「世界文化」なるものに対して
ウェルビーイング・幸せの研究を通じて、日本が培ってきた文化や価値観はどのように世界に貢献しうるのか。興味がある。
* ウェルビーイングとは、イタリア語のbenessere(ベネッセレ)が語源となり、「よく在る」という意味。Well-beingの記載のとおり、よい(well)状態(being)を指し示し、人の幸福、健康、福祉なども包含する広範な概念。
海外に禅思想を発信した鈴木大拙の『東洋的な見方』の冒頭には以下のような記載がある。
本書で「東洋的」という文字をよく使ったが、その真意は、まさに来たるべき「世界文化」なるものに対して、われら東洋民族の一員として、それに大いに貢献すべきものを持っておることを、読者は知ってほしいと思ってのことである。この貢献によって東西思想の各自の了解が進められ、したがって、その交流融和によりて、「世界文化」の開展に大いに裨益するところあらんことを期したいのである。
「世界文化」の開展、とはなんとも素晴らしいな、と。
ウェルビーイングの研究の世界では、”Global Wellbeing Initiative”と呼ばれる研究ネットワークに世界中の研究者がつどい、これまでのウェルビーイングや幸せの国際標準となってきた西洋的な価値観にもとづく測定だけでなく、日本的価値観や他の地域の価値観も尊重しながら、包括的なウェルビーイングや幸せを測定しようとする新しい国際標準の模索が続いている。
まさにまさに、”東西思想の各自の了解が進められ、したがって、その交流融和によりて、「世界文化」の開展に大いに裨益するところ”を目指すものだ。
日本からなにか発信することに自信を持ちにくい時代。だからこそもう一度、文化や価値観に立ち戻り、”大いに貢献すべきもの”を見定めたい。
高野 翔
【参考:Global Wellbeing Initiativeで検討しているウェルビーイングの新しい観点】
Proposal 1—Relationship to nature: “I feel connected to nature and all of life.”
Proposal 2—Mastery: “I am capable of dealing with life’s challenges.”
Proposal 3—Meaning in Life: “My daily activities seem worthwhile to me.”
Proposal 4—Low-arousal emotions: “Did you feel calm and at peace yesterday?”
Proposal 5—Balance and harmony: “The various aspects of my life are in balance.”
Proposal 6—Relationship to group: “My happiness depends on the happiness of people close to me.”
Proposal 7—Relationship with government: “To what extent do you feel that your government and/or society respects people for who they are (for example, their culture, religion, sexual, or political orientation)?”
Proposal 8—Leisure: “To what extent are you satisfied with how you spend your free time?”
Proposal 9—Resilience: “When life is difficult, I recover quickly.”
(引用:International Journal of Wellbeing. “Towards a greater global understanding of wellbeing: A proposal for a more inclusive measure”. )
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?