聞かれる度に、思い出す

あなたと私は、
遠距離恋愛をしていた。

昨日まで。

ちょっとしたボタンの掛け違いで、
私が悲しくなって、
あなたと別れるという選択をした。

電話を切った後、私は、
とても悲しい気持ちになった。

自分で振っておいて、
何て都合の良い感情なのだろう。

**

今日、私は仕事だった。
いつもの道を帰社していると、
橋の上に、あなたによく似た人がいた。

それがあなただという確信に変わるまで、
そんなに時間はかからなかった。

振られた翌日に、
飛行機に乗って来て、
逆プロポーズまでしてそのまま帰っていった。

滞在時間はたった30分。

驚いた。

でも、あなたのそういう所が好きで、
私もこの人と人生を共に歩んで行きたい。
そう思っている自分の感情に改めて気付いた。

「返事は考えさせて」

と、言ったけど、心の中はすでに決まっていた。

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時々、友人や、子供たちに、
「プロポーズはどっちからしたの?」

そう聞かれることがある。

そんな時、いつもこの日のことを追懐する。

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