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2年で指名検索量が約10倍になったタイミーのマーケティング組織における活動・仕組みの解説

こんにちは、株式会社タイミーでマーケティング領域と一部のセールス領域の責任者をしております中川と申します。(こつこつXを更新していますのでひとつよしなに。。)
この記事は「B2Bマーケティング Advent Calendar 2023」の記事の一つとして公開しております。

21日目は、石渡貴大@マインディアさんの
PMF前のプロダクトローンチ直後に広告費ゼロでグローバルの超大企業からお問い合わせいただいて受注した話
でした。Xのハッシュタグ「#B2Bマーケアドベント」もご覧ください!


自分の方からは、結果として自社の指名検索量が10倍となったマーケティング活動やその考え方の解説・紹介をテーマに記載してみたいと思います。


タイミーはTwo-Sided Platformのサービスです

本題に入る前に、タイミーというサービスの特徴について補足します。

  • タイミーは、「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングすることで、時間や場所に制約されない自由な働き方を提供するスキマバイトサービスです。

  • 働き手は、働きたい案件に申し込むだけで、履歴書や面接無しですぐに働くことができ、勤務終了後すぐにお金を受け取れます。

  • 事業者は、求めるスキルや、来てほしい時間を最短1時間から設定するだけで、条件にあった働き手と、システムを介して自動的にマッチングします。

ここからお伝えしたいのは、「働き手」と「事業者」という2つのプレイヤーが存在するプラットフォーム(Two-Sided Platform)というモデルであることです。

Two-Sided Platforms(両面プラットフォーム)とは、とある仲介者やプラットフォームを介して、2種類のプレイヤーがマッチングし、お互い何らかの利益を得る市場を指します。
Uber、Airbnb、Spotify、配車サービスなどもそうですし、よく考えるとクレジットカード、ゲーム機、携帯電話などもそれに該当します。

https://note.com/sho1nakagawa/n/n9e78a57186df より

Two-Sided Platformの詳細や成長戦略については下記記事も参照ください。

Two-Sided Platformにおいてマーケティング機能に求められるものと直近の成果


Two-Sided Platformのサービスにおいてマーケティング組織に求められることの一つは、「需給のバランシングへの貢献」と考えています。

働き手と事業者のバランスを可能な限り保ちながら成長していくことが求められるため、マーケティング領域でいうとB2CとB2Bの両面がありますが、その課題感はある時はCだったり、ある時はBだったりと、移ろいゆくのが特徴的です。

タイミーはおかげさまでここ2年間で指名検索量が約10倍になったり、登録者数も600万人を突破し、以前よりも多くの方にご利用いただけるサービスとなって参りました。(誠にありがとうございます🙇‍♂️)

Googleトレンドより:2019年の初のTVCMで検索量が大きく伸び、その後コロナ禍もありプロモーションを抑止気味でした。2022年以降、マスプロモーションも行いながら検索いただく機会が増えていっています。


ここに至るまでには、もちろん全社の外部との接点による各取り組みの貢献があったと思うのですが、広告宣伝活動の寄与も一定あるだろうということで、この記事ではそれに貢献したと思われるマーケティング組織の考え方(仕組み)について紹介・解説していきます。B2Bマーケティング Advent Calendar ではありますが、toB/toCいずれにも転用は可能という前提で記載します。

なお、上記のような成果は自分個人というよりは、タイミーのマーケティング活動に携わる社内外のプロフェッショナル各位が生み出したものである点を感謝と共にお伝えしておければと思います。

マーケティング組織の活動や考え方

まず、検索量や働き手の登録者数に影響を与えていると思われる施策については、オーソドックスな手法であるデジタル広告とTVCMが中心で、それら以外に特別な手法を用いているかというとそんなことはありません。

上記を前提に、それらの効果を研ぎ澄ますような仕組みについて解説を試みます。

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🧞‍♂️仕組み1. コミュニケーションのPMFはプロセス的であることを前提に、PMM × マーケターで精度の高いWHO / WHATをつくる

ある意味当たり前なのですが、PMF(プロダクトマーケットフィット)はコミュニケーション領域も含まれており、かつプロセスの中でアップデートがされていくべき領域と思っています。具体的に、タイミーの提供しているサービス(スキマバイト)は、その概念自体がまだ馴染みのない方も多いため、その価値がどうユーザーの皆様に受け入れられているかは、言語化の試みを重ねながらコミュニケーションを設計する必要があります。
ユーザーの皆さんの話を聞く中で、「xxという価値を感じてもらえているんだ」という自分たちだけでは見えない価値に気付かされることがあります。

特にTVCMのクリエイティブはより不可逆性が高く、一度撮影をするとすぐに撮り直すことは様々なコスト面から現実味が薄くなります。
したがって、いかに人を動かす確度の高いCMクリエイティブを作り出すか、というところが重要な論点になるのですが、タイミーの場合はそこをPMM(プロダクトマーケター)職とマーケティングコミュニケーション職が連携をしながら担保をしています。

具体的には、実際に顧客や顧客の候補と対話をしながら、WHO(誰に) / WHAT(何を)の仮説を何度も練り直し、検証し、精度を高めていっています。

HOW(例えばCM表現)の部分に関してはプロである外部のパートナーの皆様にお任せをしていますが、WHO/WHATに関しては必ず社内でオーナーシップをもって設定をし、こだわるようにしています。

