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【魔女と獣とふたり旅】くさび石となまけた龍と溶岩湖(6/10)【TRPG/リプレイ/完結済】

紅き龍
「ガハハ!! これで! 美味いものをこやつに献上しィ!上回る恩を押し付ければァ! また極上の魔石を振る舞ってもらえるという物ォ!」

「座して待て!スフィよ!!」

(災い<一般表>:露見)願望駄々洩れ
大きな翼を羽ばたかせ勢いよく出口から出て行く。
 
スフィ
「え!?そんなこと考えてたんですかーーー!?」
「...別に、面白かったからまた作ってあげてもいいかなって思ってたのに...」

龍の背はあっと言う間に見えなくなってしまった。独り言が洞窟に反響した。
 
紅き龍
遠く、遠く。彼方から爆発音が聞こえる。その音の到着と共に、高笑いが聞こえてくる。時間にして5分程だろうか。龍は、特大の骨付き肉を肩に担いで、帰還する。

「待たせたな! いや!待ってないか! スフィよ! ガハハ!」

ズンッ…と着地し、生の骨付き肉をキミの眼前に差し出して聞く。

「牛だ!間違いない。火加減はどうする?」
 
スフィ
「焦げないぐらいに良く焼いてください...。」

眼前に差し出された多分”うし”の肉の大きさに引きながら、苦笑いで伝える。
 
紅き龍
「うむ、任せろ。」

一つ大袈裟に頷くと、小さく息を吸いこむ。骨付き肉を上に掲げ、龍は、灼熱の吐息を吹きかける。香ばしい匂いが、肉がジュウジュウと焼ける音が、君の空腹感を煽っていく。

「…ほれ。 こんなもんだろうか?」
 
再びキミの眼前に、こんがり上手に焼けました!な状態の骨付き肉が振り降ろされた。
 
スフィ
「うわぁ。おいしそう...美味しそう? ...美味しそうですね!!ありがとうございます!!」

半ばやけくそともとれる感謝の言葉を告げる。

「じゃあ頂きます、ね。」
 
――
PLウーロン(スフィ)
これは...美味しいか不味いかダイス振ってもいいですか?
 
GM
よかろう!振ってけ!我々は!賽の目の奴隷なのだ!
 
PLウーロン(スフィ)
ではサイコロをば…
 
1d2 1.おいしい 2.まずい (1D2)  →  2

PLウーロン(スフィ) wwwwww
GM(紅き龍)   wwwwww
――
 
スフィ
ごくり、と唾を呑み込む。それは食欲からなのか、緊張感からなのか。

「あむっ」
 
顔は苦悶に歪む。

「なんというか...自然そのものって感じの...」

必死に感謝を伝えようとはする。だが言葉が続かない。
 
「…………。」
「うぅ...すいません。良く焼けてはいるんですが...美味しくなかった...です。」

彼女は正直者だった。
 
紅き龍
「がは……は……………っが!!」 

手を胸に当て、両膝を地に着け、四つん這いになる。何故かスローモーションに見えた。

「なぜだ…!! なぜこうもうまく行かん…!!」
「極上の魔石がァ……これ以上食べれぬと言うのか……!!」
「なぜだ……!!」
 
スフィ
「龍さん...」

自分のためにしてくれたことだということは分かっている。龍の肩に手を置いて告げる。
 
紅き龍 プルプルと震えている
 
スフィ
「言ってくれれば作ってあげますから...。」

聖母のような微笑みを震える"少女"に向ける。
 
紅き龍
「……いま……な……なんと………?」
 
ゆっくりと顔をあげた
 
スフィ
「私も作るの楽しかったし、美味しそうに食べてくれるのが嬉しかったから、作ってあげます!魔石!」

それは本当のこと。他人に造ってあげることが楽しいと思えたのは初めてだった。
 
紅き龍
「…?!…それは!!誠か!?」
ガバっと立ち上がって、君の両手を掴んだ。

スフィ
「本当!次はどんなのが食べたい?」

嬉しそうに輝く瞳に思わず、ついつい敬語を忘れてしまう。

「あ、ごめん...なさい。龍さん。」

と、超越存在への礼節を欠いた態度を謝る。
 
紅き龍
「……。 気にするでない、スフィよ。」

コホンと小さく咳払い、ニコリと笑う。

「…で、だ。」
「我は、ありのままで食べる事が最上だと思っていた。しかし、お主が作ったあの魔石は、信じられぬ程に美味であった。」
 
一息ついて、真剣な表情で伝える。
 
「……誰も通さぬ場所だが」
「骨肉の争いを制し、我が手に入れた宝物庫。」
「お主は至高の調理人であり、客人だ。 案内しよう。」
 
スフィ
「え、いいんですか!?ありがとうございます!!」

龍をもってして宝物庫と言わしめる場所なら、カワイイ子がいっぱいに違いない、スフィの頭はすぐにそれでいっぱいになった。
 
紅き龍
「ガハハ…感謝を言うのはこちらの方だ。」

人差し指に息を吹きかける。吐き出された炎は、霧散することなく人差し指の先端に留まり、洞窟の中を照らし出す。

「足元に気を付けろ? 我は、転ぶという事を知らぬのでな。」

くるっと振り返って、呟く。
 
スフィ
「気を付けます!」

興味深い場所への案内に目を輝かせ、また、その足取りは軽かった。

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