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杜の都の男前 島内宏明さんを知っているか。

いつの間にか"沼"にハマっていた。
プロ野球を見始めて以来、"沼落ち"するのは久々のことかもしれない。

今回は、東北楽天ゴールデンイーグルスの背番号35、島内宏明選手について語りたい。今は亡き星野仙一元監督にかわいがられた"明治魂"を抱くこの男は、イーグルスには欠かせない存在だ。

喪失感からの新たな出会い。

彼を熱心に応援するようになったのは、2018年ごろだったかと。

"MyHERO(※)"をどの選手に設定するか悩んでいた頃だった。
この前年のオフに当時のMyHEROだった金刃憲人さん(現・球団職員)が戦力外通告を受け、現役引退。「来季はどうしようか…」と"金刃ロス"と付き合いながらも、必ずやってくる新たなシーズンへ向けて気持ちを入れ替えようとしていた。※MyHERO…イーグルスでは推しの選手を意味する

記憶が定かではないが、春季キャンプ前に開かれた観戦仲間との新年会がターニングポイントだったかもしれない。席上で「島内宏明さんは武士のような男前」説が盛んに飛び交っていた。ふむふむを耳を傾けてみると「島内宏明さんはすごい!」「男前!」「武士のようなバッティングだ!」「アウトカウントの確認がたまらん」などの魅力が、熱心な島内宏明さんファンによって説かれたのが大きな決め手だったのかもしれない。

痛飲していたこともあり、翌日に改めて"島内宏明"というプロ野球選手に対し、じっくり向き合ってみた。 YouTubeに掲載されている過去のプレー動画や、試合で撮影した写真をじっくりと見返すなどをして「あ、これはたまらん…。応援したい!」と自分自身の気持ちが大きく揺さぶられた。

My HERO・島内宏明はこのタイミングで誕生することになる。

2018シーズンは昨季の躍進からリーグ優勝も狙えると、開幕前の順位予想では高評価を得ていた。しかし、フタを開けてみたらリーグ最下位でフィニッシュ。当時の監督・梨田昌孝さんがシーズン途中に辞任を発表、のちにヘッドコーチの平石洋介さんが監督代行を務めるなど、最初から最後まで波乱づくめの一年だった。

このシーズン、島内さんは故障で苦しむ時期があった。
1軍では初めて4番打者として起用された試合(4.19 vsホークス)で右内腹斜筋を痛め、2カ月程度の戦線離脱を経験。復帰後は"タナモギアイランド"の打順形成により3番打者として定着。自己最高となる打率.292をマークし、2年連続の二桁アーチを記録するなど、イーグルス打線の中では核となる存在に成長した。

怪我で一軍から離れている間、ファームの試合にも足を運んだ。
市原、遠かったけれども行ってよかったな。

愛が高まり、応援用ゲーフラを作る。

2019シーズンはグッズを数多く購入するようになった。
ホーム・ビジターのユニフォーム、リストバンド、選手応援タオル(MyHEROタオル)はもちろんのこと、ついには自作グッズにも手を出すようになる。

ゲートフラッグを制作する運びになった。サッカーの試合ではよく見られている、サポーターやファンが両手で持つ旗だ。日本球界では掲げているファンが多くはないものの、ジワリジワリと増えているように感じる。

応援を目的にファンが何かを自作する場合、応援メッセージボードを作るケースが多い印象を受けている。
もしくは応援タオルもだろうか。何を作るかは様々だろう。

いや、自分はちょっと違ったことがしたいと。愛が気持ちを動かした。

応援ボードじゃない、応援タオルじゃないゲーフラだ!

