大阪・新曙温泉さん(生野区の銭湯)
シン・あけぼの。これは銭湯の屋号です。たてものは西を向いているのに「あけぼの」なのです。
(2008文字)
新曙温泉さん
食堂・飲み屋がある一本道。
ここは参道か街道なのでは。むかしのにぎわい、旅ゆけば銭湯の湯けむりが。
もより駅は……
●JR大阪環状線・桃谷駅
徒歩約15分
いつもは、明るいうちに銭湯へ行くのです。暗いと道がわからない。むかしからの住宅街は碁盤の目でもなく。まよって断念した銭湯もありました……。
銭湯ちかくの道しるべ
新曙温泉さんは、どこ?
このへんのはず、道に迷う三叉路。
石碑かな?
「道しるべ」のようです。
かなりふるい石、暗くて読みづらいです。道しるべがあるということは、やはり参道か街道。のちほど書きます。
ぽっかり明るいたてものが見えます。新曙温泉さんにつきました。
ラドンマイナスイオン発生装置
暖簾をくぐると、ガラスケースにシカクいガンメタル。昭和のポチっとなボタンに、後ずさり。なにかの治療院と間違えた? それくらいクラシカルなキカイが鎮座しています。
そうです、ラドン温泉・ラジウム湯など。人工的なマイナスイオンの湯。大阪には何軒かあります。
こんな機器も、どこかの銭湯でみたことがあったはずなのに。
過去に入ったラドン湯は、すこし熱かった。お肌が真っ赤っかになり、あまり長くお湯につかっていられない。
短期決戦みたいな入浴。湯上がりはカラダがポッカポカ持続。
しばらくは、冷えなかったのをおぼえています。
ぬるめの寝風呂
たくさんの湯船がある浴室。
ごろんと寝っころがり、ブクブクがでてる寝風呂は、ぬるめでリラックス。よかった。頭には「水枕」という冷えた棒状のまくらがあるのです。銀色のストレッチポールみたいな。キンと後頭部に冷たい刺激、気持ちいい。
やっぱり大きな母湯 (主浴槽) は熱い。こまめに湯船を引っ越します。湯船はシカクではなく、上からみたピアノの形のようにカーブを描いてたり。
露天風呂もあるので、かなりノンビリできます。
天上には八角形のドーム型の窓があり、ちょっとエレガントです。
あけぼの。日によってオーロラのような陽のきざはしがのびるのでは……。
常連さんはササッと入浴。やはり長居はしませんね、わたしはゆっくりしました。
脱衣所にテーブルとソファーがあります。熱いので湯上がりドリンク2本買おう。牛乳と缶ジュース。
「ビニール袋、いる?」
なんてやさしい女将さん。ドリンク2本でビニール袋をくださるとは。
湯も熱いが人情もあつい。
スーパーでも有料の袋なのに。
「牛乳は、すぐ飲むので大丈夫です」
女将さんにお礼を。そしてソファーで、牛乳をゴクゴク。駅から歩く銭湯はドリンクを2本買うことにしている。ラドン湯ならなおさら。
あつあつのまま、帰宅の途につきました。
新曙温泉さんのお向かいにスプライトのカンバンがあったので、ファンタグレープとパチリ。
桑津街道
この段落は、銭湯と関連性なしで、とばしても大丈夫です。
昼間に再度、道しるべを見にいく。下のほうが埋まっています。
奥からニャンコが、こちらをチラリ。このへんに住んでいる子猫かしら。これ以上は、わかりません。図書館に立ちよりました。
そうだ、ここは桑津街道。本にいろいろ書いてある。
仁徳天皇がお妃の住む桑津まで、かよった道。
生野区の北から南へ、阿倍野区の桑津まで。
途中に彌栄神社があり、桃の木ゆたかな山をぬける道。
生野区の鶴橋・桃谷エリアの細い街道は、まさか新曙温泉さんの前に続いていたとは。
道しるべの「すぐ信」は「すぐ信貴山」
信貴山。信貴山朝護孫子寺 。
舌をかみそうです。
通称:「信貴山毘沙門天」「虎のお寺」など。東は、お参りの道。
街道の東側
日のいづるところは、新曙温泉さんであり信貴山でもあり。
あけぼの。街道の東から日が昇る。
むかしの道は、ほそくながい。
ひがしのみちは信貴山に。
南へおりれば桑津まで。
西のもより駅は、ゆるやかな桃の山。
朝はやく、桃かおる山から見えるは桑津街道。
かがやく太陽、まいにち信貴山のあいだから。
きょうも新曙温泉さんの背中から。
【参考文献など】
・『大阪の街道と道標』改訂版 武藤 善一郎 著
・大阪市サイト「生野区の都市景観資源」(わがまちナイススポット)
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。
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