夢なんて言葉じゃ語れないくらいの
「物書きはかすみを食べて生きているわけではない」
最近触れた、柳美里さんの言葉だ。
血を吐く勢いで頷いてしまった。
私は文章が好きだから書く。
書くことは呼吸だから書く。
でも呼吸はできても、ごはんを食べなければ死んでしまう。家賃も年金も払わないといけない。
休職していた期間、お給料が出なくて、ものすごくこわかった。
私を経済的に支えてくれるのは会社で、会社を失ったら野垂れ死ぬしかなくて、携帯を解約されたらnoteに接続することもできなくなって、預金が尽きれば原稿用紙とペンを買うこともできなくなって、
と、考えただけで死にそうだった。
ある編集者さんから本をつくるお話をいただいた時、とてもじゃないけれどお金を用意できなくて、断ってしまったことがある。悔しかった。それを、夢を諦める言い訳だと言われたことが悔しくて仕方なかった。
夢?夢ってなんだ。いつからか、小説家になりたい=夢と思わなくなった。
私が生きているのは、紛れもなく現実だからだ。
目を開いて生きているからだ。
そして私はとっくの昔から、小説家だったと気づいたからだ。小説家で「在りたい」というのが、今の「大切にしたい思い」だと気づいたからだ。
そのためには生きていく必要がある。
生きていくためにはお金がいる。
まだ私はペン一本で生きてはいけない。
だから会社に行く。仕事をする。
文章を書く。書き続ける。
文章が私を色んな人に出会わせてくれた。
色んな場所に連れ出してくれた。
ありがとうと思う。
あなたのことが好きだよと思う。
あなたのことが好きな私のことを少し好きになる。
かなしいことも
つらいことも
うれしいことも
言葉は純度が高いうちに。
そうして書いて、書いて、書いていたら、
大切なひとたちに届くだろうか。
誰かの救いになれるだろうか。
暗い部屋で泣いている私を救えるだろうか。
生きていくために働く、
生きていくために書く、
そのふたつがゆるやかに重なっていけばいいなと思う。重ねていきたいと思う。
ペンひとつ持って、ゆるやかに漂流しながら、
帰りたい場所に帰って、
美味しいごはんを食べて、
好きなことを好きなだけ語り合って、
思いをそっと紡いで、
届けたいひとに届けられるような
そんな人生を送りたいと思う。
止まない雨はないと信じられない夜は
せめて傘をさして歩いていたいです。
草々
眠れない夜のための詩を、そっとつくります。