はじめてのゲーフラ作りが始まった。
手始めにスタジアム各球場のスタジアムルールを把握することから始まった。

ゲーフラはそもそものサイズが大きいため、掲出して応援するには各球場のルールに従わなければならない。大きすぎると没収されてしまう。

各球場によってルール異なることは以前から理解していた。
しかし、各球場のサイズに準じて作ると大分小さくなってしまう…。

検討を重ねた結果、ビジターの外野席での応援機会を勘案し、ZOZOマリンスタジアムのルールに準拠したサイズで制作した。
ここ数年はカメラ撮影の関係で観戦の大半が内野席となっているが、ZOZOマリンでの観戦時はビジター外野席に座りたいこだわりがなぜかある。

実は2018年の段階で"β版"としてゲーフラを作っていた。
来季からの正式導入を見据え、紙素材で制作したがやっぱり壊れやすかった。手元に写真がないのでビジュアル面での紹介は出来ないが、実家のどこかで眠っているので機会を見つけて紹介したい。

そして、こちらが制作したゲーフラだ。

"男前島内"のコピーと、島内さんのプレー中イメージを組み合わせたレイアウトにした。ゲーフラの印刷は専門店のゲーフラ工房に依頼。金額は10,000円程度だったかと記憶している。デザインはIllustratorでチマチマと制作した。

島内さん本人に久米島春季キャンプでゲーフラを見せる機会があった。
照れていた。照れていても金のフェルトペンでサインを入れてくれた。
ホントに嬉しかった。その後に飲んだオリオンビールが勝利の美酒かのように美味しかった。

しかし、今季はCOVID-19の影響で外野席での応援が出来るかは未だに不透明だ。いつになったら今季初のお披露目が出来るのだろうか。

ちなみに、ゲーフラを作った2019シーズンは、4番打者としても起用される機会が多い一年でもあった。

Wikipediaにはこんなエピソードが記されている。

イーグルスにドラフト経由で入団した生え抜き選手が開幕戦に4番で出場するのは球団史上初となった。4番でスタメン出場した4月20日の第2打席で通算45本目の第1号2ランを放ち、日本プロ野球11人目の全打順本塁打を達成した。(島内宏明 -Wikipedia)

本人は「『4番は無理』打法」と報道陣にコメントを残すなど、4番打者としての起用にはあまり好意的でないように見受けられた。しかし、他の打順での起用と変わらないパフォーマンスを見せており、どの打順でもコンスタントに成績を残せる順応力の高さが見られた。すごいぞ、島内さん。

カメレオン打法と銘打っていた試合もあった。
もぎもぎこと茂木栄五郎さんになりきって合わせたらしい。

我々を賑わせた島内語録はまだまだあるので、後ほど紹介したい。

三十路を祝う、今年の久米島。

今年の2月に沖縄の久米島へ足を運んだ。もちろんイーグルスの春季キャンプの見学が目的だ。COVID-19で世間が騒然とする前だったか、時期的に穏やかに見学できたのではと思っている。

この時期、島内宏明さんは節目のタイミングを毎年迎える。
そう、2月2日に誕生日を迎えるのだ。
キャンプ中にはチームメイトから手荒く祝われるのが恒例行事だ。

しかも今年の誕生日は一味違くなりそうだ。
節目となる"三十路"を迎える。

通称"男前島内会"と呼ぶ、島内さん好きの同志も久米島に行くとのことだったので、"誕生日どう祝うか問題"を題材にキャンプ前に話を振ってみた。

何かやりたいね!Tシャツでも作りますか!

ほう…Tシャツか…推しのアイドルの生誕祭のような熱気だな…。
これはこれはと思い、賛同しTシャツを作ることにした。

余談になるが、私が10代前半から半ばにかけてハロープロジェクトの熱狂的なファンだった。特にメロン記念日が大好きで、当時住んでいた仙台で開催のライブにも足を運ぶほどだった。開演前に会場周辺を見渡すと、より熱心なファンがオリジナルTシャツをまとっていた記憶がある。

