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傑作SF「法治の獣」を読んで

未知との遭遇、異星人とのファーストコンタクト。SF作品でも人気のテーマではないでしょうか。あんまりSF小説に詳しいわけではありませんが、ファーストコンタクト作品としては最高ではないかと思える作品に出会えました。

あたかも罪と罰の概念をもつかのように振る舞う異星の草食獣シエジーたちの衝撃的な秘密を描く表題作を含む、宇宙SF中短篇3作

 概要を読んでも何のことやらですが、本書は「主観者」「法治の獣」「方舟は荒野を渡る」という3つのSF短編集です。
 基本的にはすべて、人間が宇宙に進出して、地球外生命体に出会い、関わるという話です。

 「主観者」ではイソギンチャクとクラゲが合体したような発光生命体が登場します。なぜ発光するのか、発光にどういう意味があるのかを人間たちが探ろうとして…という話。

 「法治の獣」ではユニコーンみたいな見た目の法律を持ち、農耕や建築まで行う動物シエジーが描かれます。知的生命体かと思いきや、なんと彼らには知能がありませんでした。
 知能がないにもかかわらず、知性があるかのようにふるまう彼らの行動から法律を抽出し、それらを人間に適用すればどうなるかという実験が行われているコロニーで物語が始まります。
 シエジーはなぜこのように進化したのか、なぜ彼らは知性があるかのようにふるまうのか。

 「箱舟は荒野を渡る」ではでかい円盤型生命体が描かれます。直径100m厚さ20mに惑星のすべての水、資源、生物、生態系が詰め込まれています。そして、それらは太陽を志向して移動し続けています。
 生態系そのものが生命体というなかなかにぶっ飛んだ発想です。はたして、彼ら?とのコンタクトは可能なのか…!?

 映像化されたらかなりすごい好奇心を刺激されるものになりそうです。ネットフリックスの「ラブ、デス&ロボット」シリーズでやってくれたりしませんかね?

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