一度つくると新たな課題や残論点がクリアになるため、次はそれらを踏まえてどうするのか?という話が早い時にはCM放映中から始まっています。
各所に多大なるご協力をいただきながらではありますが、そうしたサイクルを回しながら、toB向けもtoC向けも短いサイクルでクリエイティブを変えて行っています。

その結果として、認知KPI / 行動KPI など数値面のインパクト含めて改善が進み、マーケティングの機能による事業貢献も一定成せている状態を実現できていると見ていますし、上記で触れた「検索行動」という人が動いた結果にも繋がっているのではないかと考えています。

参考までに、直近放映しているものは例えば下記です。


ちなみに、プロダクトマーケティングの機能については各社定義が異なると思うのですが、タイミーでの役割については下記の記事もご参考ください。


🧞‍♂️仕組み2. マーケティングのプロセス改善への投資(MOps)

最近取り組みを強化しているのがMarketing Operations(MOps)と言われる領域です。
具体的には「マーケティング活動そのものを円滑に進められるような構造を準備・調整すること全般」を担う機能のことを指し、マーケティングやプロモーションの具体やPDCA活動というよりも、構造に目を向ける存在です。

MOpsチーム(Marketing Operationsチーム)は、マーケティング活動の効率性と効果性を最大化することを目的とした専門チームです。MOpsチームは、データ、テクノロジー、プロセスの最適化を通じて、組織全体のマーケティングパフォーマンスを向上させる役割を担います。

Marketing Operation(MOps)の役割・構築手順についてのmemo より

やや抽象度の高い領域ではあるのですが、実際の例でいうと、とある施策の効果の可視化(一般的には可視化しづらいもの)を計測・可視化する方法を整え、その単体の価値を明らかにしたことなどが実績に該当します。
これによって従来価値が見えづらく、投資判断がしにくいものへの積極的な投資が可能となり、結果として事業へ貢献するマーケティング施策への取り組みを強化することができました。
投資に対する説明責任を果たす上で、それを果たせるようにする構造を整える活動には非常に価値があると思っています。

🧞‍♂️仕組み3.  流動性を持たせた組織づくり

これはTwo-sided platformならではのところもあるのですが、ユーザー側と事業者側のバランシングをする上で、事業上の課題が行ったり来たりすることがあります。そのため、柔軟性を是とし、業務内容が過度に固定化するような組織化は行わないようにしており、それが今のところは良いように作用しているように感じます。社内のマーケティング職各位も事業の課題に応じてミッションをtoC側に寄せたり、あるいは逆にtoB側に寄せたりすることができるためです。
やはり、力は結集したほうが結果は出やすいです。

ちなみに、タイミーではマーケティング組織は3つのみに分かれており、
・プロダクトマーケティング
・ワーカーマーケティング
・クライアントマーケティング
というくくりです。
ワーカーマーケティングとクライアントマーケティングに属する方はどちらに属していようと時に属していない方のミッションも持つこともあります。

他に組織体の作り方としては、領域/機能分解で箱をつくる方法(例えばオンラインマーケティング/ オフラインマーケティングなど)もあると思いますが、そうしてしまうと時間やミッションの流動性が失われがちと判断し、上記のような形にしています。
名付けや分類の効果は人が思っている以上にアイデンティティに組み込まれがちです。

🧞‍♂️仕組み4. 得意が異なる "異能" で組織を構成する

元々の得意や専門性、経験が異なっている方がマーケティング組織としての表面積の広がりが担保でき、組織全体として価値を提供できる量が増すと考えています。(マーケティング、に包括される領域が広範に及んでいることが背景にあります)
かつ、そうした状態の方が、それぞれの経験を活かしてアウフヘーベンすることができると考えています。

例えば業界だったり、経験してきているマーケティングの考え方だったり、事業会社/支援会社だったり、年数だったり、、が諸々異なることで、足りない部分は相互に頼りつつ、議論を交わし、新しい価値を生み出すことに挑戦をしています。

なおここで言う “異能” というのは専門性(スキル)以外の7つのスキルもそうですし、そもそも持っている性格等も含みます。

反対に共通項として持っていてほしい/体現してほしいものがバリュー:行動規範であるという考えで、これにより組織としての一体感・一貫性が維持されると思います。

組織づくりの方針については下記記事もご覧ください🙇‍♂️


以上、指名検索量の増加に多少寄与したであろうマーケティングの仕組みについて、思うところを記載させていただきました。まだまだ発展途上で内部的には課題や改善点も多いのですが、また1年後に何かしら自分なりの考えを文章にまとめられるよう、引き続き同僚たちと試行錯誤していきたいと思います。

お読みいただいた方ありがとうございました🙇‍♂️
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📓この記事について

株式会社タイミーで執行役員CMOを務めている中川が、マーケティング関連の仕事をしている中で感じたことを綴り、コツコツと学びを積み重ねる『CMO ESSAY』というマガジンの記事の一つです。お時間あるときにご覧いただければ幸いです。オードリーのオールナイトニッポン 📻 で毎週フリートークしているのをリスペクトしている節があり、自分も週次更新をしています。
タイミーは、すぐに働けてすぐにお金がもらえるスキマバイトアプリです。

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