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PTA未入会問題に見る、教員が法律を学ぶ必要性

PTAに入会を拒否する家庭が増えているという問題を最近よく目にします。

先日は、そうした未入会の家庭の子供に関する以下のようなツイートを見かけました。

このことに関して、多くの教員が「当たり前だろう」、「入会していない保護者が悪いが仕方ない」という意見のリプをつけていたように思います。

PTAは任意団体であり、義務ではない

そもそもPTAとは何でしょうか。

PTAは「Parent Teacher Association」の略称で、直訳すれば「親と教員の会」というもので、社会教育関係団体に位置付けられた組織です。

PTAはあくまでも任意加入の団体です。

入学時に、全員加入の義務があると誤解するような表現で加入を迫ったり、あるいは入会の意思を確認せずに入会させるケースなどもあるようです。

しかし、2016年の熊本地裁のにおける会費返還訴訟においても、PTAが任意加入団体であることが前提となる事実とした上で争われています。

社会教育団体としてのPTA

PTAの活動は、登下校時の見守り、学校行事の運営補助、防犯活動などが主なものになります。

活動内容は学校のすべての子供に対して行われる活動であることが前提の組織です。

非常に公的な活動を行うことを目的とした社会教育団体であり、学校すべての子供に対して資する活動を行っているため、公共施設である学校の教室の利用や、教員が業務時間中にPTAの連絡文書を配布したりすることが許可されてるのです。

PTA未加入世帯の子供へ景品を渡さないという問題

今回は、PTA未加入の子供に景品を渡さないことが問題になっています。

たしかに、加入費で購入した景品を未加入の子供に渡すということに違和感を持つ人も多いでしょう。払っているからもらえる、という感覚は庶民感覚としてはもっともです。

ただし、それは学校が公的な機関ではなく、PTAが有料会員サービスであればの話です。

先に述べたように、公共施設の物品や人員を利用することが許可されたPTAの活動は極めて公的な性質の高いものです。

したがって、PTAは有料サービスとは性質が異なり、費用を払った分のサービスを行うのではなく、公的な活動を行わなければならないのです。

仮に、景品を配ることが学校の教育活動に関わることであり、それをPTAが補助するために費用を負担するのであれば、加入の有無に関わらず全員に景品を渡さなければ公益性が担保されないのです。

個人情報保護の問題

これ以外にもPTAの活動に関しては様々な問題があります。

その一つが個人情報保護の問題です。

最近は子供の入学時にPTAの加入申し込み書を提出するケースが多いため、その時に個人情報保護に関しての許諾をとる文言が入れられている場合が多いようです。

またそのときに、学校へ提出する個人情報を含む書類の文章の中に、以下のような文言が書いてあることが多いでしょう。

「お預かりした個人情報につきましては、PTA活動での利用のために学校からPTAへ提供を行うことをご了承ください」

この書類を出すことで、個人情報を渡すことを承諾した、考えがちです。

しかし、個人情報保護法は利用目的を明らかにし、同意を得た場合、その目的に限った上で個人情報の授受を可能としています。

「PTA活動」という包括的な場合、利用目的によっては違法とみなされる場合もあるのです。

そうしたケースはまれでしょうが、最低でも同意書を取る必要はあるでしょう。

教員は法律に無頓着過ぎた

体罰やいじめなど大きな問題から個人情報保護やPTAの問題など、これまで教員は法律に無頓着過ぎました。

そして学校内の独自なルールを設定し、治外法権を敷いてトラブルの解決を図り、子供の保護や配慮という言い訳を糊塗して隠蔽をおこなってきました。

そうした行為は決して悪意から生まれたものではありませんし、そうした教育上の配慮によって救われた人もいたかもしれません。

しかし、隠蔽がひっそりと行われ、誰にも知られずに解決すような時代は終わりました。

コンプライアンス的にも、情報機器の進化による技術的な側面でも今までの解決は通用しなくなっているのです。

そういった時代の変化をきちんと認識し、その上で法律や法理論理を学ぶことが教員には求められているように感じます。

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