銭湯の鏡広告
「スーパー銭湯やサウナには行くけれど」
「銭湯には行ったことがない」
それなら銭湯の|鏡広告《かがみこうこく》は、ご存じないかと思います。
銭湯にしかない、独特な鏡広告を。
古きを訪ねて新しきを知る
温故知新。まさに銭湯の|鏡広告《かがみこうこく》のことかも。
鏡広告とは、鏡に書かれた広告のこと。
もうすこし詳しく書きますね。
銭湯など温浴施設の浴室には、
大きな湯船と、「おひとりさま用・洗いスペース」があります。
頭上にシャワー・正面に鏡。
鏡の下に、水と湯が出る蛇口(カラン)があります。
そして、座る風呂イス。
最近では左右に銀色の縦長手すりが付いているところも。
お隣との境界線と、つかまって「よっこいしょ」兼用です。
ここまでは、スーパー銭湯などの施設と同じです。
違うところは、銭湯の鏡には広告が付いているのです。
浴室の鏡や、脱衣所の鏡に。
これを鏡広告と、よんでいます。
イメージとして、こんな感じです。
右側に赤く目立つように広告が入っています。
鏡の広告
むかしから人の集まるところに、
立て看板・お触れ書き…いまでも、街角に、町内会掲示板・各種告知板などが立っています。
町の広告は、テレビより大きな板のような画面に、紙の貼り紙やポスターがペタペタと。
選挙のときに急ごしらえで立ってたりします。
お知らせの紙は期日を過ぎると、貼り替えられて常に新しい情報に。
同じように鏡に書かれた、銭湯の鏡広告でありますが、紙を貼っているわけではないので、ずっと同じ広告のまま。
銭湯の広告の多くは、近隣のお店の宣伝。
地域のランドマークであった銭湯ゆえ、地域の人が利用する、お店の広告が入ります。
鏡広告で多かったのは
そうですね、じぶんの記憶では「美容院」「写真館・カメラ」「銀行」「薬局」などが多かったです。
特筆すべきは「|質屋《しちや》」
貴金属や呉服を持っていって、お金に代えるお店です。
けっこうありました。いまは絶滅危惧店ではないでしょうか。
なぜか、カタカナで「ヒチ」です。
(ヒチ、大阪だけかもしれません)
質屋の「シチ」と書いてあっても、たぶん「ヒチ」と発音してたでしょう。
いまでしたら「サラ金」「キャッシング」感覚だと思います。
あと多かったのが「呉服屋」です。
入学・卒業式・七五三など、
昭和40年代ぐらいまで女性の晴れ着は、和装でしたから。
町内に「質屋」と「呉服屋」
とても需要があり広告を出していたのですね。
鏡の端っこの広告でスペースの都合上、屋号と電話番号ぐらいしか書いてない。
あっさりとした広告が多かったです。
すでにお店はない
鏡広告は、ずーっと残ります。
鏡を取り替えないか、銭湯が廃業しない限り。
何十年もたつと、広告も剥げて色褪せてきます。
銭湯の鏡広告を見て実際にお店を探したら廃業してたり、マンションになっていたり。
ある時代。合併や統廃合があった銀行、
旧店名のままの広告。
大阪では強かった「三和銀行」・「太陽神戸銀行」などです。
現在の名は? 記憶をたどる頭の体操。
いまはなき地方銀行の名前も残ってたりします。
金融機関は多かったのです。(金利も良かったのです……)
さらに訳がわからないのは、むかしあった市電の電停。謎のバス停も。
広告に「○○電停前スグ」
住所より、わかりやすかったのでしょうね。
いまでは地下鉄になり、バス路線も減っているので、鏡広告を見ては懐かしく思っています。
高齢者と若者のSNS
銭湯は、常連さんの井戸端会議や安否確認など、高齢者が孤独にならないような場所でもあります。
歩いて、お風呂を入りに来て、リフレッシュ。
もはや鏡広告は見ないと思います。
かつては、いい仕事をしていた銭湯の鏡広告。
ネット社会の現代、地域はあまり関係ないですね。遠いところの広告もどんな広告も指1本の時代。
剥げかけた銭湯の鏡広告は町の歴史を映します。
鏡広告・スポンサー募集の銭湯も
最近の銭湯は、浴室の鏡も広告もリニューアル。
近隣のお店の鏡広告を外す銭湯。
そしてネットなどで新しい広告主を募集!
ビックリしましたが、よいアイディアですね!
半年契約で銭湯に広告を出すお店や人も出てきました。
契約終了後は鏡をもらえるそうです。
看板屋さんに発注した手書きの鏡広告。
実際に見ましたが、現代風にキャッチコピーがついて、カラフル多少使いです。
カジュアル掲示板といった雰囲気。
古い銭湯を訪ねて、新しい鏡広告を。
新しいお店や、楽しい情報。
恋人募集の鏡広告もありました。
銭湯のオーナーさんたちも、経営や集客に創意工夫を凝らしています。
番台式からフロント式に。
フロントで写真展や銭湯グッズの販売・イベントなど開催。
新規開拓、若者よ来たれ!
ワンコインで楽しめる銭湯。
アナログの鏡広告、銭湯の浴室で増殖中です。
銭湯・温故知新。
いつも こころに うるおいを。
水分補給も わすれずに。
最後までお読みくださり、
ありがとうございます。
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