今回の取り組みはそれに近いものを感じていた。

併せてタオルも作ることになり、入稿から数日後に自宅へ届いた。

開封の儀の際に笑ってしまったのでここだけの話である。

そんなこんなで"ガチ勢"の感触を思い出しつつ、久米島行きへの準備は出発直前まで行われるのであった。

そして"祭り"当日。
2020年2月2日(土)、島内さんは30歳の誕生日を久米島で迎えた。
この日の天気は快晴、お祝い日和のように感じられた。

毎年恒例の誕生会は日中ゲリラ的に行われるようで、具体的な時間を把握することは難しい。それでも、番記者さんなどの会話などにより、ある程度の時間をキャッチすることが出来た。

正午過ぎだろうか、その時がやってきた。

久米島野球場の正面エリアには、報道陣・ファンが多数集まっていた。
今や遅しと"主役"の登場を待つ際には、沖縄の蒸し暑さ以上の熱気が漂っていた。

我々もTシャツを着て、タオルを首に掛け、その時を待っていた。
その場に集まっていた報道陣の方々も我々の存在に気づきだし、Tシャツやタオルに対して色々と質問された。(その様子を放送したNHK仙台放送局のニュースによれば「Tシャツを自作した熱心なファンが-」と紹介されていた。)

しばらくすると主役が現れ、最初は普通に囲み取材が始まった。
三十歳を迎えるにあたっての意気込みが聞かれるなど、"誕生会"はごく普通な流れで進められた。

しかし、普通で終わらないのが誕生会の魅力である。

囲み取材会場の脇から、鈴木大地さんと田中和基さんがバースデーケーキを持って現れたのだ。ケーキにはローソクが付いており、島内さんが火を消した後に鈴木大地さんが食べさせるなど、ほっこりムードでチームメイトからの祝福を受けていた。

この画だけでも何杯ご飯が食べられるのだろうか。
島内さんファン冥利に尽きる瞬間である。

その後、誕生会のクライマックスを迎えることになる。
同じ外野手で仲がいい田中和基さんが何やら企んだ表情で…

ケーキを…

バーンと…

ぶつけ…

島内さん「やられたー!」
してやったりの表情を見せる田中和基さん。

"誕生会"は強烈なサプライズによって幕が閉じた。

その後、練習終わりの島内さんに声をかけ、自作Tシャツ・タオルを手渡しし、久米島でのミッションはコンプリートすることが出来た。

球史に残る?島内語録

島内さんはヒットを放った際のコメントは注目の的となっている。
前述の「『4番は無理』打法」以外にも、ウィットに富んだコメントばかりで記事を読む度に「ふふっw」と噴いてしまいそうになるほどだ。

そんな"島内語録"を紹介したい。

2018年、日本中が湧いたサッカー・ロシアW杯が行われ、母校・星稜高校の先輩である本田圭佑選手へコメントを寄せた記事だ。

「ワールドカップまで飛んでいけ! 1、2の3打法です」(スポーツ報知 2018.6.20)

島内△と叫びたくなるぐらいの"無回転コメント"だと思っている。
この記事を初めて読んだ際に「その視点で来たかー!」とつい唸ってしまった。

今年はこんなエピソードもあった。
COVID-19禍によるチーム活動休止期間中での近況報告について。

 「(チームメートの)山崎幹史(つよし)選手にタイミングの取り方、逆方向への飛ばし方、2ストライク(後の)アプローチの仕方など電話を通していろいろと教えてもらいました。後輩ですが自分のバッティングの師匠なので、後輩からも吸収できることは吸収していきたいです」(サンケイスポーツ 2020.4.20)

山崎幹史さんは年が離れた後輩だが"バッティングの師匠"と称して、後輩からも貪欲に吸収する島内さん。ほかにも石川県の実家がネギ農家であることを明かしたり、嵐が好きだとアピールしたりと"ネタ満載"で、その当時は野球不足・島内不足だった我々の気持ちを大いに潤してくれた。

この他の"島内語録"は、NumberWebに先日より配信されていた記事に数多く掲載されている。是非読んでもらいたい。

大学の大先輩の前で見せたボーンヘッド。

島内さんのキャリアは2012年から始まった。前年秋に開かれたドラフト会議でイーグルスから6巡目で指名を受け、交渉の末に入団が決まった。

指名順位としてはそこまで高くはないものの、明治大学出身であることに着目し「ほーん、星野さんの秘蔵っ子か。やってくれそうだ。」と大いなる期待感をいつの間にか抱いていた。

