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ベーコンをバターで炒める日

今日は、「ベーコンをバターで炒める日」と決めていた。

体調が悪いと何も出来なくて、何も出来ないことに落ち込んでしまうから。せめてひとつ、したいことを決めようと思って。

昨晩は一人暮らしの部屋に帰ってきて、そのまま床で寝落ちしてしまった。煌々と電気が灯る部屋で起きた瞬間挫けそうになったけれど、いやまだ朝だ、これからだと思い直してシャワーを浴びた。

久しぶりに近所のスーパーへ行き、ベーコンと野菜とパンを買った。村上春樹の小説みたいな買い物、と思ったけれどそうでもないか。今度はウイスキーとクラッカーを買いに行きます。

家に帰り、バターを買い忘れたことに気づいた。あちゃーと思ったけれど、バター入のマーガリンがあったから許した。そうだよ、完璧じゃなくたっていいんだよ。

野菜がくたくたになるまで炒める。自炊なんて久しぶりにした。ストレスでうまく食事を摂れなくなる私にとって、自炊はとてもハードルが高いことだけれど、元々料理は好きだった。小学生の頃、よく夕ご飯を作っていたことを思い出す。

出来上がった野菜スープとパンをグラタン皿に入れ、チーズをかけてオーブンに入れる。その間、友達からもらった木のスプーンを用意して、キャンドルに火を灯した。ワイングラスにレモン炭酸を注いで、オーブンが鳴るのを待った。

結局、「ベーコンをバターで炒める日」ではなく「パングラタンもどきを作って夕方からキャンドルを灯す日」になった。でも悪くない。

やることも悩み事も考え事も、休むことなく訪れるけれど、ひとつずつ、ひとつずつだ。
出来なかったことより、出来たことを数えるんだよ。

もう少し元気になったら、もっとチーズをたっぷり入れて、赤ワインなんか飲んじゃったりしたいな。

休職している間に、もう夏が終わりそうです。


眠れない夜のための詩を、そっとつくります。