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【題未定】LUMIX S9発表に感じたカメラという機械の未来【エッセイ】

 今年も新作のカメラが各社から発表されている。2月のFUJIFILMのX100Ⅵの発表と発売、そして品切れからスタートし、先月にはLUMIXのS9、先日はおなじくLUMIXのGH7が発表となった。どれもこれも魅力的なカメラだ。CannonからEOS R1の開発が発表されるなど、オリンピックイヤーにまつわる発表もあるのだろう。

 かくいう私は現在オリンパスのE-M1Xを使用しており、これには性能的にも、見た目的にもかなり満足しているため当面買い替える予定はない。(分割の支払いも残っている)とはいえ新しいカメラが出たとなると気になるのがガジェット好きの性である。

 ここ最近の新作で最も興味を引いたのはLUMIXのS9だ。ニコ爺からの批判やホームページにおけるストックフォト利用にまつわる諸々で炎上した機種ではあるが、そのコンセプトは非常に魅力的に感じた。

 S9の特徴はその携帯性だ。フルフレームのセンサーを採用しながらも500gを切る重量というのはSonyのα7cやZV-E1の牙城を崩しうるポテンシャルだろう。それに加えてカメラ内でのカラーグレーディングの自由さ、スマホとの連携性などSNSでの写真活用に特化した現代的な機能は非常に魅力的だ。

 EVFが無い、コールドシュー(電子接点がないアクセサリーシュー)を採用、メカシャッターを省略といった古参カメラファンからは批判されるような付加的要素を切り捨てて、現代の若者やライト層に特化した内容で、ほぼ20万円という価格は挑戦的でもある。

 正直なところ、S9は非常に心惹かれるカメラではある。しかしレンズマウントがLマウントであることがネックだ。私の使用するオリンパスとは互換性が無いタイプであり、レンズの使いまわしができない。したがってこれまで購入したレンズ資産を全く活用できないのだ。当然レンズも買い直しになるとすれば、どう考えても現実的ではないだろう。

 一方、今週発表されたLUMIXのGH7はPanasonicの動画フラグシップ機でありながら、レンズマウントはマイクロフォーサーズというオリンパスとレンズを共用できる仕様だ。しかし私の所有しているE-M1Xと用途がある程度かぶってしまうこと、動画よりも写真をメインであることからそこまで興味を持てなかった。仮にS9と同様のSNSやスマホ連携に特化したマイクロフォーサーズ機が出れば真剣に買い替えを考えるかもしれない。

 デジタルカメラはスマホの台頭によって売り上げを大きく落とした。特にコンデジと呼ばれる小型のデジタルカメラはその座をスマホの付属カメラに完全にその座を明け渡してしまった。

 しかしそれと逆行するように、スマホのカメラで満足しない層も増えているという。いわゆるオールドコンデジと称される旧型のカメラが若者の間ではブームになっている。iPhone6の中古市場が写真を撮る用途で盛り上がっているとも聞く。スマホのバッテリーを消費しないカメラという意味でも人気があるという。

 そう考えるとS9という形でLUMIXが狙い撃ちしたターゲット層は決して少なくないのかもしれない。この少なくない層を狙った第2、第3のS9が出てくれば、スマホとデジタルカメラの住み分けという新しい構造を生み出す可能性もあるのかもしれない。

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