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2022/4/4週|スタートアップにおけるCMOの役割とはなんだろう

この記事について

株式会社タイミーで執行役員CMOを務めている中川が、マーケティング関連の仕事をしている中で感じたことを綴り、コツコツと学びを積み重ねる『CMO ESSAY』というマガジンの記事の一つです。お時間あるときにご覧いただければ幸いです。オードリーのオールナイトニッポン 📻 で毎週フリートークしているのをリスペクトしている節があり、、自分も週次更新をしています。

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表題の件:CMOの役割とは?

もとより自社のマーケティングの責任者という認識で働いていましたが、タイトルとしてCMO(Chief Marketing Officer:日本語で言うと「最高マーケティング責任者」と訳されることが多い)を名乗るようになってからそろそろ半年弱経ちます。

この間、「スタートアップにおけるCMOの役割とは?」がずっと頭の中に引っかかっており、悩みまではいかないのですがモヤモヤする部分がありました。

CMOの役割とはなんでしょうか?
経営者と一心同体となり売上(トップライン)を担うことでしょうか?自社ブランドのブランディングや顧客への働きかけの戦略・戦術立案をすることでしょうか?大規模なプロモーションに関わることでしょうか?

どれも求められる一面と思いつつ、
・スタートアップであること
・自社特有の事情があること
により、まだはっきりと言語化できていません。

あとの論文等にも出てきますが、日本においてはCMO職というのは数が少なく、スタートアップの場合だとさらにケースは多くないのではないかと思っています。

ですので、どこかに答えが落ちているというよりも、自分なりの定義を見つけていく旅が始まった感覚です。自分を実験台にしつつ笑、このroleに期待されることを言語化していきたいと思っています。
(ちなみに誰も関心ないかもしれませんが笑、自分はCMOという役割を最終ゴールとしているわけではないので、あくまで役割に対してのパフォーマンスを出す上で、理解を深めたい。座学や実践を通じて学ばないといけないことも含め、言語化したいということです。)

そもそもで言うと、スタートするときにあるべき姿を描ききれなかったこと、それ自体にだいぶ反省はあるのですが苦笑、It's never too late, 今からでもとっかかりとなる記事を書きます。1回で結論が出ると言うよりは、ぐつぐつ煮てみて、徐々に固めていけたらなと。

参考資料

参考記事も日本語・英語いくつかあるので貼っておきます。

CMOとは?その役割とCEOやCFOとの違いや、日本でなかなか定着しない理由について
CMOとは?役職の意味から求められる役割まで詳しく解説
CMO(チーフマーケティングオフィサー)とはどんな役職なの?役割・仕事内容・スキルを紹介
CMOとは?役割と必要な資質、マーケターへのアドバイス
What Are the Responsibilities of a CMO?
The 5 roles of the CMO
DEFINITION|CMO (chief marketing officer)
What Is a Chief Marketing Officer? A Look at the Role of a CMO

定量分析とインタビューからの示唆

とっかかりとして、ある程度調査をもとに抽象化されているフレームと、実務家へのインタビューを含めて役割を定義していた「日本企業のCMOの存在と競争力」という論文を参考にしてみます。
ここには欧米におけるCMOの役割と、日本におけるインタビュー対象者が担っている役割が載っていました。
下の図表3がまさにそうなので引用させていただきます。

「日本企業のCMOの存在と競争力」より

こちらを拝見しての自分の感想としては、「マーケティング」という言葉の定義と通ずるものがあると思うのですが、

・広い…
・個体差が大きい

が率直なところです。
欧米のCMOとの比較だとすると、企業のフェーズや事業(プロダクトラインナップ)の数、展開エリアの違い、に加え、もちろんカルチャーの違いなども重なり、自分個人としては参照できる部分が必ずしも多くないかもしれません。
(今は求められてさえいない役割もありそう。)

また、特に英語の記事ではよく出てくる「売上(成長)をドライブすること」については特に言及されていないように見えました。
この辺は個人的にはMustな役割だと思っています。
ただし、Deloitteの The 5 roles of the CMO の中には、その成長をドライブすることについての「理想と現実のギャップ」が語られています。

成長の原動力
CMOの役割を分類した当初は、収益性の高い成長を実現し、管理することが重要な役割の一つであると考えられていました。その後、成長ドライバーとしてのCMOの立ち位置について議論した結果、理想と現実の間に大きなギャップがあることが明らかになりました。例えば、CMOの役割の内外で様々なCSUITEのエグゼクティブにインタビューしたところ、インタビューに応じた人の半数が、企業全体を見据えた考え方を持つことがCMOの成功の最も重要な要因の1つであると回答しています。しかし、グローバルな事業活動全体で収益の拡大に積極的に取り組んでいるとするCMOは、わずか6%に過ぎません。
別のレポートでも、CMOが成長ドライバーの役割を担うことに不快感を抱いていることが明らかにされています。デロイトの2018年CMO調査の回答者は、ほぼ全員(95パーセント)が、組織における成長の最大の指標は収益であると回答し、70パーセントが収益による成長促進に最も自信があると感じています。しかし、市場シェアに影響を与える準備ができていると感じているのは32パーセント、粗利益率を推進する準備ができていると感じているのは20パーセントに過ぎず、いずれもビジネスにおいて成長の重要な領域と考えられているにもかかわらず、です。

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Growth driver
When we initially classified CMO roles, one of the crucial areas of focus involved the responsibility to create and manage profitable growth. Subsequent conversations around the standing of the CMO as a growth driver have revealed big gaps between the ideal state and reality. For instance, in interviews with a variety of C-suite executives, both within and outside the CMO role, half of the interviewees say having an enterprise-wide mindset was one of the most important factors in a CMO’s success. Yet only six percent of CMOs describe themselves as actively working on growing revenue across all global business activities.

