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秋は悲しみつれて徒然

このニシヤマ君の演奏と曲が本当に良くて、なんでこんなにいいと感じるんやろうと確かめるためにもちょっと書いてみようと思います。
撮影がのこされ島、dutchinssonが撮っているという友達感もあるのですが、まぁほんとに素晴らしいので一度聴いてみてほしいです。

季節と自分の心情を繋げて表現することはほとんどの人があらゆる場面で行ってきていることです。

この歌を聴いた時に、秋を感じたんですよね。
秋感、
これや、と。
夏から秋にかけて温度が少し下がって、熱が冷めていく醒めていく時に感じる寂しさ。
なんで寂しく感じるのか、熟したものが徐々に腐敗に向かうように、沸点を迎えた狂熱が正気に戻っていくように、高まったものが放物線を描くように戻っていくのか落ちていくのか、漂う焦燥、ニュートラルに戻っていくつまらなさの奥に、少しの安心。何も失ってはいないのに、感じる消失。

歌の要素として、
内容(歌詞、何を歌っているか)
演奏(声の出し方や楽器の鳴らし方)
空気感(総体的に浮かび上がって漂う楽曲の存在感)
などがあります。

起きた内容や事実を歌うのは歌詞の解像度を上げたり抽象度を下げることでできます。演奏は練習や鍛錬、それ以外の要素もあるけどとりあえずは反復。
そしてこの空気感、これが難しいところです。

言葉で言いながら説明できない何かを表す宙空を掴むようなことは言ってしまえば心を表すに尽きると思うのですが、意図してできる時と偶然の産物と両方ある。"秋は悲しみつれて"にはそれが宿ってる。

歌を纏う雰囲氣や空気感の層がむくむくしていて豊か。アトモスフィーーッア!!あの入道雲が霧散して曲の周りに極小分子になって秋に原子転換していく間の歌です。心が担当している秋パートのセンサーが全部振れるくらいの感度。広辞苑の"秋"欄にはこの歌のyoutubeのリンク貼るだけで全部説明できるくらいの威力。

なんでこんなことができたのか今度本人に聞いてみよう。

"悲しい切ない虚しいそれは美しい"そう聴こえる。美しい曲です。


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