【ライブの記憶】プロ育成ゼミ第1期〜三宅香帆と谷頭和希の文章講座 第1回「プロは書く前に何をしているのか」 2024/07/04

書評家の三宅香帆さんとライターの谷頭和希さんが主催するライティングゼミ「プロ育成ゼミ」( #プロいく )にオンライン聴講生として参加してみているので、
簡単に感想を書き残しておこうと思います。

今回は第一回のアーカイブを見たので、思ったことや考えたことを簡単に&雑多に。

第1回「プロは書く前に何をしているのか」
【講義内容】
・それぞれのジャンルの”旬”はなにか
・読者に刺さるコンセプト(切り口)とは?
・これで資料集めマスターに!
・フィールドワークの極意、インタビューの極意
・調べたものをどうやって取捨選択していくのか?
・うまい構成とはなにか

どんな感じで講義やるのかなぁと思っていたのですが、
2人の考えをまとめるのは考え方の違いもあって難しいということから、それぞれがそれぞれで資料をまとめて話すスタイルだったのは、興味深かったです。
もちろん共通点も多いなと思いましたが、意外と違うなという点もあったりで、良い意味で意見・考えがぶつかっているなと思ったシーンもあったので、面白かったです。
せっかくなので、共通点・相違点それぞれを自分なりに考えてみたいと思います。


まず共通点ですが、お二人とも、良い意味でビジネス的な視点に立脚しながら、そこから如何に逸脱するか的な話をしているなぁと個人的には感じました。
ただの感覚ですが、書き手の話をきくと、アクロバティックな話が多く、それは俺には出来んわと思うことが多い気がしたので、比較的そういう話とは違った内容だったのが印象的でした。

三宅さんは、例えば「コンセプト=何が価値なのか、をひとことで言えるもの」とおっしゃっていましたが、こういう"わかりやすさ"的な話はビジネスっぽいなぁとか思いながら聴いていました。
他にも、「目次は3つに分けよう」とか、コンサルチックな考え方だなと思いましたし、会社員の経験がここに反映されているのかな?とか思いました。
非常にビジネス的な思考をしながら、書いていることは、少なくとも現状はビジネスから比較的距離が遠いことが多いと思うので、そこが書き手としての個性なのかなと思ったりして、非常に興味深かったです。
ちなみに、全体的な主張はとてもわかりやすいなと思ったのですが、谷頭さんも一部言及していた&後述する通り、
結局は、三宅さんの個のセンス(センスという言葉がいまいちであれば、オリジナリティ)によって、差別化がなされているんだなと感じたりしました。

谷頭さんは、そもそも書いていることが比較的ビジネス寄りだということからか、そういう意味で、ビジネスっぽさを感じました。
キーワードの選び方に、特にぽさを感じましたね、印象に残る強い言葉が多かったと思います。
一方で、全体としては意外と雑多な話だった印象もあり、アンビバレンスな感覚があります。
「ドンキにはなぜペンギンがいるのか 」を読んだ時にも、その切り口と内容の面白さはわかりやすいものの、中身は文化人類学的な視点があったり、非常に雑多で興味深かった印象があるので、そういうアンビバレンスな部分に谷頭さんの個性があるのかなと思いました。


相違点としては、いかに新しい切り口を見出すかのアプローチでしょうか。
なんとなくの記憶と印象で書きますが、ざっくり分けると、三宅さんは感覚派・谷頭さんは足で稼ぐ派と感じました。
前者は、三宅さんのパートで谷頭さんが結構突っ込んで質問していたのが印象的で、三宅さんの持つこれまでの膨大な知識量が元になっているのだとは思いますが、比較的シンプルな考え方ではあるものの意外とやると難しそうな話もあり、センスが物を言うやり方だなと感じました。
一方で後者は、より資料集めの方法の話等、より具体に突っ込んで話していた印象があり、こんな風に感じました。

ここで書きたいのは、どちらが良い悪いではなく、多分一番重要なのは、自分の個性に最も適したやり方を見つけることなんだろうと思います。
「強み」や「新しい切り口」という話が多く出てきましたが、講師のお二人が書き手として活躍している理由は、もちろんこの部分にあり、
その重要な要素が、個性を活かした書き方を身につけているということなんだろうと思いました。
なんでもそうなのですが、世のベストプラクティスを参考にしながら、自分の個性に最も適したやり方を、トライ&エラーで身につけていくことの重要性、というか、やっぱりそれしかないなと感じます。


全体の感想はそんな感じなのですが、
個別の話で最も印象に残ったのは、谷頭さんの話で、
人文系・文化系であれば、作品論・作家論はみんな書きたいので飽和しているが、産業論はあまり語られないしニーズがあるので狙い目という話でした。
これで思い出したのが、経産省が出した「音楽産業の新たな時代に即したビジネスモデルの在り方に関する報告書」の件です。

これ、国の仕事ですが、やっていることはまさしく、音楽をビジネスの視点から書いたものだと思いますし、結構色々なところで読まれてそうな気配を感じています。
ただ一方で、これを出しているのは国であり、関連するコラムで言及しているのも柴那典さんぐらいであるという点は、ニーズはあるけど書き手が不足しているという状況を強く感じた話でした。(念の為書いておけば、柴さんがどうこうという話では一切なく、もっと多様な議論があった方がいいと思うけれども、そういう動きはあまりみられないという話です)
個人的に興味がある部分ではあるので、この状況やその中で自分ができることについて、もう少し考えてみようと思いました。


ちなみに、今回の課題はこれ。自分も軽く考えてみようかなと思いますが、他の参加者が書かれた内容も拝見できるのが面白いです。
プロセスが見えることこそが最も大事だと思っているタチなので、こういう設計はとても良いなと思います。
みなさんどんなこと考えているのか、それに対して講師のお二人がどのようなコメントをされるのか、覗かせてもらおうかなと思います。

【予定課題】
「あなたが書きたい文章のタイトルを3つ考えてください。ただし、その文章がどこに掲載されるのか、媒体名をそれぞれ指定し、その文章の切り口の新しさも書いてください」

(思った以上に長くなっちゃった、、、笑)

※過去記事


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#ライブの記憶 #ライブ #イベント

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