「子は親の背中を見て育つ」Lineage リネージュ昔話011
皆さんはWorld Cyber Games、略してWCGというイベントをご存じでしょうか。
ゲームのオリンピックのようなイベントです。
※ご存じない方で興味をお持ちくださった場合、公式サイトやWikipediaなどをご覧ください。
WCG本選出場者の中で、私にとって印象深い日本人選手が2人いるので、少しだけ紹介させてください。
1人目はHalen選手です。
2002年にエイジオブエンパイア2の日本代表として出場され、本選において金メダルを獲得されています。WCGにおいて、格闘ゲーム以外のジャンルで優勝した日本人は彼だけです。
※エイジオブエンパイア2はマイクロソフトから発売されたRTS=リアルタイムストラテジー。ターン制ではない戦略シミュレーションゲームのようなジャンルです。
実は私自身はRTSというジャンルに分類されるゲームをほとんどやったことがありません。そんな私でも「名作」として知っているほどの作品です。
このHalen選手のプレイを見たのは、WCG日本代表を決める、予選大会の決勝戦動画(記事を書くにあたって探してみたのですが、残念ながら発見できず)でした。
他の試合の動画をニコニコ動画で発見したので、一応貼っておきます。
一目見て思いました、「こんなプレイヤーに勝てる人間がいるのか?」。
まず操作の速度が速すぎて人間離れしているように見えます(Halen選手はゲーム画面に映す場所の切り替えを、他の選手に比べて極端に頻繁に行います)。
RTSというジャンルは、かなり色々考えることがあるはずなのですが、操作速度が恐ろしく速いということは、思考速度も恐ろしく早いということに他なりません。
実況・解説の方も「Halen選手はあまりにも操作が早いことから、神の左手と呼ばれています」「早すぎて実況がまったく追いつきません」などと語っていました。
当然と言いますか、予選大会決勝も危うげなく勝利して、WCG本選出場を決めております(そして前述のとおり、本選でも優勝して金メダルを獲得されました。)。
余談ですが、知人から「エイジオブエンパイアで有名なHalen もシリウスサーバーの初期だけリネージュやってたよ。」という噂を聞いたことがありますが、真偽のほどはさだかではありません。どなたかリネージュプレイヤーとしてのHalen氏をご存じの方がいらっしゃいましたら、ぜひご一報ください。
もう1人私の印象に残っているWCG本選出場者が、Kikuji選手です。
Kikuji選手はメダリストではないのですが、最年少出場記録保持者です(日本人としてではなくWCGの歴史全体で)。WCG本選に出場した2003年当時の年齢は、なんと11歳。
※本選に出場したということは、当然日本での予選で勝ち抜き、日本代表に選考されているということです。
出場タイトルは、Unreal Tournament 2003。ジャンルはFPSですね。当時はFPSは日本では比較的マイナーなジャンルではなかったかと思います。今はずいぶんと浸透しましたね。
Kikuji選手はお父さんが大会運営・実況配信などで有名だった、Kanekon氏という方です(ちなみに声がユースケ・サンタマリアに似てると言われてました。本当に似てると思います。)。
Kikuji選手もKanekon氏が主宰する大会に出場し、上位争いをしているところをよく動画で見た覚えがあります。
当時の動画が幾つか上がっておりましたので、私もリアルタイムで見ていたものの一つを紹介しておきます。勝敗は書かないようにしますが、後半のKikuji選手の追い上げが凄まじかったことをよく覚えております。
さて、ここまでリネージュと全く関係ない話でしたが、リネージュの中で「少しだけKikuji選手みたいだな。」と思っていたプレイヤーがいたのです。
その名前は「ぴか2」君。当時小学校5年生でした。
リネージュ記者クラブという、当時のユーザーには有名だった個人サイトにおいて、「小学生の高レベルプレイヤー」としてインタビューを受けていたはずです。
ぴか2君とは同じチームで活動していたことがあります(JP2カノープスサーバーの鬼導血盟、他の記事で少し触れたボス独占血盟です。)。
ゲーマーは夜ふかしのイメージがあるかもしれませんが、彼は就寝時間が早く(夜9時ぐらい)、早起きして学校に行く前にもリネージュをプレイしてました。健康的ですね。
お父さんもリネージュプレイヤーでした。しかし特に高レベルや有名なプレイヤーではなかったようで、そのキャラクター名を知ることはありませんでした。
たまに面白がって、ぴか2君に「お父さんは?」と聞いてみると、「お父さんは火山にいるよ。」などと返ってくるのが、かわいらしく、面白くもあったものです。
FPSにせよMMORPGにせよ、この時代の小学生が自らそれを知る機会というのはほとんどなかったような気がします。
おそらくKikuji選手も、ぴか2君も、親御さんの影響でそれらを始めたのではないでしょうか。
「子供は親が言ったことを聞いて学ぶのではなく、親のを見て学び、真似をする。」などと言ったりします。Kanekon氏は非常に楽しそうにゲーム実況される方でしたし、名も無きリネージュプレイヤーであった、ぴか2君のお父さんも、その息子であるぴか2君がリネージュに触れたくなるような、楽しい雰囲気でリネージュをプレイされていた方なのでしょう。
しかしあれから約20年経っているので、当時小学生だったぴか2君ももう30歳を超えているのか。リネージュに熱中したあの頃のように、熱中できる何かを見つけて楽しく過ごしていることを、陰ながら祈りたいと思います。
締めくくりに。
「子供のときにゲームにのめりこんだりするのはあまり良くない。」
今も昔も、そのように考える方は多くいらっしゃると思います。
ただ私は「何をやったか」はそこまで重要ではなく、「どれだけ一生懸命やったか」によって、得るものが変わってくると思ってます。
それはスキルが身につくといった点でもそうですし、人格形成・心に与える影響もです。
スポーツや勉強を一生懸命やる子供は、多くの場合褒められると思います。
ただそれがゲームであったり、もっと別の、大人にはなかなか理解しがたい遊びであったとしても、本人なりに一生懸命、試行錯誤して取り組んだのであれば、きっとそこから多くの学びや経験が得られると思います。
※あまりに試行錯誤できる余地の少ないような遊びであれば、私も「やらせない方が良い」に一票を投じたいと思いますが(笑)。
私は爪が変形するまでゲームの練習に打ち込んだことがあります。
ゲームに負けたことで、うなされて夜中に目が覚めたことがあります。
ゲーム練習会の入会試験で、手が震えるほど緊張したことがあります
(昔プレイしていたカードゲームで、県内の強いプレイヤー少数だけを集めて、練習会をやっているチームがあったのです。)。
どれも貴重な経験であり、スポーツや勉強に打ち込んだ人と同様に、素晴らしい経験ができたと、自分では思っています。
東大卒のプロゲーマーである、「ときど(本名:谷口一)氏」は、その著書の中や、インタビューへの回答で「ゲームをしてたから東大に受かった」と言っています。
私自身は、難関と言われる国家資格を幾つか持っています。私もときど氏と同じように「ゲームをしてたから資格試験に合格できた」と本気で思っています。
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