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【魔女と獣とふたり旅】くさび石となまけた龍と溶岩湖(5/10)【TRPG/リプレイ/完結済】

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スポット『棲み処への空旅』
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紅き龍
龍は、キミを乗せて空に舞い上がり、意気揚々と声を弾ませる。
 
「小さき者を乗せるのは久方ぶりよの!」
 
スフィ
「そ、そうなんですね...はは...。」
「……あれ、は......!?」

その時、火山の表面が赤くなっていくのが”視”えた。通常の色の変化ではない。いつも視ていた鉱石の魔力流にも似たエネルギーの収束点。

「龍さん!避けて下さい!!そこ!目の前!噴火しそう!!」
 
紅き龍
「? …ぁ~~なるほど…相分かった!」
「ちゃんと掴んでろよ~!」

グルン!とロールをかましながら、軌道を修正する。すぐ後ろで噴火が起きる。
 
「次はどっちだ?」 愉しそうな声で尋ねた。
 
スフィ
(「えぇ...こんなことも愉しめちゃうのかな...龍、こわ...。」)と思いつつ、火山へ目をみはる。

「次は...えーと、えーと...左!左に避けて下さい!3・2・1、ハイ!!」
 
GM
その頃 麓のとある村では
 
村の少年
「おじーちゃん!山がドッカンドッカンいってるよ~!!あれさ!龍だよね!めずらしーね!ビュンビュン飛んでる!かっこいい!」
 
グイグイと服の袖を引っ張り、飛び跳ねる。
 
村の爺
「おぉ...こりゃたまげた。」
「坊、ありゃ火の神さまに違いねぇ。」
「飛んだ後から火山が火を噴きよる。滅多に見れんぞぉ。よおく見とくんだ...!」
 
村の少年
「神さま?!へー!!乗ってみたいなぁ~!いいなぁ~!」
 
ある者は憧れを抱き、ある者は恐怖を抱いたその曲芸飛行。本人たちはと言うと…
 
紅き龍
「左?であれば!」

3、2… 進められるカウントダウン。龍は、グィン!!と体を90度回転させる。噴火の爆風を腹に受けて、更に加速していく。

「ガーッハッハッハ!爽快爽快!!」
 
スフィ
龍のすぐ”裏側”から強烈な熱風を感じた。

「へやっ!?あっつ!避けてって、ぃ、あっつい!!熱!!」
 
紅き龍
「元気な声だ!ガハハ、よいよい!」

生存確認を雑に行った龍は、君から出される指示に、自分勝手に従いつつ、山脈の稜線をいとも簡単に越える。

その先に見えたのは、巨大な湖と中心に浮かぶ小さな活火山。

「我が棲み処はあの山の麓。比較的、涼しいであろう?」
 
スフィ
「そ、そうです、ね...。」

溶岩湖からずっと高熱の環境に居たためか、体力の限界を迎えそうだ。龍の角にも精一杯の力でしがみついていたためか、安全そうな場所にたどり着いたという気の緩みからか、

「すずしぃ...」

という一言と共に意識を手放してしまう。
 
紅き龍
角を掴まれる感覚が薄れ、そして消える。

「…? ……ハッ…。……遊び過ぎた……。」
 
翼以外を人間の姿に戻し、スフィを両手で抱きかかえた。
 
「小さき者の扱いは難しいものよな。 …冷やせばいいか。 …ならば……」

極力揺らさない様に細心の注意を払いながら、棲み処である洞穴へ一直線に飛んでいくのであった。
 
ーー
スポット『紅き龍の棲み処』
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言葉通りの“爆速”でかっ飛ばす龍の眉間で気を失ったスフィ。今現在はと言うと…

紅き龍
「…おかしい。」 
「…身は焦げず、欠損もなし。」
「…何故おきんのだ」 ツンツン
「…?」

君はその柔らかな頬を、龍に弄ばれていた。
 
スフィ
「...ぅ...……あれ...ここは...?」
 
何か冷たくて硬いものが頬に当たっている。その冷たさに段々と意識が戻る。
 
「ぁ...龍さん...おはようございます。」

むくりと上半身を起こし、半開きの目で周囲を伺う。意識は戻ったが憔悴している感は否めない。
 
紅き龍
「……ぉ…。」

目が開いた事に驚いて、ピクンと震える。

「し…死んだかと思ったであろうが………食べるか?」
「…一級品だぞ。」

心配しているような表情で、頬を弄んでいた宝石をおずおずと差し出す。
 
スフィ
「お気持ちはありがたいんですが...」

すっ、と手の平を宝石に向ける。
 
紅き龍
「………」 ショボン 
 
スフィ
「人間は宝石とか鉱石は消化できないんです...。どうか悲しい顔はしないでください。」
 
紅き龍
「……これを……たべ…れない…だと!?」
 
スフィ
(そんなに...?)

