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フルリモートの地方スタートアップが生まれたわけ

こんにちは、oVice CEOのジョンです。

今回のnoteでは、あらためて私がどのような経緯でリモートワークを始めたのか、どのような課題を感じてバーチャルオフィスを開発し、なぜ「地方スタートアップ」という選択肢をとったのかについて紹介します。


コロナ前は完全に「リアル派」だった

実は私は物理的なオフィスが好きで、起業した際は良いオフィスを借りて、朝から晩までそこで過ごしていました。リアルなオフィスでは、周りから色々な声が聞こえてきて、どんな人がどう働いているかが分かりましたし、「一緒に働いている」という感覚がきちんと持てていたのだと思います。そうした意味で、この頃は完全にリアル派でした(笑)
リモートワークは出張の際にする程度で、ビデオ会議もほとんどしないタイプ。できる限り訪問をして対面で話をすることが多かったです。

パンデミックで強制的にリモートワークに

そんなリアル重視だった私が、2020年初めにチュニジアに出張していたところ、新型コロナウイルスの感染拡大でロックダウンにあい、リモートワークで働くという以外の選択肢が持てない状況となってしまいました。そこで初めて、さまざまなツールを試しながら本格的にリモートワークをすることになりました。

チュニジアでのロックダウン中

Slackはあくまでも「補完的」に使うのがちょうど良い

ロックダウンで強制的にリモートワークになる前から、仕事はSlackを使っていました。オフィスに出社しながら利用していた時は、実際にメンバーの存在を感じて一体感をもって仕事しながら、細かい部分はSlackを活用して補完していくということができていました。しかしリモートワークだと、Slackを通じてやりとりをして細々とつながることはできるものの、「一緒にいる」ことがない分互いの距離が離れ、結束力は弱まってしまっているような感覚を覚えました。

「つながり」を求めてDiscordを試す

当時のSlackの通話機能は通信が重くて不安定で、今現在実装されている「ハドル」ほどスムーズではありませんでした。他のツールも重かったことから、軽さを求めてDiscordを試しました。業務時間中はつなぎっぱなしにしてみましたが、いつでも声かけできる反面、声をかけた際に他の人にも声が届いてしまい迷惑になる、つながっている感覚こそあるものの、結局ミュートにしっぱなしの状態で、声をかける際にはDMを送って別の部屋に移動する必要があるなど、やはりリアルなオフィスのようなやり取りを実現することはできませんでした。

リモートワークでも、さまざまな方法で「つながり」を持とうと試してみましたが、どれもしっくり来ないと感じました。理由を改めて考えてみたところ、ただ単につながっているというだけでなく、つながりにもメリハリが必要なのだと気づきました。
リアルなオフィスにおいては、業務で関連している人同士が近くの座席に座ったり、プロジェクトごとに着席する位置を変えたりしていると思います。そうしたメリハリをつけてつながれる「空間」があることが、オフィスの本質なのだと実感しました。

「空間」を活用した言語・非言語コミュニケーションを行うため、バーチャルオフィスを開発

オフィスという「空間」の価値を認識し、それを活用した言語・非言語コミュニケーションができる場を作りたいと考え、オフィスとして活用できるバーチャル空間の開発を行いました。オンラインでのやり取りでありながら、「空間」の価値を意識して開発したため、実際に話していなくても「アバターで一緒にいる」「相手の雰囲気を感じる」という非言語のコミュニケーションも可能になりました。

今振り返ってみると、空間には「自己開示」の役割があると感じています。バーチャルオフィス上でのアバターの動きやその人の存在感といった非言語コミュニケーションによって、互いの状況を理解しやすくなり、時には一部のチームメンバーが集まって会話しつつ、他のメンバーはもくもくと作業するなど、同じチーム内でもコミュニケーションにメリハリがつくようになりました。
ウェブ会議ツールでは効率が悪いと削られがちな、人の動きを可視化したり、リアルなコミュニケーションでは普通に聞こえてくる相槌などの音を削除しないことで、より居心地のいい空間を作り出すことができました。

当初oviceは私自身が起業した会社内のみで使用する予定でした。ただ、プロトタイプを作って実際使ってみると、リアルな空間に集まることができないコロナ禍においては、「オンライン上でもリアル空間のような環境を再現して提供していくこと」が求められているのではないかと考え、サービス化することを決めました。

「東京一極集中」を自ら脱し、地方でも会社や事業が成り立つことを証明してみたい

また、ニューノーマルにおいてはよりフレキシブルな働き方が求められるのではないかと感じるようにもなりました。そのため、「東京一極集中」を自ら脱して、東京を離れても会社や事業が成り立つということを証明して行きたいと考えました。個人的には、「東京一極集中」はフレキシブルな働き方と真逆のものであると考えています。「東京一極集中」により、仕事のために子育てやプライベートをあきらめざるを得ないなどの社会問題が発生していると感じるからです。
地方に本社を置きながらも、oviceを活用することで自社でフレキシブルな働き方を実践し、そのなかでもきちんと事業を成長させるということを証明してみたいと考え、石川県七尾市に本社を移転することを決意しました。
これが、フルリモートかつ地方スタートアップ企業としてのoViceの始まりです。

今ではoViceも日本や韓国、オーストラリアなど様々な国からメンバーが100人ほど集まる組織となり、毎日バーチャルオフィス上で勤務しています。リアルが大好きだった私ですら、もうリアルなオフィスには戻れないなと思っているくらいかなり快適な環境にすることができています(笑)


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