読書ログ 『ずるい仕事術』
どんな本?
ゴッドタンなど数々のヒット番組を生み出した名プロデューサーが、自身の仕事術について語った本。佐久間さんは、とにかく人を見る目が鋭いのと、それを言語化する能力が極めて高いという印象が強い。番組の面白さはもちろんだが、ラランドYoutubeの「ニシダ更生プログラム」でのコメントが非常に的確だったのを見て、「この人の考え方をもっと知りたい」と思ったことをよく覚えている。
本書もその期待度に違わぬ内容で、どれも明日から使える金言ばかり。何より、うまくいかなくても自分の仕事を楽しもうという気持ちが伝わってきて、そういうポジティブである意味お気楽なマインドが、良い仕事の原動力になっているのだと実感。
おすすめ度
★★★★★(明日から使える考え方が盛り沢山。実際に結果を出している人の言葉には説得力がある)
こんな人におすすめ
バラエティ番組が好きな人
仕事をなかなか楽しめていない人
職場での人間関係や競争に苦労している人
仕事での自己アピールに悩んでいる人
学びのメモ
楽しそうに働く
メリットが計り知れない
やりたい仕事をやるとこんなにご機嫌に働くのか、と思わせられる
この仕事がやりたかった、という周りへのアピールになる
仕事を振ってくれた上司に感謝を示せる
よくある雑務で自分なりの付加価値を出し、チャンスを掴む
雑務だと割り切らないことでチャンスが生まれる(弁当作成にこだわったことで番組でフィーチャーされた)
「まだ早い」と尻込みしたくなるようなことに突っ込む
どれだけ経験を積んでも「機は熟した」とはならないもの
ダメ元で行って失敗しても、相手の記憶に残るというメリットはある
ホウレンソウを使い倒す
報告には2つの効能があるのでマスト
上司を不安にさせたり文句を言わせないため
上司の上司に文句を言わせないため
報告さえしておけば無茶振りをされたり細かく注文をつけられることがなくなる
相談のゴールを「解決」にする
「これを解決したいから、経験を持つあなたにここを相談したい」などと言えば相手も回答しやすいし親身になってくれる
自分の愚痴に共感してもらうだけでは意味がないので、似た年次の人には相談しない
会議に「事前準備」で勝利する意識を持つ
「やるな」「面白いやつだ」と一目置かれ、決定権者に存在感を見せるべし
プロジェクトのどå真ん中に入れないときは、日々の会議こそが仕事の本番
「こいつに任せたらスムーズに進みそうだ」と思わせれば勝ち
会議後のひと手間
会議の終盤に「その日の要点」「次の会議に達成すべきこと」「次回までに自分がやっておくこと」を書き留めるようにする
会議直後のひと手間が、1週間後の自分の評価を変える
「社内初」はローリスクハイリターン
ゴッドタンでDVD販売ありきの番組制作にチャレンジし当たったので、「DVD制作といえば佐久間」と認識されるようになった
バラエティの配信ライブというマーケットも空白だったのであちこちオードリーで試して成功したので、「オンラインイベントといえば佐久間」という評判も得られた
それなりにアンテナを張っていれば誰でも気づける
仕事と他人に誠実であることが、一番のブランドづくりである
「あの人なら大丈夫」という信用と、「なにかワクワクするようなことをしてくれるだろう」という期待
メンツ地雷を踏んではいけない
人はメンツで動いている。「なめんなよ」が争いごとの9割
相手をなめたり軽んじていると思われてはいけない、というのが会社の歩き方
戦略的にメンツを立てる
大切なのは相手に勝つことではなく障壁なく仕事できる環境を手に入れること
自分の意見を通したいときは、「会社のため」と「自分の未熟さ」を伝える
自分を捨て切れない状態で「俺」を打ち出して戦うとロクなことがない
横柄な態度はコストが悪い
どんな人にも同じように接することが未来の自分を救ってくれる
仕事は縁でできている。偉そうにするメリットはない
褒め筋のトレーニングを欠かさない
褒めるには筋肉がいるので習慣にする
褒めることはコスパがかからない最高のビジネススキル
最初は「いい人に見られたい」など自分のためで全く構わないので同僚を褒めるべし
付き合いの悪いやつでOK
佐久間氏は「かわいい後輩」ではなく「頼れる若手」を目指してきた
