れるためにみんなやったりしてるわけですよ。そういうのは本当に心から毛嫌いして否定していました。ブルーハーツも言ってたぞ、やりたいことをやれと。時間とか無駄にしながらやってますよね。その辺に早く気づく人はしているんでしょうけど、だいぶ遠回りした感じですかね。

自分に嘘をつきまくってきた僕だから言いますけど、簡単に自分に嘘をつけますし、嘘ついてるかどうかも気づかない。自分でもわからない。

記者 うつ病はそこに対するメッセージだったのかもしれないですね。

岩崎 僕も自己評価というよりかは、他者からの評価を第一に優先してしまう事をやっていたけど、そんな感じになっちゃいますよね。自分の中の正義も周りの目によって作られてますからね。

記者 最後に読者に対するメッセージお願いします。

岩崎 楽しくいきましょう!
自由にいってくださいっていうぐらいですけど、わざわざ構えてメッセージて言われると困っちゃいますね。(笑)

楽しいと思うことをやるのがいいんじゃないでしょうか。

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岩崎さんの詳細情報についてはこちら


【編集後記】

今回取材を担当した中村です。
今後展開していく事業に目をキラキラしながら話されていたのがとても印象的でした。自分の中の正義というのは誰の心にもあるのではないでしょうか。それを手放して新しいチャレンジに邁進する姿が希望になるのだなと感じました。
これからのご活躍を応援しています。

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この記事はリライズ・ニュースマガジン“美しい時代を創る人達”にも掲載されています。




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