当時監督を務めていた星野仙一さん(故人)とは明治大学出身繋がりである。イーグルスではあまり見られなかった、星野さんならではの"かわいがり"が見られそうだと、正直ワクワクしていた。

2012年のルーキーイヤー。記念すべき開幕3連戦は球団史上初の本拠地開催となった。オープン戦でのパフォーマンスが買われ、幸いにも開幕一軍でスタートを切った島内さん。

しかし、球場が騒然するほどのボーンヘッドをやらかし、星野さんを呆れさせることになる。

開幕3連戦の3戦目。試合終盤の8回ウラ、無死満塁で同点のチャンスに三塁走者でホームを狙っていた島内さん。打者・中村真人さん(現・飲食店経営)の打球はライト方向へ。十分タッチアップが出来る打球ではあったが、前のめりになって走れずに得点を得られずに終わってしまった。

このプレーを現地で見ていたが、一瞬何が起きたのか分からないほどだった。頭の中で「どうしてこうなった…。」と悶々とした気持ちを抱いていた記憶がある。

明治大学の大先輩であり、我が軍の指揮官がベンチで呆れた表情を見せた中、走塁ミスを犯してしまった島内さんはこうコメントを残した。

「(三塁手の)今江さんに隠され、打球を見ようとして足が離れてしまった」

試合後のコメントを読んでそりゃ驚いた。お、おーい!と。
今江さんに隠され…!隠され…!?
「ちょっと何言ってるか分からない」
とサンドイッチマンの富澤さんのような反応を画面の前で取ってしまった。

ネットでの論調も大いにザワついていた。
あの"なんJ"でもこのコメントがWikiに掲載されているほどだ。

ちなみに、今江さんとは当時千葉ロッテマリーンズに在籍していた今江敏晃さん。巡り巡ってのちにイーグルスでチームメイトなるのは不思議な縁なのかもしれない。

怪我にはどうか気をつけて、今季の完走を!

様々なエピソードを持つ島内さん。開幕戦から今に至っては順調そうに見受けられる。怪我・体調不良に見舞われず、今季を完走して欲しいと願うばかりだ。

COVID-19の影響により開幕が3ヶ月遅れ、過密日程を強いられるなど、前例のないイレギュラーなシーズンとなっている2020シーズン。休養が満足に取れずコンディション調整が難しくなる中どう戦っていくか、実際にプレーをする選手はかなり悩んでいるだろう。

2013年にイーグルスがリーグ優勝・日本一に輝いた際には、準レギュラーとして一軍に定着していたものの、リーグ優勝間近の試合の守備中に肩を痛め、泣く泣く戦線離脱。そのシーンを生で見ていたが「島内さんの離脱が痛すぎる…後々まで響かなければいいが…」と悲痛な思いを抱くほどだった。

2018年の前述の怪我で戦線離脱があった際には「ああ、島内さんが離脱は大きすぎる…寂しい。」と落ち込んでしまった。チーム成績が低迷する中での戦線離脱によって、選手が受けるダメージは想像を絶するものに違いない。

下位指名でも得られたチャンスを掴み、着実にキャリアを重ねている島内さん。チームにとっては欠かせない存在だけに、攻守ともに光り輝く「男前」なプレーでイーグルスの勝利に導いて欲しい。

今季はいつになったら球場でプレーを見られるのだろうか。
7月10日からは観衆を入れての試合運営が始まるけれども、しばらくはチケット争奪戦が続きそうな気がする。

それでも、本当に、本当に、待ち遠しい。
その時、その瞬間がやってくるまで、我々は待っている。

推しは推せるときに推そう。熱烈に!元気に!楽しく!
今季も頼んだぞ、男前島内さん!

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