仕事相手とはあくまで良い仕事をするために人間関係を作る
かわいげがない方が、安く使われることが減って自分の仕事に集中できる
仕事さえ誠実にこなしていれば、人間関係で勝負する必要はない
自分の得意を見つけて、ビビらずにアピる
「自分ができること」「これをやりたい」と主張しまくればチャンスを回してもらえる可能性は高まる
佐久間氏はお笑いをやりたくて何度も何度も企画書を出した。まずは「量」と「インパクト」で勝負
チャンスは天から降ってこないし、「実はこういう仕事をしたいんじゃないか」などと上司はいちいち察してくれない。逆にアピールしていれば見てくれる人がいる
★これは自分も有志団体で経験したので共感できる
現実を見つめて淡々と働く
夢を見たり思い入れが強すぎるとそのギャップに苦しむことが多い
クールに「たかが仕事」と思っている人の方が粘り強く仕事に取り組める
(これは、「限りある人生の過ごし方」と同じ考え方で共感する)
リーダーが誰より本気で楽しそうに働け
それがみんなのモチベーションを上げる
会議でリーダーが入念な準備をすれば、メンバーも「これくらい考えてくる必要があるのか」となる
「自分は大事にされている」と感じさせるのも、リーダーの大事な仕事になる。人は「自分がいなきゃ」という存在価値を感じてこそパワーを出す
叱るときは個別に、論理的に、シラフで
確実に成功させたいPJTがあれば、それに合わせてメンバーの負担をコントロールする。マジ歌選手権の前後は準備が楽な企画にしている
企画書はラブレター
テレビの場合、「視聴率を欲しがる編成局」が相手なので、「なぜ、今、この企画が視聴率を取れるのか」を説得力高く説明できないといけない
つまり、自分の言いたいことよりも読者の知りたいことを優先して入れ込む
佐久間氏は、企画書が通らない時期に社内のあらゆる企画書を読み漁って通る企画の要因を研究した(そういう動きができることに尊敬)
さらに「自分はこういう人間で、こういう情報に触れている。社会の時流はこうでこう言うものを求めている。だから他の人には作れない、この企画を私が提案します」といえば説得力が増す
企画者である自分が、誰よりもこの企画を面白いと思っている、と言うことを伝える
仕事には自分の原液を混ぜる!
仕事はマーケティングじゃない。自分が面白いと思う感覚を信じる。出ないと最後の最後に手を抜いたり、世に出すとき恥ずかしくて下を向いてしまったりする
一方で原液そのままだとニッチになりすぎるので、うまく薄める
企画作りの仕組み化
アイデア出しを仕組み化すれば、モチベーションに左右されにくくなる
佐久間氏はまず、頭に浮かんだアイデアや「こんなことが面白い」をどんなに小さくても全てスマホにメモしている
そのメモを3日に1回ペースで見直し、ふるいにかけ、残った中から3,4つを簡単な企画にしていく
企画にするとは、自分だけのアイデアを「ここが面白い」と人に伝えられる形にするということ
これを2週に1回整理し、これは面白いのではと思うものを月1回会社に出せるような企画書に練り上げて、一軍企画としてPCのフォルダに入れておく
メモ見直し、ノートを整理、企画書練り上げは、繰り返しでカレンダーに設定している
サボらずにインプットを続ける。佐久間氏はライブハウスに足を運んだり、劇団を追いかけたり、映画を見続けて知見と人脈を築いていった
インプットはアウトプットの源で、企画は引き出しの数がものをいう(昔自分も、インプットが足りないのにアウトプットしすぎてカスカスになっている感覚があるからインプットせねば、と読書マラソンを始めたが、それと同じ感覚で自信がついた)
「パッとしない失敗キャラ」のイメージがつかないようコントロールする
ずっと低空飛行のままでは、周囲はあなたを「薄くダラダラ失敗し続けているやつ」と見做してくる。そうすると良い仕事は回ってこない
期間とKPIを定め、損切りするマインドも重要になってくる
メンタル第一、仕事は第二
なににおいてもメンタル。真剣であっても深刻でいてはいけない(佐俣アンリが同じことを言っていた)
大切なのは、自分のメンタルがなにによって削られるのかを把握すること
残業?頭ごなしに怒られること?
