アルバイトでさえ人手不足なのに、教員が不足しないわけがない

様々な業種で人手不足が問題となっています。

リンク先の記事ではコンビニ、牛丼チェーンなどにおいても人手不足が深刻化しているという内容となっています。

人間が使い捨て出来るという勘違い

日本においてはこの30年ほどの不況のためか人間の価値が低下していました。

多くの企業は人材は履いて捨てるほどいる、労働者を選び使い捨てて利益を上げよう、という認識で労働者を集めてきました。

私の世代、1970年~1980年代前半に生まれた世代はこうした風潮に最も強く影響を受けた世代です。

物心がつく頃にはバブルが崩壊し、社会は不景気の真っただ中に。

また大学卒業時期はバブルで大量採用した人員整理の時期と重なり、就職超氷河期となりました。

国立大学や有名私立大学を卒業しても就職先が中小のブラック企業という状況が普通に存在していました。
(当時は現在よりも学歴採用が重視されていたにも関わらず、です。単純に採用数が少なすぎて労働市場が買い手市場となっていました。)

外国人労働者の存在

2010年代中盤に入ると新卒採用は安定した結果、新卒市場は安定しましたが、その結果低賃金の職業への人材不足が表面化しました。

そこで外国人の雇用が拡大します。

コンビニや飲食店においては外国人労働者が増加します。当初は中国系、2010年代に入るとベトナム系の労働者が増加したような印象を受けます。

また、過酷な労働環境と低賃金な労働需要を確保するため、外国人技能実習制度という現代の奴隷制度がフル活用されました。

これは現在進行形でそのあり方が問題となっています。

モデルの限界

このように、ここ数十年にわたって最初は日本の若者、次いで外国人と、労働者は使い捨て出来る、いくらでも替えが効くという認識で日本社会は維持されてきました。

ところが労働法規遵守の流れや労働者の権利意識の向上、何よりも年功序列や終身雇用を維持できない体制となったことでそうしたモデルが崩壊したのが現在の状況です。

もはや低賃金では労働者は雇用することはできず、労働条件の悪い職場やコンプライアンス軽視の企業は見向きもされない時代となったということです。

教員の人材不足

学校の教員の場合、そもそも職に就くために教員免許という資格が必要になり、それは大学で規定の単位をそろえて卒業する必要があります。

つまり、労働市場自体がオープンマーケットではない上に、参入障壁が高いということになります。

そんな中で教員免許更新制を試行したため、マーケット規模はさらに縮小しました。

その上、ブラック業界という認識が広まった結果、大学時代に教員免許を取得しない学生が増加しています。

どう考えても人材不足になるのは必然でしょう。

私が就職した2000年代中盤は教員志望者も多く、採用試験になかなか通らないという状況がありました。

その時期に教員を志望していた人達は臨時的任用職員として使い捨てられた人も少なくありません。

その後教員を諦め他職種に就いた人たちの多くは免許更新制で免許を失効しています。

待遇改善とマーケット拡大

教員不足の改善において急務なのは労働環境の改善です。

現代の若者の多くは自分の時間や友人との時間を重視する傾向があり、教員の長時間労働、けじめのない労働時間という勤務体系とはミスマッチを起こしています。

もちろん、給与の倍増などインパクトのある給与待遇に改善できれば別ですが、限られた予算の中でそうした財政支出は困難であり、現実的ではありません。

少々の給与増で状況変化があるとは思えないのですが、残念ながら現状の改革案の多くはそうではないようです。

かつての労働者の使い捨て意識のままで、金を増やすから黙って働けという認識から抜け出せていないようです。

また、教員免許の取得に関わる部分も改善が急務でしょう。

最低でも4年間(短大の場合2年でも可能ですが)、大学1年の段階で免許取得を決定しなければならない制度では免許取得者の減少は不可避です。

免許なしで採用や大学3年次採用を行う自治体も増加しているようですが、取得義務を履行できずに採用見送り事案が増加するのは目に見えています。

少なくとも、採用側、雇用者は労働者が畑でいくらでも取れるというかつての感覚から脱しない限り未来はないと思うのです。

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