見出し画像

統一テストは「IBT形式」を本格的に導入する時期

近年、資格試験などではCBT(Computer Based Testing)やIBT(Internet Based Testing)の導入が進んでいます。

特に有名なのはTOEFLやTOEICでしょう。これらの試験ではIBTの導入が進んでおり、規定の試験場などでこれまでのペーパー試験よりも柔軟な日程設定で受験が可能になっています。

IBTを自宅で受験することが可能な試験もあります。

PCやカメラ、マイクなどの機器や誰もいない部屋を用意するなどの事前準備は必要ですが、自宅で受験をすることができるというのは非常に大きなメリットです。

AIが監視し、監督に不正可能性を知らせる

そうした状況下で、さらにその流れが加速する方向で技術開発が進んでいます。

カメラで受験中の受験者の様子を確認し、AIが不正の「可能性」のある行動を検知し監督者に通知して、その結果監督者が判断をするというシステムのようです。

このシステムを利用すれば、一度に大量の受験生のオンライン受験を管理することが可能となるでしょう。

「大学入学共通テスト」にこそ必要

一般入試の受験の実施において最も問題となるのは、大きな受験場を確保し、大量の受験生を管理、監督する手間と時間を要するところです。

また、問題の輸送や配布、答案の回収などいくつものエラー要因を含む工程が発生します。

それを防ぐための人員の確保やプロセスの構築には多大なコストが発生しています。

ところが、こうしたAIシステムとIBTはそうした問題をすべて解決することが可能となります。

また、受験生側にとっても大きなメリットがあります。

冬の一番寒い時期に受験会場へ行くことは交通の点からも、体調管理や感染症の観点からもリスクの大きい行動です。

そうした点のほとんどを自宅でのIBT受験ではクリアすることが可能でしょう。

不正をどの程度防げるか

こうした試験において議論になるのが、不正をどの程度防げるか、ということです。

私自身はTOEFL iBTを受験したことは無いのですが、似たようなシステムで「Google 認定教育者」の受験をしたことがあります。
(規約上、試験の詳しい内容を書くことはできません)

この試験ではPCブラウザ上でGoogleアプリケーション利用の技能を確認する試験です。

試験は3時間程度、試験中はカメラを常に起動するように求められていて、試験中は録画されています。

受験後、数日後に合否が通知されます。おそらくは審査の段階でカメラの映像も確認していると思われます。

現在のままでは通常のwebカメラでの試験であるため、隠れた補助者がいた場合などの不正に対応することは難しいようです。

しかし、AIによる常時管理と360°カメラなどを要件にすれば十分に公的な試験にも耐えられるのではないでしょうか。(問題は通信トラフィックですね)

風物詩という固定観念を捨てる時期

大学受験、特に共通一次からセンター試験、共通テストと続く大学入試は真冬の風物詩となっています。

大学受験に関わる私たち教員や予備校関係者なども、当たり前のようにこの時期に入試があるものだと受け入れています。

しかし、実際には入試をどの時期に実施するのかはもっと考える余地があるはずです。

コロナの初期のころには大学入学を9月に移行する案がささやかれていたこともありますが、きちんと議論なる前に有耶無耶になってしまいました。

国際的な基準に合わせれば、留学なども含めてメリットの多い変更であり、インフルエンザなどの各種感染症が流行りやすい時期に、全国一斉テストを行わなければならない必然性は一切ないのです。

IBTを用いれば、そうした時期変更にも柔軟に対応できるでしょう。

テクノロジーを導入した上で、固定観念を捨てた柔軟な議論が盛り上がることを期待したいところです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?