その「無理スイッチ」は押させない。「それくらい我慢して」とも思わない
佐久間氏は「嫌なことからは逃げるが勝ち」と思ってストレスから逃げてきた
いつも楽しそうと言われるのは、「たかが仕事」と思い、仕事や関係者と程よい距離感を保ち続けているからかもしれない
給料分働けば十分プロである。「プロならば200点目指せ」ではない
期間を区切ってどの方向に努力すると決めたら、その期間はそれ一本で進む(これはマルチタスクは3つ以内、という教えと一致している)
運は愛想と誠実さによってかけられた「信用」と言う名の橋を渡ってやってくる
自分の機嫌を自分で取れる人に運と縁がやってくる(耳が痛い!!!)
感想
現状に疑問を持ち、自分なりのスタンスを持ち、それを行動して試してみる、というサイクルを回すのが上手い人だと感じた。そういう姿勢とアンテナの鋭さがヒットを生んだのだと思う。世帯視聴率全盛の時代に「尖った番組のニーズがそれを抜くのが時間の問題だ」とスタンスをとってゴッドタンを企画したのが良い例。自分は現状に疑問を持つことに留まり、「きっとこうなるはずだ」と自信を持てる仮説・スタンスにまで行き着いていないから行動にもつながらない。疑問を持つだけでは意味がないので、仮説まで立て切る癖をつけたい。
佐久間氏が感情のぶれなく、誰にも分け隔てなく接せるのは「人に全く期待せず」「なんでも面白がろうとし」「穏やかでキレにくい」という性格が大きかった。自分はよく寝業ができないとか真面目だからとか言われるが、そういう性格はなんでも間に受けることに繋がりすぐに感情に作用するように思える。例えば自分の優秀な先輩なんかはなんでも面白がろうとしているように見える。全部変えることはできなくても、30代を本格的に迎えるにあったって意識したいと思った。
佐久間氏は、①できないときにヒントを得るために行動する力と、②「どうすれば改善するか」と構造化して考えて打ち手を実行する力が強いと感じる。企画書が通らないなら通る企画書を読み漁って原因を見つけに行ったのはまさに①で、それをもとに「そうか、通す人はこういう所を見ているのに自分はやりたいことを自分目線で書いてしまっていたのだ」などと分析して改善策を立てられているのが②。自分はどちらかというと②は得意だが、①の行動量が足りていないと感じた。なりふり構わずヒントを見つけに行くのはどの成功者もやっている印象があり、ここに真剣になれない限りは成果は出せないなと危機感を持った
自分をすり減らさないことに神経を使っているんだなと思った。自分もちょうど「プロマネをもれなく楽しくやっていくために、メンタルを維持することに注力する」という目標を立てたばかりだったので、同じ考えで自信が持てた。最近「自分の限界を意識する」ということをやり始めたので、「しっかりリフレッシュする」「大変なときは逃げる」と言うことの大切さがわかってきた。自分のツボを押さえてコントロールし、「自分の機嫌を自分で取る」ことこそが、仕事も人生も楽しむコツなのだと思う。
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