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浮腫に対する手術方法〜LVA(リンパ管静脈吻合術)〜

リンパ浮腫の患者さんが毎日行う、包帯やストッキングで圧迫をしたり、毎日のスキンケア、運動や食事などの保存療法があります。

しかし、それでも思ったような効果がでない場合は、手術による外科治療(手術)を行う必要があります。

LVA(リンパ管静脈吻合術)やリンパ節移植が代表的な手術になります。今回はLVAに関して詳しくご説明していきます。

本記事の内容

・LVAってなに?

・LVAの長所と短所

・まとめ

LVAってなに?

LVA(リンパ管静脈吻合術)とは、リンパ管と静脈をつなげる手術になります。

リンパの流れが悪くなっている場所のリンパ液を、静脈と結んであげることで自然に流してあげることができるのです。

リンパ管は健康な人で40mmHg程度の圧力で流れています。

リンパ浮腫の患者さんの場合は、100mmHgと2.5倍程度の高い圧力がかかっています。

一方で、静脈は立っている状態で70mmHgになります。

圧力の高い方から少ない方に液体は流れていくので、その二つを結ぶことでリンパ液が静脈へと流れていくようになるのです。

体に負担の少ないLVA

LVAは局所麻酔で手術を行うことができるのでリンパ節移植などの他の手術方法に比べて体に負担が少ないのが特徴です。

痛み止めの薬を一部に注射することで、その部分のみの痛みを取り除くことができます。

手術中も意識ははっきりとしているので、主治医の先生と会話しながら安心して手術に望むことができます。また術後もすぐに食事を取れたり、歩いて移動することもできるのが最大のメリットです。

わたしのオススメは、局所麻酔です。どちらも体験したことがありますが、全身麻酔だと手術が終わり目を冷ましても1日ベッドで横になっていないといけません。トイレにもいくことができないので体もそうですが気持ちの面でもストレスがたまり、ものすごく1日が長く感じてしまうためです。

局所麻酔は注射をするため、痛みがあるので不安な方は、全身麻酔にしてもらうなどで対応してもらうといいでしょう。

LVAの長所と短所ってあるの?

LVAが他の手術方法に比べてどういったメリット、デメリットがあるのでしょう。

LVAのメリット

LVAはリンパ液の流れを静脈に流すことで、リンパ液をスムーズに流してあげる手術方法になります。

一番のメリットは蜂窩織炎などの炎症が起こりにくくなることです。

蜂窩織炎になると、発熱、寒気、痛み、倦怠感などの症状が現れます。

わたしの場合は、太ももなどが張った感じがあり、触ってみると熱感があるのが蜂窩織炎の最初の症状になります。

その後数時間で熱が40℃前後まで上がり、猛烈な寒気で夏場でも毛布にくるまっていてもガタガタとふるえてしまいます。

太ももの張りが痛みに変わり、リンパ浮腫の足が全体が痛みと熱感が広がっていきます。

蜂窩織炎が起こったその1日は、本当に苦しくてなんども経験しているわたしでも慣れるとこはなく耐えることができないです。

それくらい辛い蜂窩織炎の回数が少なくなることが最大のメリットだと思います。

LVAのデメリット

デメリットというくらいマイナスなことではないですけど、LVAをしたからといってリンパ浮腫の患部の太さがすぐに細くなったりすることはあまりありません。

たまった脂肪はそのまま残ってしまうので、元どおりの細さに戻すためには脂肪吸引をする必要があります。

脂肪吸引を行えばむくみで大きくなったボリュームは小さくなります。動きやすくなったり、既製品の靴や服を履くこともできるので気持ちの面でストレスがなくなります。

圧迫療法などの保存治療を継続して行えばそのままの細さを維持できます。

しかし術後の痛みやしびれ、かえってリンパ液の流れが悪くなる可能性もあるため慎重になり必要があります。

手術の流れ

前日まで

リンパ管の位置や太さを調べるためリンパシンチグラフィなどの画像検査を行う

当日     ↓

①車イスや自分の足で手術室に向かう

②心電図、血圧計をつけて手術台に横になる

③手術する箇所に麻酔の注射を打つ

④3cm切り、リンパ管と静脈を探す

⑤リンパ管、静脈をそれぞれ切り、その2つを縫い合わせる。

⑥切開した箇所を縫い合わせて手術を終えます。

手術時間は2〜3時間程度で終わります。1泊2日(当日入院)、2泊3日(前日入院)の入院期間が一般的です。また術後は、翌日から圧迫療法を行い、傷に問題がなければ退院になります。

まとめ

・LVAとはリンパ管と静脈を結び、リンパ液の流れをよくする手術方法である。

・LVAはむくみをすぐに良くする手術方法ではない。

・LVAは局所麻酔で行うことができるので、比較的安心して手術に望むことができる。

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