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福岡市立中学校の入学式当日クラス分けトラブルの最も大きな原因は教育委員会の規定


福岡市立中学校での入学式におけるクラス分けのトラブル

福岡市の市立中学校では4月10日に行われた入学式において、当日判明の生徒数の増減でクラス数が減少するというトラブルが発生しました。

どうやら式の直前に生徒がこう区外に転居していることが判明し、それを前提としてクラスの組み換えが行われたということのようです。

開式の約20分前に別の中学校から「そちらの生徒が(こちらの)入学式に来ている」などと連絡があり、生徒の1人が校区外に転居したことを初めて把握した。

なぜこんなドタバタ劇となったか

さて、こうしたトラブルはどうして発生したのでしょうか。今回の場合は当然ながら不幸な偶然が存在します。

まずはクラス定員の問題です。現在、多くの自治体では1学級あたりの生徒数の基準を上限35名で設定しています。今回の福岡市の中学校の場合、281名の新入生を見込んでいたため9クラスとなる予定でした。ところが280名の入学者となった場合、8クラスとするために変更を余儀なくされました。

また今回の場合の細かい情報は公開されていませんが、保護者の転居届や入学確認の届け出が遅れた可能性は大いに考えられます。これに関しては保護者に大きな責任が存在するのは間違いありません。自分自身も一保護者として身につまされます。

しかし、確かに保護者の責任には違いありませんが、その家庭や子供の入学後の手続きで不利益があったとしても、どうして全く関係の無い280人や、その学校に務める教員の多くまでもを巻き込む必要があるのでしょうか。

正直な話、今回のトラブルの最も大きな原因は教育委員会の規定そのものにあるのではないでしょうか。

「入学式当日の生徒数でクラスの数を決める」のは妥当か

記事内に以下のような記述があります。

 市教委の規定では中学校1年生は入学式当日の生徒数でクラスの数を決める。

これが全国一律に行っているのか、福岡市の独自のものかは不明ですが、今回のトラブルの根本的な原因はこれです。

学校組織の場合、3月末の段階ですでに人事は9クラスで動いており、配置や担任の準備を4月初旬には行った上で入学式を迎えています。

おそらく、それらの次年度に向けての準備を3月後半から進めていたはずなのに、今回のこのトラブルで台無しにされたことになるのです。

この規定が仮に「4月1日時点での入学予定者の人数」とでもなっていたならば、少なくとも1週間は時間を作れたはずです。それを入学式当日というその日の結果次第のような規定にしていたため、今回のような大きなトラブルになったのです。

大事にしたのは教育委員会

繰り返しますが、今回の原因の発端は保護者の連絡漏れである可能性は高いのは間違いありません。しかしその責任に関しては保護者や生徒本人が多少の不便を強いられる程度のものでしかありません。

これほどの大事になるのは明らかに規定そのものに問題があるからでしょう。

今回の場合もクラス生徒の書類準備などを入念に行った上で入学式に学校側は望んでいたはずで、今後の行事や時間割、教科担当などに関してもすべて9クラスを想定して動いていたのは確実です。

もし仮にこれが280名の予定が281名になったとしたらどうなったのでしょうか。ただでさえ教員不足の上に、担任を増やし、持ち時間数を増やすというのは働き方改革とは真逆の発想でしょう。

行政機関である以上、その場での柔軟な対応というのが難しいことは十分に理解できます。私立であればその程度の増減でクラスを動かすことはしないでしょう。しかし公立である以上、そうした対応ができないからこそ、事前に動きの取りやすい規定にすべきではないでしょうか。

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