目を丸くして眺める。

「代わりにですがお水貰えますか?これに汲んでもらえるとありがたいです。」

にこりとして水筒を手渡す。
 
紅き龍
「水で…良いというのか………分かった…」

恭しく大事そうに受け取ると、よっこらせ…と立ち上がり、水を汲んで君に渡す。

「我はな。水にも拘りがあるのだ。水は地熱で一度霧にし、岩に当てて雫とする。それが美味なのだ。」
 
スフィ
「なるほど...さすがですね。」微笑みを返す。
(ふむぅ...水に対しての味覚...いや感じ方、かな?それは人間に近いみたい。)

思案しつつ水筒を受け取った。水を飲み、一息つく。

「ふはぁ...生き返った...。」
 
紅き龍
「ガハハ!! であろう! そうであろう!」
「スフィよ。 魔石が食べられぬのであれば肉はどうだ?」 
「水だけでは腹に溜まるまい?」空回る龍
 
スフィ
「えぇと...ちなみにどんなお肉ですか...?」

恐る恐ると言った様子で聞く。
 
紅き龍
「? ……。」

しめた…と言わんばかりにニヤけると、自信満々な表情を浮かべて両手をガバッと広げた。若干仰け反っている。

「我は龍ぞ…! 望むモノは全て!この絶対的な力で手に入れてきた!!」
「申せ! 手に入れてやろう! なんでもだ!」
「麓の森林の主の肉か? 大蛇だったな、確か。 いや…大鷲の肉…? それとも獅子の頬肉…?」

うーんと唸る。 キミが知らない世界が、龍の脳にはあるらしい。
 
スフィ
「......。」 あ、なんか、いやな予感がする。

「あぁ、大丈夫!大丈夫です!」 ま、間に合って!
 
紅き龍
「待っておれ!! 瞬く間に連れてくるとしよう!!」 時すでに遅し!
 
スフィ
「そんな高級そうなもの食べたら逆にお腹壊しちゃうかも...って!ちょ、ちょっと待ってください!」

慌てて引き留めようとする。
 
紅き龍
「?」 
「………」
「……も………」
 
スフィ
「も...?」聞き返す。
 
紅き龍
「…もてなさなければ………! ……ならんだろうが………!!」 
「節制が! すぎるぞ! スフィ!」

ビシィと指さす。異議あり!!と聞こえてきそうな勢いだ。
 
スフィ
「あぅ...あの、その...。今言った食材は...どの人間も毒で死ぬか…消化できなくて体調を壊すと思います。」

節目がちに、申し訳なさそうに告げる。
 
紅き龍
「なっ!! なっ!! なんと…!!!! いうことだ…!!」ガーン
「……な…何が欲しいのだ……我が持ってくるといい事にならん予感がしてきたぞ……」
 
巻き角の先端を情けなくイジイジする。
 
スフィ
(どうしよう。街ではあんまりお肉とか出回らなかったからなぁ。師匠は何て言ってたかな...。)

「...うし...」

と、思い出したようにつぶやく。

「多分、牛っていうのが人間にとっては美味しい生き物だと思います。」
 
紅き龍
「………………」
「………ッ!!」

その場で両膝をつく。 胸に手を当てて、四つん這いになって呻く。

「し…知らない………うし……」
「……困難ばかりだ……! ……何故だ…何故なんだ……」
 
スフィ
道具ポーチから筆先を魔石にしたペンを取り出し、空中へおぼろげな牛の絵を描く。

「…じゃ…じゃあ、伝え聞いた話ですけど…」
「こんな、感じです...?」
 
紅き龍
自信の無い君の呟きを耳にすると、頭をあげた。

「…うし……うし……」 
「……! そうか! こやつがうしと言うのか!!」 
「分かるぞ! スフィよ!」

すごく嬉しそう。異国の地で、言葉が通じた時のような。
 
スフィ
聞いただけで食べたことは無い牛が、見れるかもしれないというだけで知的好奇心がそそられる。

「え!ホントですか!?」
「どこに行ったら食べられますかね?」
 
紅き龍
「ガハハ!! なに!スフィが動くことはない!!」
「待っておれ!!」
「我が!瞬く間に狩ってこよう!!」
 
―――
行動判定
<UBER BITES! 瞬間で肉を献上せよ!>
―――
有利① 情報を教えてもらった!
有利② 食牛からかなり遠い外見をしていたので、他の生物でも許される可能性が生まれた。


という事で、基本サイコロ3つに有利の追加分3で計6つ。
6b6 (6B6) > 2,4,2,2,5,1


結果は災い1、成功1。本判定は難易度が1の判定なので、現状失敗。よって災いサイコロを振る事に。
1d6 災い! (1D6) > 6
災い<一般表>:露見


適用効果:ハイテンションになって心の内をしゃべってしまう


面白そうなので、この災いを受ける事に決定!
最終的に成功1となったので成功!
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第6話は以下のリンクからどうぞ!良かったら「💛」も押して行ってください~!


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