A separate report similarly reveals some of the discomfort CMOs express in assuming the role of growth driver. Respondents in Deloitte’s 2018 CMO survey nearly unanimously (95 percent) say revenue is the top measure of growth in the organization, while 70 percent feel most confident driving growth through revenue. But only 32 percent feel prepared to impact market share, and just 20 percent feel prepared to drive gross margin, even though both of these are considered critical areas of growth by the business.

The 5 roles of the CMO

この辺りはなぜこういうことが起きるのか、、直感的にはわかる部分もあるのですが、まだ綺麗に言葉にできないので今は飛ばします。

さて、、上の「図表3」の話を見ると、対象者(A~F社)の中でも担っている役割のばらつき(個体差)が大きいです。

広いフィールドの中で。
揺らぎ・曖昧さの中で。

このように、参照となるフレームはあるものの、やはりその場所ならではの定義を作っていく必要があると感じます。

先週の自分の仕事を棚卸しして時間の使い方を分析してみると…?

ここで、先週やった仕事を書き出し、時間の使い方を公開してみます。(もちろん具体は難しいのでふんわり丸めている部分もあります)

まず、時間の構成比を表にしたのが下記です。カテゴリごとに使った時間の割合も算出しています。

なお、それぞれの関与の仕方として、①ファシリテーター:状況を整理したり、会議を進行する役割   ②プレイヤー:自分がアウトプットする役割 ③マネージャー:アウトプットしてくれたものに対して決める役割 があると思われますが、上記において、それぞれどの役割で関与しているかはバラバラです。

読み取れることとしては下記でしょうか。

一番時間を使っているのは「採用活動・組織運営」
・続いて中長期的な戦術の立案に関して -> 短期の戦術の立案・チューニング・モニタリングの順
・先週は緊急で対応しないといけないことがあったため、それにより平日の1日分くらいを使っていることがわかる
・報告系のタスクは最小化されている

短期と中長期に関して、
過去・現在・未来を行き来する(脳内タイムトラベル)は、それぞれ相応の時間を要することから、正直難しさを感じる部分でもあるのですが、スタートアップだとリソース観点から避けられないのかなと思います。

ここで、先ほどの「図表3」も参照しつつ、今の自分がやっていることを羅列すると下記のような感じでしょうか。

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【暫定版】CMOの役割

  • 「経営戦略とマーケティング活動との整合」に関する決定〜実行

    • ここには上述の短期と中長期の動きを含む

  • 「組織横断連携の促進、調整、介入」(ハブっぽい動き)

  • 「マーケティング・プロセスの標準化」

  • 「マーケティング組織再定義・役割の徹底」

  • 組織運用・採用活動

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整理して感じたこと

こうして図表3のようなフレームを参照したり、自分の時間の使い方を整理してみる中でいくつか感じたことがありました。

・会社全体として落ちているところはないのかという視点が最も大事
-> これは短期の話も、中長期の話もですが、自分は結構自身で手を動かして仕事をする・アウトプットをするのが好きなタイプなので、どうしても自分でやりたいと思う気持ちが強くなりがちだったのですが、上のような広い領域を対象にしようとすると、潤沢な人員数がいないと中々難しいのは改めて感じます。
そんな時に自分たちが回っていない部分の仕事(世の中的にはマーケティング部門でやるであろう仕事)をどなたかが担ってくださっている状況が作られていると、それはありがたい状況だなと思いました。
どこが担当するかよりも大事なのは、可視化して埋まっていないところを埋めるムーブをできるように俯瞰の視点を持つことかなと認識しました。(図表3のようなものを参考にしたり、役割期待をすりあわせることによって)

・人の得意を明確にしておくと良い
-> 上記のように全社として落ちていることがないことを担保しつつ各PJにアサインしていくにあたり、その人の得意を理解しておけると、ワークの度合いが圧倒的に変わってきます。それを明らかにするのには時間を使うのは効いてくると思います。

おわりに

CMOと言っても、色々なタイプの人がいると思います。
自分は自分で得意な領域があると思っているので、
・得意 × その場所で求められる役割の最大化
・自分は時間が足りない or 得意じゃないけど、全社で見るとカバーされている状態かの確認(されてない場合はカバーする動きをするようにする)
・時と共に変わりゆく役割期待にあわせた調整

この辺りを意識して業務に取り組んでいこうと思います。

ではでは、今週はこの辺で。
お読みいただきありがとうございました🙇‍♂️

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