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Jamboard終了に見る、特定プラットフォーム全乗りの危険性


Jamboard終了のお知らせ

Googleが提供する共有型ホワイトボードサービスであるJamboardのサービス提供が終了するという発表がありました。

Jamboardは教育関係でも利用者が多く、また民間企業でもミーティングなどでの利用を行っているケースがあったようです。

Jamboardはクラウド上のホワイトボード共有機能だけではなく、大型専用モニタを利用する方法もありました。

上記のリンクは65インチモニタを利用してJamboardを活用するプランになっており、このデバイスはオンラインに接続すればPCを経由せずに保存、共有ができるものです。

これも含めて、サービスの全ては2024年の10月に利用停止となる予定になります。

世はまさに「大・授業支援システム」時代

2019年あたりまで、じわじわと広がっていて公務・授業支援システムの導入ですが、コロナと一斉休校、GIGA前倒しで日本中に普及が進みました。

世はまさに「大・授業支援システム」時代と言えるでしょう。

Google Workspace、Microsoft365、ロイロノート、MetaMoji、スクールタクト、有名どころでもこれだけあります。

しかし、当然ながらこれらのプラットフォームが10年後にサービスを全て維持できているとは到底考えられず、おそらくはその半数以上は市場から退場することになるでしょう。

この危険性を考えている学校関係者はどれだけ存在するのでしょうか。

作成物の多くが使えなくなる可能性

今回のJamboardの中止によって、授業用にJamboardで作成した課題その他の制作物は使用不可能となります。

この3年間でかなりの教材を作りためたという教育関係者もいるのではないでしょうか。

もちろん一部は他のサービスやソフトへ移行することも可能でしょう。しかし、こうしたサービスを使ったことの人間ならば分かると思いますが、別サービスへ移行した場合、本来期待される動作や機能を100%再現することができず、多くの場合は使わなくなるのが想像できるでしょう。

そして、授業支援システムにも同様のことが言えるのです。

特定プラットフォームに全乗りする危険性

たしかに特定のプラットフォームに依存して公務や授業を設計することは「楽」ですし、クオリティの高いものを制作できる可能性は高いでしょう。

ロイロノートのカードやスクールタクトのテンプレなど、多くのシステムには授業を支援するためのデータや仕組みがふんだんに盛り込まれているからです。

そして教員の中には「ロイロ職人」や「タクトマスター」とでも呼べるほどシステムの利用にのめり込む人たちも存在します。

しかし、忘れてはいけないのがそれらのシステムの多くが最終的にはサービスを終了する、ということです。

Googleが運営していたJamboardですら中止になるのです。(というよりもGoogleはこうした終了のさせ方を頻繁にします。Google+は記憶に新しいでしょう。)

日本の企業が運営しているシステムの持続可能性がどの程度が、私はかなり不安視しています。

複数のシステムの利用とプラットフォームに依存しない汎用性の高い形式の利用

私の勤務校ではGoogleとMicrosoftの2種類のシステム、さらに学校独自のシステムとサイボウズを用途に分けて、同時並行的に利用しています。
(システムの設計者の意図あってのものか、偶然の産物かは不明です)

利用者である教員側からするとこれはなかなかに煩雑な仕組みです。
(生徒側からはGoogleのみ、のように混乱が無いようにしています)

複数のサービスを並行利用するために確認作業も面倒になることがあるからです。

しかし、一方で仮にどのシステムが終了になっても代替が可能な状態を維持できています。

また私自身、生徒への配布プリントや授業用の教材に関しては基本的にPDFなどの形式しか利用していません。

例えば数研出版のスタディエイドでは作成したプリントをその形式のまま生徒に送付する機能が存在しますが、私はスタディエイドで作成したプリントをPDFに変換し、それを生徒と共有するようにしています。

スタディエイド形式のプリントはサービス終了や端末を変えた場合、OSの世代交代のたびに利用不可能となりますが、メールとPDFであればその心配はいらないでしょう。

汎用性、普遍性の高い仕組みの強み

新しいシステムは便利で魅力的に見えます。

私自身、ガジェット好きですのでそういったものへの興味は決してすくなくありません。

しかし多様な人とのやり取りや長いスパンでの保存や再利用を考えた場合、汎用性、普遍性の高い仕組みが最も最適でしょう。

昨今の研修会などで見かける、ソフトやシステムに依存した「最新の授業」に共感できないのはそうした考えが根底にあるからかもしれません。


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