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音と読む短編小説 World End Serenade /フラチナリズム 『4431』より

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「ねぇ、5日後に世界が終わるって言われたら何して過ごす?」

無人島にひとつ持っていくなら何にする?と同じレベルの問いを彼女が唐突に投げかけてきた。

「とりあえずめちゃくちゃ美味いもん食うでしょ?
で、やっぱりお前とは一緒に過ごしたいよな?…」

模範解答みたいな会話でやり過ごす。

いま抱えてるあの案件も、将来への漠然とした不安も
世界の終わりと共に吹っ飛んじまえばいいのにな。
心の片隅で呟いた。

あの日から、俺の世界は終わったも同然だった。

あの日、俺を育ててくれたライブハウスが閉店した。
アリーナも武道館も、ドームだって目指す場所を全て叶えてあのライブハウスには必ず帰ってくる、
そう当たり前のように思っていた。
当たり前なんか 無かったんだ。
今更 悲しんでも仕方ない、俺が全て解決して助けてやれる訳でもない。
わかっているけど、帰る家が無くなってしまったようなこの感情だけは拭いされなかった。

初めて歌を褒めて貰えた日。
初めてギターを手にした日。
初めて人前でその歌を披露した日。
全部、俺の全部がその感情と共に唐突に押し寄せた。

じゃあ何でこんなに僕は怖いの
じゃあ何でこんなに君が愛おしいの
好きな物 好きな人 思い出も
ひとつも失いたくない
世界よ まだ 終わんな

「ねぇ、5日後に世界が終わるって言われたら何して過ごす?」

……なぁ、さっきの答え、言い直してさしてくれん?

「俺 歌ってるわ、世界が終わっても。」

まだ 世界よ終わってくれるなよ
悲しみも苦しさも含め
幸せまでの糧ってことにしとくから
はい あと世界はいつか終わるから
そんなつもりで今日も生きてる

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2020年10月7日にリリースされた
フラチナリズム『4431』
まるで短編小説のような楽曲たちを短編小説にしてみました。

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