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9月のチューリヒで感じた秋感

9月の最初の週はチューリヒにいた。正確にはZurichから少しはなれたOerlikonという駅で、金曜日の夜に時間が空いたから、SBBでZurichに出て夕食をとることにした。といっても一人なので、レストランで食事をとる気にもなれずにラーメン屋に入る。
僕はラーメンが食べたかったわけではない。出張中はどこに滞在してもそうだが、基本的にホテルから外出はしない。旅行が得意ではなく、観光は苦手である。でもホテルから出ると大なり小なりの発見があることはわかっている。だから外出するための口実としてラーメンを食べに行くことにしたのである。

ラーメンはおいしかったが、この文章はラーメンについてではない。Zurichの9月について書こうと思う。もっと言えばZurichの9月に感じた秋の気配について書こうと思う。
この日の数日前くらいから欧州は気温が下がって、日中でも20度ちょいとかで、街を歩いている多くの人は薄手のダウンやコートを着ていた。そうとは知らずに30度超えのアトランタからのこのこ出てきた僕は、ショートパンツと機内で着ていたロングTシャツをいう格好で、アホみたいだった。欧州に出張に行くといつも感じるのだが、欧州の人はみんなおしゃれだ。欧州からアトランタに帰ってくると、人々の服装のいいかげんさにホッとする。

秋の気配は肌寒さを感じることの体感的なものだけではなくて、空気の匂いとか、街の明かりとか、樹々の葉のゆらめきとか、街行く人の歩くスピードとか、そういった都市を構成する諸々の要素が秋感を演出しはじめていたと、いう感覚に近い。

この秋感は、僕は日本でしか感じることができないと思っていたのだけど、案外あっさりとZurichで感じてしまったので、少々戸惑っている。

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