怒らせないか、嫌われないか、呆れられないか
なんとか高校へ進学しましたが、なかなか友達が作れず、やっぱり孤立して休みがちになりました。一年生の夏休みを目前に、父の勧めで休学しました。
休学中、やはり父に勧められ、社会勉強ということでアルバイトをしました。中卒で働いていた友達に紹介してもらい、その子と同じ職場の回転寿司屋で働き始めました。
私はいつでも、人にどう思われているか不安で仕方がありませんでした。
友達と一緒にいる時は、『私と一緒にいてもつまらないよな』『嫌われたらどうしよう』『むしろ既に嫌われているのではないか』と常にびくびくしていました。仕事中は、職場の大人たちを怒らせないか、嫌われないか、呆れられないか、不安で怖くて仕方がありませんでした。
とにかく怒られないように、怒られないように、周りの顔色を伺いながら常に緊張した状態で働いていました。今思えば普通の精神状態ではありませんでしたが、当時は今ほど心に関わる知識や用語が世に出回っていない時代だったし、私は子どもだったから、自分の異常に気が付きませんでした。
ただただ、自分が悪いんだと思っていました。どうしてこんなに出来の悪い人間なのだろうと思っていました。
ある時、三十~四十代くらいのパート女性が私にこう尋ねました。
「なんで学校行かないの?」
当時は自分でも自分の行動が理解できていなかったので、少し間をおいてから、ただ「楽しくないから……」と答えることしかできませんでした。
「楽しいとか楽しくないとかじゃないよね、学校って。」
女性は私に冷たくそう言い放ちました。
ある日私は、バイトに行くのが嫌で嫌で仕方がなくなってしまいました。どうしても支度ができないのです。
あの頃はまだ子どもで、蓄積していたストレスに気付けず、それどころか自分を責め続けるので悪循環に陥り、エネルギー切れになってしまったのだと思います。
仕事を辞める作法も何も知らなかった当時の私は、勇気を振り絞って店長に電話し、「今日辞めさせてください」と無礼なお願いをして、突然バイトを辞めてしまいました。
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