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夫婦喧嘩の絶えない家庭

 ごく個人的な話で申し訳ないのですが、私の家族の話をしてみようと思います。
 家族構成は、父方の祖母・父・母・長男・次男・そして私。祖父は私が生まれる前に二人とも他界しています。

 父と母は、どうしてだかは知りませんが、祖母のことを昔から嫌っていました。私が祖母に遊んでもらったり、お菓子をもらったりするのも嫌がりました。
 地元は田舎で、高給な仕事がなかったのか、物心ついた頃には父は隣の県へ出稼ぎに出ていました。私が子どもの内は、週末だけ実家へ帰って来ていました。
 高校受験を終えた頃には、実家に帰る頻度は少なくなっていました。

 そして父と母も仲が悪く、顔を合わせれば口喧嘩をしていました。
 喧嘩が始まると、兄二人は速やかにその場を立ち去りましたが、なぜか私は、『私だけは逃げちゃいけない! ここにいなきゃ!』という謎の使命感を持ち、いつも夫婦喧嘩の現場にいたんですね。
 でも、本当は怖かったです。逃げ出したかったと思いますし、そうすべきだったと思います。

 それは確か、小学校低学年の夏でした。夜、父・母・私でさぁ寝ようという時に、また夫婦喧嘩が始まりました。
 何をそんなに言い争っていたかは覚えていませんが、お互い譲らず、取っ組み合いの激しい喧嘩になりました。
 父が母を突き飛ばしました。母が気を失いました。私は怖くて不安で大泣きしました。
 数分か、数十分かして、母は目を覚ましました。
「なんで二階にいるの? なにしてたっけ?」
 母は一時的な記憶を失ってました。
 父は静かに泣きながら、私を膝にのせて言いました。
「もうお母さんには手を上げない。約束する。」
 その約束は、その後破られました。

 頻繁に暴力をふるっていたわけではありません。覚えている限りでは2~3回だけです。でも、幼い子どもの心に傷をつけるには十分でした。
 夫婦喧嘩の場に子どもが居合わせると、子どもは『自分が悪いんだ』と思い込み、自分を責めてしまいます。その結果、アダルトチルドレンになったり、精神病になるなど心に悪影響を及ぼすこともあります。
 私がこのことを知ったのは、すっかり大人になって、色々な困ることが起こってからのことでした。

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